赤い公園全曲考察84「おやすみ」(純情ランドセル)

赤い公園の歌詞が難解でなくなってしまってからは、あまり考察の意味も薄れてきて、過去の発言をまとめるだけになってきた気もします。それはそれでいいのかな。思い付いたり思い出したり、忘れてたインタビューを読み返したりしたら、どんどん追記していきますね。

さて、この「おやすみ」という曲の歌詞に「白いビニール」という言葉が出てくるのがずっと気になっていて、実はこれは「今更」にも出てきた言葉です。考えすぎかもしれないけど、「今更」でかぶってた(かぶらされてた)白いビニール袋が、ようやく取れて、今は足元のそれをガサガサと踏みつけながら一歩ずつ進んでいってる曲がこの曲なのかなって思います(だって結構現実的な歌詞の中で唯一、白いビニールの部分だけが意味が分からないから)。つまり何か呪縛から解放された曲。そんな気がしてます。

でも「今更」はデビュー直前に書かれた曲で、「おやすみ」は高校生の時に書かれた曲らしく、時系列的には合ってないので思い過ごしかもしれないです。

「おやすみ」の主人公は、「くい」みたいにやっぱりまだ孤独で、「NOW ON AIR」みたいに目標や夢に届く日は見えなくて、時には涙してしまうこともあるんだけど、少しずつだけど前に進んでる。

津野さんはこの曲と高校生の時の夢についてライナーノーツでこう語っています。「私にはずっとなんらかの形で音楽の仕事をしたいという夢があって。明日はその夢に少しでも近づけたらいいなと思う毎日のなかでこの曲を書いたんです」。それは音楽の仕事についたから叶ったというわけではないようで「でも、その音楽に対する強い思いは今も変わってなくて(略)ずっと音楽に対する夢があり、目標があり、こういう気持ちを持ち続けてるんだと思います」とのこと。

だからその気持ちを忘れないっていう決意表明なのかなと思います。「KOIKI」の決意表明とはまた違った、おだやかで静かな、だけど芯の通った強い気持ち。アルバムを締めくくるのにふさわしい1日の終わりの曲だと思います。



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