赤い公園全曲考察42「絶対的な関係」(絶対的な関係 / きっかけ / 遠く遠く)

ご存知、赤い公園で一番目か二番目に有名な曲。津野さん、一時期ふなっしーにハマってて、実はそれに着想を得てできた曲なんじゃないかなあとずっと密かに思っている(後にレーベルメイトにもなる)。だからPVも着ぐるみが出てくるんじゃないかなあ。真偽は不明だけど…。

この曲は、PVの仕掛けがめちゃくちゃ面白いし、ドラマ主題歌で「100秒」っていうのがフィーチャーされすぎて、なんとなく曲の本質が見えにくくなっちゃってないかなと思います。人が使い分ける内面と外見、本音と建前のうち、内面や本音のことを「中の人」という言葉に喩えて、中の人と絶対的な関係になりたいとか、ならなくてもいいから中身を知りたいとか言ってるわけだけど、その「内面が見えないな、知りたいな」っていう現象がこの曲自体にも起こってるような気がします。(まあ音楽を売るのにそういうキャッチーな謳い文句は絶対に必要だけど)

それに、やっと分かりかけた赤い公園というバンドも、中の人が考えてることは秘密だよって言われて突き放されたような感じもする。と同時に、もし最後の「私たち」に自分も入っているなら自分も共犯者なのかも…っていう甘い期待も生まれるっていう、実は最後の一文はすごい歌詞だと思います。当時は「絶対的な関係SNS企画」みたいなのもあって、いろんなアーティストたちと一緒にフリップを持って「絶対的な関係になりました」って言ってた。誰かと絶対的な関係にはなれるのか、なれないのか。

この曲について津野さんは「ちょっと過激な表現ですけど、何回も槍で刺すんじゃなくて、一撃で仕留めたかったんです(笑)」とのこと。これは歌詞もだけどどっちかと言うと音のほうのことを言ってるのかもしれない。他にも「普段は、楽器数が少ないので一番盛り上げたいところで楽器が全部鳴るようにしてそこから引き算で曲を作ることが多いけど、『絶対的な関係』はそれをせずに、飽きないように作った」とか「ジャンルは高円寺20000V」だとか言ってます。高円寺20000Vってジャンル誰に通用するんだ笑(パンクとかハードコア系で有名なとこです)。もう全部がかっこいいんだけど、ギターとベースが密接に連携してたり、かと思えば間奏ではベースが本来の役割をギターに任せてGの音しか弾かなくなるところとかは特に好きです。あとは意外と大事な役割を果たしてる鉄琴やコーラス。

亀田師匠曰く「ぼくの音楽人生の中で出会ったいちばん短くて、いちばん強い曲」。ライブ限定のギター弾き語りバージョンやアコースティックバージョン(それも何種類かある)に、ドラマでだけ流れた「絶対的な関係-Lost Days Mix-」、ドラマサントラに収録された「絶対的な関係~Piano Ver.~」、赤い公園は直接関係ないオルゴールバージョン、さらには「絶対的な関係(ヒャダインのリリリリ☆リミックス)」などのバリエーションがあります。ロッキンオンジャパンの「妄想トリビュート」で漫画にもなったのに、単行本には未収録…。

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