赤い公園全曲考察85「闇夜に提灯」(闇夜に提灯)

アルバムを出すごとにちょっとずつ成長していって(「成長したね」ってファンが言うのはなんか上から目線っぽくて嫌だけど)、「純情ランドセル」で明確に一歩大人になった赤い公園が、そのさらに次のモードを提示した曲。アコギ1本で作ったことも驚きだったけど、一番驚いたのは、歌詞でも曲でもなく、これまでトレードマークだった白い衣装がカラフルな衣装に変わったことでした。

衣裳については「赤い公園を7年やってきて、20代半ばにさしかかって、自分たちで自分たちを守るとか、そういうことをもうやめてもいい頃かな?と思いましたね」「白縛りをやめて、その時々、曲によって服を変えていったり、よりニュートラルな形で音楽が届くといいなと思ってます」とのこと。それこそ成長したというのもあるし、変な先入観なく音楽が届くようにしたかったのかなとも思います。その辺の発言は↓から。(このバンドが「透明」って曲から始まったこととも通じるかなって思ったりもする)

「闇夜に提灯」は2017年の3連続シングルリリースの一発目。3連続シングルは「のぞき穴」で一度ダメになってるので、ようやくまた来たかって感じもあり。にしても、この曲が出るまで「闇夜に提灯」(あるいは「闇夜の提灯」)ということわざがあることすら知りませんでした。さすが広辞苑好きの津野さんだけあるわ。歌詞も和だし、ギターも和っぽい。和とロック(それもオルタナ系)の合体ってよくあるけど、それをちゃんと赤い公園流にうまくやったなって思います。ドラマ「レンタルの恋」の主題歌で、ドラマのストーリーに基づいて、歌詞はひとりぼっちの主人公が運命のレディーと出会うストーリー。もちろん文字通りラブソングとして捉えてもいいんだけど、例えば「なりたい仕事が見つからない!」みたいな人にも響くと思うし、もっと言っちゃえば運命の人っていう言葉はバンドメンバーにも通じると思う。そういう意味では、こじつけかもしれないけど、後の赤い公園が辿る運命を知っていると別の意味にも聴こえてくる歌だから不思議です。

テクニカル系の演奏に、息継ぎが超大変そうな歌に、転調に、赤い公園のかっこよさが詰まった曲だと思います。「決まった!」って感じ。もしくは「ズッギューン」って感じ。あと「大暗中」と「Want you」で韻を踏むバンドなんてこの人たちしかいないと思う。開始7~8秒らへんの奥の方で聴こえるドラムは何を叩いてる音なんだろうってずーっと気になってます。イントロでスラップもしてる?

リリース情報が2017年12月2日にあって、ライブでの初披露は翌日の「パレい公園~赤いろの雨~」かな。翌年1月4日のもぎもぎでタイトルが判明。(全部、たぶん)

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