赤い公園全曲考察20「何を言う」(ランドリーで漂白を)

そう考えると白盤は白盤で、結構すごいところを攻めた作品なんだなって思います。すごく綺麗だったり遊び心のある音だったりで全体的にキラキラキャッキャッしてて、でもそれは表現したいことの核を見せないように包んだオブラートなんじゃないかなーって思うんです。それでもリスナーも馬鹿じゃないから、オブラートからしみ出たものをちょびっとだけ味わって、それが何だかよくは分からないけど、ちょっとだけ心がひりっとしたりするんじゃなかろうか。そしてそのオブラートが一番薄いのが、この「何を言う」って曲なんじゃないかなと思います。

津野さんは小学校の頃、隔週の土曜日だけ学校があって、お母さんに「今日はこんなことがあったよ」と報告していたそうで、その時よく作ってくれたのがそぼろご飯だったそうです。この曲に出てくるミンチや砂糖や醤油やごはんの匂いはまさにその時のものだそう。サンサーンスはお母さんの好きな作曲家。

初めてのピアノとボーカルしかない曲だけど、津野さんは以前この曲について「お休みを引き受けてくれたベースとドラムにとっても感謝している」とも言っていて、この曲はそのオブラートを薄くするためにあえてこういう演奏形態になったんじゃないかと思う。これを聴いて何も感じない人なんているのかな。

でもそのオブラートを、こうやって考察とか言いながら剥ごうとしてるんだから、なんだか自分が嫌になってきます。美しいものは美しいままでいいのかもしれない。

(それでもやっぱりこの考察を続けようと思うのには理由があって、赤い公園はすごいことをやってるんだっていうことを、今までファンだった(けどそんなに深くは聴いてなかった)人や、新体制になってファンになった人、これからファンになる人、ファンでもないし今後もファンになる予定のない人、なんだかファンをぞんさいに扱ってるように見える時もあるスタッフの方々、そして何より新しくバンドに加入した石野理子さんに、もっともっと知ってもらいたいからです。エゴです)

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