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ひぐらしのなく頃にBGM「being」耳コピ+BMS化のあとがき

何年も前の事。
下記音楽を耳コピ+BMS作成した際に添付(.txtを.wavにファイル名変換して格納するという頭の悪い方法)した後書きを発掘したので、ここに残す。

(この上の動画は、耳コピ後数年たって、動画化したら面白いかと思い動画化したもの)

……。

ゲームで使われている曲に惚れることがしばしばある。
ゲームへの思い入れが作用してしまっているのだろうが、惚れてしまったものは仕方が無い。
一般に逆は成り立たないが、それでも、好きなゲームには惚れる曲がありそうにも感じられる。

というわけで「ひぐらしのなく頃に」というゲームの曲を延々と聴いてみるのである。
しかし私の心境としては、単に好きな曲を見つけたいという純粋な気持ちのほかにも、どうしても不純なものが横たわる。
bmsにできないか、ということだ。
ちなみにそれ以前に、耳コピできないか、という動機で音楽を探すこともあるが、上で兼ねるのでよしとしよう。
つまり自分の好きな曲で、かつbmsになりそうなものを探すのである。
さてこの、ひぐらしのなく頃に。それをすぐに見つけることはできなかった。

とりあえずここではまず、その曲選考の基準について述べようと思う。
まず当たり障りのないことを言うと、その曲がbmsとしてふさわしいか、である。
例えば一番明確な基準として、曲長が挙げられる。三分を超える曲などはあまり作られない。
というわけで、曲長。実はこの条件がなかなか辛い。なにせどんな好きな曲であっても、曲長という一単語で断念せざるを得ないからだ。
長い曲を自分で編集して短くするという方法もあるが、なにしろ自分の好きな曲だ、簡単に切り取るわけにはいかない。
編集に延々と悩む。
実際、3分半の曲のbms製作を断念したことがある。原因はそれだけでもないのだが、とにかく編集に悩んだことを覚えている。
というわけで曲長という概念は絶対的に私の脳内に君臨する。もはや彼は国家だ。

二つ目の基準として、そのbmsとしての叩き心地が挙げられる。
叩き心地である。
延々と裏のストリングスを演奏することはもはや叩くとは言わない、つまりbmsとしては適切ではない。
とはいえそんなbmsも世に出てしまっているので大きなことは言えないが、とにかく安易に挑戦すべきbmsではない。
私は、音、特にその“出”がわかりやすいものがbmsとして演奏しやすいと考える。
私の作るコピーbmsにピアノ音色が多いのはこのためでもある。理由として占める割合は30%ほど。

三つ目として、曲の内容、特に盛り上がりについても考慮しなければならない。
これは私にとってしばしば忘れてしまう項目なので、深く自分の心に刻み付けようと思う。
で、盛り上がりについてなのだが、つまりは簡単にbmsをクリアされてはつまらん、と、そういう考えから派生しているようにも思う。
たとえば曲の序盤で盛り上がり、あとは静かに淡々と最後まで進む曲があったとすると、
bmsというゲームとしてあまりふさわしくないことが容易にわかるだろう。
つまりこれはbmsのゲーム性についての考慮と言い換えてもよい。

以上三つで曲選考については終わりにしようと思う。
当然他にも注意すべき項目が無数に存在するのだが、我々の脊髄反射の前にはまったく意味を成さないのである。
これは当然上の三つにも当てはまり、くりえいてぃびてぃという名の下にばっさり切り捨てられてしまう。
その成果物、たとえば10分を超える単調bmsに出会ったときに口元がにやけるのは私だけではないはずだ。
彼の脳から分泌されるくりえいてぃびてぃに思いをはせつつ、決して安易にこの曲を再びプレイしないようにと記憶層に書き込む。
または原理的にプレイできないように処理する。彼の私に与える影響は強大である。

とまあ結論としては人により様々ということになってしまうのだが、
私は、母親にしかられないように萎縮する幼子のようにおどおどと、常套という石橋を叩いて渡って行きたい。
その常套という橋ですら私の脳内からひねり出されたものであるということは全力で背伸びして棚の上に上げる。

さて、戻ろう。ひぐらしのなく頃に、である。
そこに使われた曲たちだが、どうも私のめがねにとって適切なものというのが見つからない。
文字通りの背景曲が大部分を占めているように思う。ゲームのジャンルがきっとそうさせるのだろう。
何度か選考に挑戦するも、その都度同じ結論に達し、断念した。

そして……過ぎていった。
曲選考の時には思いもしなかった平和な日々。
繰り返される日々の中で、いずれこのまま一生を終えるのではないかと思い始める。
何年かが過ぎ去り、もう選考目的で「ひぐらしのなく頃に」の曲を聴かなくなった頃、私はすっかりbmsから離れていた。
いや……少なくとも私自身はそう思っていたのだ。
ましてや「ひぐらしのなく頃に」のbmsを作りたいなどとは一度として……。

さて、私にとって音楽をかけて何か作業をするというのは当たり前のことで、その日も漏れずに音楽をかけていた。
シャッフル機能を多用しているので、流れる曲順を知ることはできない。
曲が終わるたびに、微量ではあるが何か新鮮な気持ちを味わうことができるこの機能を私は気に入っていた。
そうして、何曲目かの曲が終わり、ついにあの曲が流れた。
と大げさに言ってはみたが、ずっとシャッフルで流していたので過去に何度もその曲は聴いている。
ただ単に「いい曲だなぁ」と、いつもと変わらない感想を抱いた。
しかしその日、まさに歴史は北京の蝶々なみに動き出した。

唐突に、曲名を調べようと思ったのである。
音楽を聴きながらの作業をいったん止め、プレイヤーに手を伸ばし――
ちなみに「ひぐらしのなく頃に」の曲であることはすでに知っている。だから大事なのはそんなことではなく。
――まず再生をとめる、液晶画面が光る、表示されるのは、曲名、……時刻、これは、現在どこまで演奏したか。
コロンで仕切られた小さな数字たちに目を奪われる。
……2分、切ってる?
すでに曲は終盤といえる盛り上がりだったはずだ。つまり、この曲は2分強といったところか?
そのとき脳内の片隅で、ぱちっというかすかな音が聞こえた。
振り返る、すぐにそこへ駆け寄り、onになったレバーの下、古びた木板を注視する、そこには、つたない文字でbmsと彫ってあって。
いやまてまて。ピアノ曲はbmsにはならんだろう。
そう。そう考えるのはきわめて自然だ。だから選考時にだってピアノ曲は無視してたじゃないか。
たとえ曲長が適切で、叩き心地がよかったとしても、だめなものはだめなんだ。
さて、しかし何がだめなのか。
すぐに答えは出た。
そんなbmsは今まで見たことがないからだ。
正確に言えば、ピアノセットを使ったようなものは知っているが、決まってそれは強弱を度外視したつくりをしていた。
この曲のように強弱を出したものはあまり知らないのだ。
だから、だめ。
残念ながらこの答えが見つかったと同時に、ひとつの決心が生まれてしまっていた。
見たことがないのなら、じゃあ作ればいいんだろ。
次のbms製作の曲は決まった。

 地上の星 / 中島みゆき

当時、とにかく忙しくかった。
bms自体も全然触れていなかったほどだ、残念ながらまとまった時間をとることはできない。
就寝前の30分を利用しての耳コピが始まった。
そして最終的に、今までで一二を争うくらいに時間を費やすことになったのではないだろうか。
しかしそれは想定済み、むしろ期待通りともいえる。
今でこそbmsを作るために耳コピをしているが、以前は耳コピついでにbmsを作ったものだ。
そして耳コピする対象とは自分にとって耳コピが難しいものであり、耳コピ自体を勉強と思っていた。
今回のように手ごわい相手にめぐり合えたことは素直に喜ばしい。

というわけで耳コピは終了した。とはいえピアノ部分だけだ。
実際はパーカッションやらストリングスやら影に見え隠れする曲なのだが、こやつらの扱いがとても難しい。
ピアノならば単に大きな音を出せば迫力はいくらか出るのだが、この曲のパーストはその扱いに技術を要するように思う。
つまり私にとって難しいということ。
実際何も試してないが、すんなりと諦めてピアノオンリーにした。
ちなみにストリングス部分はいくらかピアノに退避させている。
とまあこうしてmidiが一応できたわけだが、これはいわば単なる採譜であって、強弱まではあまり考慮していない。
なにせ耳コピは常にSC-88で行っているからだ。強弱の調整は金閣寺に用いる音源を使うべきだろう。
(注:金閣寺=音を録る時という意味)
ここで満を持して登場するのは最強のピアノ音源Privia PX-100である。

一般に人生のうちで忙しい時期ペスト100のうちで高ランクに位置づけられる時期に、
怨霊グラピノ婆に取り憑かれて購入した電子ピアノがこれである。
一般に人生のうちで略の時期でピアノの腕はめきめきと上達し、
その時期が過ぎたときに合わせてまさかの下降という現象が見られたことが記憶に新しい。
それは単に熱意が失われただけの良くある話なのだが、SC-88を某オークションで手に入れた後で状況は激変する。
midiケーブルを買ってきてみると、なんとその電子ピアノとつなぐことができたのだ。
私の伝記漫画が見開きになる瞬間だった。
ちなみに私作成のbms「プレインエイジア」はすべてSC-88で製作されているので、
ケーブル購入、つまりSC-88使用と、電子ピアノmidi使用との間に時間的空白があったことが推測される。
また対照的に、次のbms、「the theme of ciel」という名前だと思ったが、
ここからPX-100、さらにはsoundfontとvstエフェクトが用いられ、私の音色に対するこだわりが見え始める。
しかしこだわったのは良いが全て空回るという苦い経験でもあった。原曲はかっこいいんですよ?

とにかくこの、某有名家電量販店では最底辺扱いであった電子ピアノが、SC-88もsoundfontも上回る音をたたき出してくれるのである。
私がコピーbmsとしてピアノの入った曲を選ぶ理由の大半がこれであろう。
言い換えるなら、とにかくこれしか無いんです。

さて次にmidiの強弱を合わせる作業に入るのだが、その前にPX-100で一度現在のmidiを再生してみたくなるのが人の子というものだろう。
しかし私は人を超えた。
midiの再生だけに飽き足らず、録音をしたくなってしまったのだ。
このような無駄行動は他にも随所に見られ、たとえば耳コピ中の箇所を聞きなおすためにわざと余分に十数小節前から再生するなど、
雰囲気を掌握するためといえば聞こえはいいが、客観的に言わせてもらえば単なる逃避でしかないことをしばしば行ってしまう。
そしてここでのmidi録音は、まったく言い訳できないほど完璧な無駄行為だった。
しかしこれが事件の発覚につながるとは誰が考えただろうか。

……録音自体はすぐに終わった。当然次にすることはその.wavの聞きなおし。
が、録音は失敗していた。何度聞きなおしても、他のアプリケーションを終了させても変わらない。
通称、プチノイズである。
品物をやさしく包み込むAIRクッションのように綺礼にしきつめられた、幾何学模様をも思わせるプチプチどもだった。
(第一回変換はこうなるんです)
ここでlastに製作したbms「starry heavens」のことを電撃的に思い出す。
そのbmsを作る前にまずmp3を作ろうと思い録音したファイルが現在でも手元にあるのだが、そこにもプチノイズが確認できるのだ。
原因不明のそのクッションどもではあったが、なにしろ発生頻度はそれほどのものでもない。
当時私はそれらの間隙を突くという方法で無事bmsの録音を終えることができた。
しかし、今回。
ノイズの間隙は、一秒もない?
これでbmsを録音するなど、世界のプリンス・テンコーでも不可能に違いあるまい。
予期せぬ巨大な壁が立ちはだかった。
仕方がない、その壁の規模を冷静に見極めてみよう。

他のアプリケーションの終了。
アプリケーションの再起動。
パソコンの再起動。
インターフェイスの設定。
アプリケーションの設定。
すべて、おおきく空振って。

原因解明に奔走して疲れきった部下を見て、私はついに苦渋の決断をくだした。
「パソコンの初期化、させてくださいっ……!」
会議室はざわめいた。
「しかし、それで改善すると思うのかね」
「ですが、このままでは!」
連日の部署の奮闘を知らない者は居ない。ゆえに誰も責任者の私を非難することはできなかった。
うつむく皆の中でただ一人、社長のみが私の目を見据える。
「……わかった」
社長は大きくうなずいた。
社を一人の若者が動かした瞬間だった。

さて、パソコンの初期化。
これ自体はそれほど大変なことではないのだが、初期化前にはバックアップを取っておかなくてはならない。
特に私は外付けハードディスクも他のパソコンも持っていない。
前途は多難。それでも私は踏み込んだ。
名づけるならそれはDVD乱舞。その回転剣舞はすぐに六連を数えた。
てかもうそんなことしてる場合じゃないわけですよまじで忙しくて。

すべてを後回しにして、ただひたすらバックアップディスクの作成に走ること、数日。
ついに初期化にこぎつけることができた。
初期化後のパソコンに対してなさねばならないことも多かったが、とにかくパソコンの高速化がなによりも嬉しい。
なにせ起動は4倍近くも早くなり、nazobmplayがsleep5でスムーズに動くのだ。
これを巷では魔法と呼ぶ。
フリーソフトで5%ほど小さく整頓できたはずのレジストリが、初期化により40%ほどに小さくなっていることが大きいのだろう。
喜びに包まれながら、メーカーソフトをあらかた削除し、バックアップディスクからデータを取り込む。
さて、まさかここで問題が起ころうとは。
一度アクセスしたDVDディスクがことごとく取り出せなくなるという事態に陥った。
もちろん原因は不明。再起動も効果がない。まさか毎回シャープペンを振りかざせと?
わずかに悩み、決断した。
「初期化」
した。直った。メーカーソフトの削除は少し遠慮せざるを得なかった。

とまあこうして窮地から生還することができた。私にとってはまさに奇跡。神は私のすぐ後ろの居るのだ。ぺたぺた。
この一連の出来事は試練。しかし嵐は過ぎ去った。目の前には楽園が。舞踏する月うさぎが。
安堵の息をもらしながら、ついに私はbmsレバーのところまでやってきた。
レバーのかすかなほこりを払い、やさしく包み込むように手をかけ、――万感の思いを込めて、落とした。
その瞬間、周囲は暗闇に包まれた。
こんなことを書いていても意味不明なので、きちんと説明しよう。
届いたダンボールにはエアクッションが綺麗に敷き詰められていた。
通称、プチノイズだ。
神は死んだ。
どうして、どうしてこの美しい世界に、ただ一点の曇りを残すのだ。
どうしてそれが私の目の前に立ちはだかるのか。
泣いた。声を大にして泣いた。近所の犬も呼応してくれた。
私はすべて理解した。
一人で生きて一人で死ぬんだ。それが完成された船乗りだ。
誰が、あなたに頼るものか。

数日後、学校のパソコン室に一人の青年が現れた。
彼はわざわざ回り込んで部屋最後部の椅子に座ると、息つく暇もなくかばんから何かを取り出す。
それは、この世の至宝と謳われた、かの有名なUA-25だった。
言い換えると単なる録音機材だ。
そう、彼こそが、後に私となる私でなのであった。

とまあいろいろあって録音にこぎつけたわけだが、当然その前に済ませなくてはならないことがある。
上に何度も書いているようにまず強弱合わせ。これはわかりやすい。
そして次に、bms用編集である。
bms用に曲を省略する作業も含まれるが、私が強調したいのは音色数を減らすという作業だ。
bms完成後のファイルサイズに直接関わる作業で、どれほど重要かお分かりいただけるだろうか。
しかし一般にbmsを作成するとき、この作業はあまり面倒になりにくいように思う。
今の私の立場をふまえ、特にそれを強調したい。
つまり何が言いたいかというと、強弱がケオティックなピアノ曲でのこの作業は情け容赦なく面倒な作業なのである。
ピアノ曲のbmsが少ないのはこれが原因だと思えるくらいだ。
以前にいくらかピアノの入ったbmsを作っていたのでなんとなくは予想していたが、そんな予想すらとてもスイーツだったと振り返る。
狂気の沙汰だ。
耳コピに費やした時間と比べてはその作業には何も不満を言えないのだが、いやしかしそもそも時間の問題ではない。
耳コピに関しては希望があった。徐々に出来上がる作品を前にして、動悸の上がらない人がいましょうや。(動機でも可)
しかし音色減らしは違う。まずその作業は妥協の連続だ。
音色を減らすこと、曲が原曲から離れることを天秤にかけ、ひたすら考える葦となり、譜面の上を右往左往する。
今回は困難なアナバシスになることを予想し、今までの作成方法からは離れ、
音色減らしの際にはまず音色とその場所をテキストにすべて記録してから、という普通に考えればえらくナンセンスなことをしてみた。
結果、効率は上がったが、しかしそれでも依然地を這うその効率には落胆通り越してただただ感心する。
感心といえば、よくもまあここまで自分の動機が継続するものだ。
正直、すでにガソリンは空。
でなければこうして、曲が完成していないのに関わらず悠長にテキストを書いているはずが無い。
ジャンクにされてしまえ。

しかし新たな発見もある。
作成したbmsには語りつくせぬことが山ほどある。おそらくすべてのbmsに当てはまるであろう。
それに改めて気づいた。
しかし、だ。もしreadmeなるテキストを曲完成後に書いたとしよう。
あれほど思い入れのあった作品であっても、完成してしまえばもう語ることなど無い。
むしろそんな暇があれば早く公開したいのだ。
そう、曲完成後こそ、実はそういった、目に見えないデッドラインが重低音を響かせて迫ってくる。
だからこそ余裕を持って作品を作りたいときにはこのように、曲完成前にテキストを書くべきなのだ。
文量がそのまま、bmsの続きを作りたくない気持ちを表していてとてもおもしろい。大爆笑。

一段落したので話を戻そう。といっても大して戻らないが。
この曲での作業その一、強弱あわせ。
普段は耳コピと合わせて完了しているべき作業で、とはいえ今回はすでに採譜が完了している。
したがって曲の頭から順番に追っていくだけで、2,3時間で終わる作業だった。
次に、先ほどから口を酸っぱくさせてくれているbms編集。各音程に対し、ひたすら音色種類を減らす作業。
ちなみにmidi時の半分以下にまで音色種類を減らすことができる。
また、ここでbmsの元となるmidiが完成することになるので、音色数をきちんと数えておく。
……236?
あと20個ほど余裕があると思うならばそれは大きく間違いだ。
一般に、wav音色数≦bms定義数。つまり定義が重複、文字通りのいわゆる重複定義の存在がある。
ちなみに今回予定としては35個。
さて、足して271。圧倒的にオーバー。

しかし別にオーバーも何も、いったいなぜ256を基準にしているのかわからない方もいらっしゃるだろう。
確かに256を超えても実際大して問題はない。
ないのだが、できればこれに収めたいというのが神の子というもの。
古びた思想が自分を縛る。

ちなみに私はいろいろと懐かしいものが好きだ。
8bit22050Hzのbmsを見ただけで心が躍る。
特にその中に11025Hzや16000Hzが混じっていたときなどは言葉に表せない何かに打ち震える。
逆に、あ、いや。
語り得ないものについては沈黙しなければならない。
で、他には、某有名RPGだってSFC版で人から借りるも炉真里亞(変換するとこうなります)に到達するころには飽き、
すぐに自分のFC版を引っ張り出して一発一通ドラ3したくらい。
この程度しか例が思い浮かばないのだが、とにかく好きだ。
それを人に強いるなどまったくの無駄なのだが、自分の中では大事にしたい項目のひとつ。
今回でも曲内容に支障をきたさない範囲で256という数字を意識して行きたい。

とはいえ、現在結局は256をオーバーしている。
ここで私はなんと、拡張定義に手を伸ばすのではなく重複定義をもみ消す形へ走り出したいと思う。
時代という向かい風はいわばハンディキャップだ。そう思おう。
きっと盛り上がった箇所で重複していても、きっと大丈夫だろう。大丈夫かもしれない。
このように“だろう”作成と“かもしれない”作成には違いが一切見当たらなかった。
とは言え、この問題は試してみなくてはわからない。wav配置の時まで置いておくことにしよう。

とまあbms用midiが完成したということで、当然wav録音へ。
ちなみに先ほど学校で録音したなどと書いたが、すっぱり言おう、それはファクトではなくフィクションだ。
書いた当時は確かに、その預言を私はすっかり信じていた。
なにせ自分のパソコンでは無理だったのだから。
しかしまあノイズが入るとはいえ、とりあえず一度vstエフェクトの選考はしておきたいもの。
後日、ノイズ無視でとりあえず録音してみた。
ノイズは消えていた。
はい。
状況の違いはといえば、金閣寺に使ったvstがこの曲用であったことと、レジストリを少しいじっていたこと。
レジストリに関しては、パソコン高速化という題で紹介されていたものを馬鹿正直になぞってみたという程度。
そこを再びいじるのは少々怖いので、結局ノイズは原因不明であったということで置いておこう。
結局嘘を交えた文章になってしまっていることを公表してしまったが、これこそリアルタイム編集の味だと思って温かく見守っていてもらいたい。

次、成果のwavを切っていく作業。
毎回この単調作業には飽き飽きするのだが、今回はあまりその威圧感閉塞感束縛感を意識せずに終わらせることができた。
というは、単調だからだ。
この曲での耳コピ作業や妥協作業に費やす時間、磨耗する精神力と比べてどれほど楽なことか。
そして音切り作業のみにおいては、ピアノ曲という業は完全に無視される。
単に、どれほどwavを使うかによって作業の重さが変わるのだ。
wav数はthe castleに及ばない程度。
全く問題はない。

というわけで音切りも終了。
次、急いで譜面作成、とその前に一旦落ち着いて、音質について考えてみよう。
先ほど音色数を256に抑えたいという話があったが、一般的に音色数というのは大してbmsという作品に影響しない。
一方先ほどそれと並列して書いた8bit22050Hzに関しては、どう考えても客観的に支障ありまくりであろう。
特に今回では音色がかなり重なる。ホワイトも重なる。支障ありまくりである。
しかし私はもともと音色の綺麗さでは勝負できないので、
それならばと、わざと一夜漬けのみで期末テストに臨む学生のように堂々としていたいと思っている。
つまり私は今こう言っている。
「昨日しか勉強してねーわ、俺」
あなたは私を殴るなり、無視して貴重な時間を有効活用するなりしてよい。

ここで、ホームページ内のファイルサイズ制限というものもあったことを思い出した。
これも十分、サイズ減量理由の1割程度になるのではと思う。
他にも、思い出した、私の作るbmsはコピー曲だ。つまり。
私がゲームコピー曲で高音質? おこがましい――
こうなる。

というわけで8bit22050Hzに変換することを考えるのだが、ところで変換ツールは容易にいくつか手に入る。
今回はそれらを比較対照してみた。これは私の中で初の試みだ。
とはいえ音色の種類に左右されることはキャンプファイヤーに参加するよりも明るいのであまり参考にしないほうが賢明だろう。

さて、現在手元にソフトウェアを5つ確保している。
そのうちなんと三つがほとんど同じ変換結果だった。
特徴的なノイズも一致するため、変換が同じであると断言しても良い結果だ。
そして余った二つについては、それらもそれらで同じ種類で、残念ながら他の三つよりもお粗末という印象だ。
前者を仮に「sound engine型」、後者を「(windows付属)サウンドレコーダー型」としよう。
双方ともwave大量変換に対応していないことに気づく方は、見事としか言いようが無い。
で、「sound engine型」は音の大小に合わせてノイズも変化、「サウンドレコーダー型」では一定のノイズが走るような変換。
しかしその一定ノイズが意外と無視できない神々しさを放つ。
まぶしい。
私は「サウンドレコーダー型」をあきらめた。
以上、ここで比べたのはたった5つ。まだまだソフトウェアは世界のどこかで旅人を待っているだろう。
インターネッツにおける無限の可能性をシラミのごとく一匹一匹潰してゆくのは読者に任せたいと思う。

ということで音質劣化ソフトが決まったので、ためしに全wavを8bitにしてみた。
しかし少し考えればわかるように、まだ譜面ができていない以上、曲がどのように劣化しているのか確認できない。
無駄行為となった。
そして次にすべき作業はもちろん、譜面作成となるわけである。
ちなみに当然ここではゲーム性など度外視。とにかく曲を聴くためにwavをぺたぺた貼り合わせていこう。
そうして30小節くらい完成。これで雰囲気を掴むことくらいは可能になる。
私はnazoを走らせた。
……。
少しばかり鬱になった。
これは、bmsに向いていなかったのではないか?
bms化ということで、bms用midiと比べただけでも曲の雰囲気がやや落ちるのは毎度のことなのだが、やけに、こう、不足というか。
なんとなく、ピアノ曲がbmsで作られない理由が第六感で捉えられた。
というよりここで初めて、今回のbms作成動機は単にピアノ曲作りてぇというだけであり、もっと冷静になればよかったということに気がついた。
まるで振り込め詐欺に引っかかった時のような心持ちだ。
とはいえ、これは毎回の運命である。神の見えざる手がホバリングしているのが感じられた。

さて、さらに、8bit化したものを聞いて愕然とした。
なんて、ノイズ――。
bmsとして世に出せない代物、ここに爆誕。
私は頭を抱えた。
22050Hz_16bit_stereoから音質劣化ができないのだ。
強いて劣化させるとすれば、ごく少数の低音の8bit_mono化であろうか。仮にできたとしても高が知れてる。
このままzip圧縮すれば16MB。
ありえない……! あるわけなかっ…!
rk6MBで放流するという名案も思いついたが、それでは今まで真面目に頑張った自分が浮かばれない。
仕方が、ない。
サイズには目を瞑る。
譜面が完成した後で何か動けるかもしれないと願って、今はとにかく突っ走ろう。

ところで突っ走っている最中にネットサーフィンで遊んでいたら、衝撃の事実を発見した。
「プレインエイジア bms」では私のホームページは検索でヒットせず、
「プレインエイジア bms qwetion」でヒットするという先生の謎の挙動を楽しんでいた時、それは私の前に現れた。
そう、別の方製作のプレインエイジアbmsである。
私はそれを作る前、この世にプレインエイジアbmsが出ていないことを確認していた。
今回のその作品のタイムスタンプを見ても私が勝利していることがわかる。
しかしそんなことは問題ではない。
この世に同じ原曲のコピーbmsが二つあるだけで、価値は半減してしまうのだ。
私のは半減していた。
もの悲しかった。
これが衝撃の事実だった。

ちなみにプレインエイジア以降では、bms作成の前に事前調査などしない。
それでもし他の方製作のものを見つけたら悲しくなるからだ。
自分作成後に見つけても悲しくなるのはつい先ほど体験済みだが、だからといって事前調査のせいでbms製作を諦め、
bmsを作ろうとするエネルギーを圧殺してしまっては地球に悪い。
これをエゴという。
とにかくひたすらbmsを作る。
ただし、bmsを作ろうとしてまず耳コピをするのだが、その耳コピ後はときどき調査してしまう。
そしてmidiなり楽譜なり見つけてはアッフンする。
今回はなんとdai氏のページで楽譜を発見したので、少しばかり叫びたくなってしまった。
しかしこの叫びは決して、過去の自分に対して、その耳コピを即刻やめろという警告の類ではない。
私のbms作成という行為の価値が半減したことに対して、憤懣やるかたない思いを天にぶつける意図だ。
とはいえ、自分の作るbmsの元midiが自分耳コピであるという事実は私に笑みをもたらす。
うすら笑いとも言う。

さて、今回の譜面はできた。低音質は一切諦めるという結論に達した。先ほどの実験は水泡へ。
またそれに伴い、重複定義をもみ消すことも諦めた。
少しもみ消しただけで特大エアクッションだ。いじめだ。PTAに報告ものだ。
というわけで途中から拡張定義使用へ進路変更したわけだが、その修正も報告事項に追加された。
そうして次に、真の譜面作成、easyなりnormalなり作っていく作業。
まずはeasyから。2つ同時押しという言葉を念頭に置き作業したが、やや難しめになってしまった。
次にnormal。ここでまたもやピアノの業が私にまとわりつく。
説明しよう。
easy譜面が完成すれば、あとは適当に音をそこに付け足してゆけばnormal譜面は完成する。
しかし今回、どの音を付け足せばよいのかすぐにはわからないのだ。
とりあえず音階を匂わせるようにバックに音色を配置してはいたが、肝心の強弱がわからない。
これではどの音が主役かわからない。
今回使用したbms編集ソフトはGDA Creatorなのだが、「オブジェクトのファイル名を表示する」機能がなかった為にこの問題は発生した、のかもしれない。
ということでBMx Sequence Editorを使えばよかったと一瞬思ったのだが、そちらは拡張定義がZZまでで煩わしかったのだ。
誰が1000以上も定義を使うものか。
いや、やはり、1000近く定義を用いるbmsが現存するのだろうか。
そして今BMx Sequence Editorを試してみたのだが、ファイル名を表示しても意外と把握しにくい。
これならば今回のように、視覚的に音色の強弱がわかるmidi編集ソフトCherryを起動させつつ作業してしまうのではないか。
……すべて終わってしまったことだ。このくらいにしておこう。
ちなみにこの問題は一般にはそうそう起こりえない。
なにせ私は普通、バックの音色配置は楽器単位で分けるからだ。
だから例えば高難易度譜面でトランペット部分を追加しようという流れはきわめて自然だが、それは容易に可能となる。
そしてその作業こそが、難譜面作成だと思っていた。
今回normal譜面を作成しようと意気込んだ私が、ディスプレイに散りばめられたピアノ音色達を前にしばし硬直したことを想像するのは決して難しいことではない。

そして錯誤の果て、normal譜面は完成した。
しかし、こちらもどうも難しくなってしまった。私にぴったりの難易度だ。
ここで私のbms能力を暴露してしまうのだが、大体あのくらいが私にとってぎりぎり楽にクリアできる程度である。
ちなみに私の作るnormal譜面はしばしば私向けに作られている。
ではhard譜面以降は何かというと、完全に私の妄想で塗り固められた譜面となっている。
経験が伴っていないのだ。
思い出せばプレインエイジアなどは7keyができない時代に作ったので、7key譜面は完全に私の貴い妄想だ。
なので確か後になって譜面を大幅修正したはず。お恥ずかしい。

しかし今回は、その心配はない。
なぜならnormal譜面の難易度で大体音色を使い切ってしまっていて、これ以上難しい譜面を作らないことにしたからだ。
言い換えるならnormal譜面を難しくしすぎただけなのだが、それほどeasyとnormalの間に大きな溝があるとは思えない。
単に大きな溝が無いだけで、しかし無視できない溝があからさまに存在しているのだが、よしとしよう。
easy譜面は2つ同時押しを主部、normal譜面は3つ同時押しを主部として意識した。
その間に譜面を埋めるとすると、自分の譜面作りの方針としてはかなりの譲歩になってしまう。
よしとしよう。
こうして譜面が完成した。

そしてbgaも考えてみる。
ネットで素材を探し、加工し、配置。この間約二時間。

これですべてのbms作成作業は見かけ上終わったわけだが、まだ公開は見合わせる。
次はテストプレイ期間だ。
こればかりはやり過ぎて困ることは無い。
頑張ろう。

頑張った。
今回はわりと素直な譜面になったのではと思う。プレインエイジア以来か。
というのは、プレインエイジアextraは自分が叩き易い様にと意図的に簡単にしたのだ。
以降のbmsは自分なりのえげつなさを混入している。
theme of ciel-normal-では自分への試練として縦双連を入れた。ヴォヤージュ1969-extra-では階段を。
そう、階段が難しい。単純な乱打と比べ二倍は難しい。
いったい何の数字に2を乗算すればよいか謎だが、2という数字だけは確信している。
かつ階段というのはどんな譜面でも現れうる配置だ。
逃げてばかりはいられない。
そうした意気込みはまず私の作るbmsにも現れるのである。
おそらく私は今後、乱打を主部としたbmsは作らないだろう。
しかし、今回は話が別となっている。意識的にノートを散らせたという意味だ。
とはいえ今回、譜面が局所的に素直でも、なんというか、全体的には荒れているなという印象。
常に騒々しい。
曲に強弱はあるが、譜面では強弱を表現できなかった。
bmsという形式自体に、強弱の表現の難しさを感じた。
しかし今後、その問題に再び直面することはおそらくないだろう。そう信じたい。
もう過ぎたことだ。
終わったのだ。

長かった。期間にして三ヶ月弱。
実質作業時間は3桁に及ぶ。RPGツクール3に費やした時間といい勝負だ。
この時間があれば何度惨劇を回避できただろうか。
もう二度と、二度とbmsなんて作らない。
こんな誓いは大型bms作成のたびに思ってきたが、今回はその中でも突出した願い。誰にも壊されない強固な運命へ。
でも膨大な時間の前には、それも壊されてしまうのかなぁ。
苦行に果敢に挑戦する未来の自分が見えるようだ。
馬鹿め。

そしてここまで付き合ってくださった方には感謝の意を表したい。
誰も見てくれなければやはり悲しいのだが、この文章をあなたが見ている以上、あなたは居る。
そう、生きてる人はいるのだ。途中を飛ばしてもらっていたとしても構わない。
居てくれてありがとう。

さて、涙ぼろっぼろ路線に入ったところで終わりにするとしよう。
当初は20KBまで意地でも書き続けようと思っていたが、その目標は難なく達成できた。
本当にありがとう。
ちなみにこんなテキストは過去に作ったことが無く、今回初めて作ったということを注意しておこう。
今後もきっと無いでしょう。

さあ、終わろう。
bms作成の終了を宣言しよう。

あなたの上に、主の豊かな恵みと祝福がありますように。
ロードスター超おすすめ。

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