見出し画像

「Wakiya 一笑美茶樓」 脇屋友詞氏が今、SNSに力を入れるワケ

コロナ禍により明らかになった、人と会って食事をする意味

コロナ渦で、僕たちの生活は大きく変わりました。
「外食制限」「外出自粛」という、これまでになかったことを経験し、

「限られた外食機会。一回、一回が貴重で大切なものなのだ」

ということが明らかになりました。

いま、「外で食事をすること」「親しいひとたちとテーブルを囲むこと」の価値が、一段と上がっています。

同時に、飲食店サイドにも大きな変化が訪れています。
誰も想像さえしなかった、大きな転機。
日本の飲食業界は今後、どのような変化を辿るのでしょうか。

画像6


有名シェフがこぞって参加する「Restore PJ」とは?


今回、僕たちはクラウドファンディングの企画「Restore PJ」を立ち上げました。
これは、普段は予約困難のレストランが複数集まり、特別なコースやイベントのリターンを用意し、特別な飲食体験を提供する試みです。

画像9

※リターンにご用意した、「Wakiya 一笑美茶樓」の名物であるフカヒレを贅沢に味わえる、「フカヒレラーメン」

コロナで打撃を受けた飲食店だけでなく、日本のひとたちが再び活力を取り戻し、新たな生活へ踏み出すことができるように。
そんな思いを込めて、プロジェクトにresotre(=復興する、再建する)という名前をつけました。

今回は、「Restore PJ」の想いに賛同し、いち早く参加を決めてくださったWakiya 一笑美茶樓のシェフ、脇屋友詞さんに、withコロナ時代に飲食店を経営する上で大切なことについて、お話をお聞きします。
<聞き手 = 坂口高貴(リディッシュ株式会社)>

▼脇屋氏へのインタビュー動画はこちら


中華に新風。face to faceのプレゼンテーション


坂口
- 早速ですが、コロナ禍でお店の状況はどう変わりましたか。

脇屋シェフ
- コロナの影響はものすごく大きいですね。日に日に影響が強くなり、今は正直なところ、売り上げは以前の1/10程度。もともと接待の利用が多かったことも響いています。

坂口
- どの飲食店もそのような状況みたいですね。

脇屋シェフ
- 営業を自粛していた時に比べれば、現在は少しずつ回復しているけれど、まだ全然戻りきっていません。この状況は当分続くでしょうから、飲食店自体が変わらないと、と思っています。

坂口
- コロナ禍で、新たに始めた取り組みはありますか。

脇屋シェフ
- 以前は4〜8名さまで、個室をご利用されることが多かったんです。でも今は大人数での会食を控える方が多く、接待のご利用も少なくなりました。
そこで、個室にカウンター席を作ってIHの調理台を入れ、お客様の目の前でシェフが料理をするという、オープンキッチンを仕立てました。

画像5

坂口
- それは面白い取り組みですね!

脇屋シェフ
- 寿司屋や割烹の店は、オープンキッチンが定番ですよね。でも中華料理だと、そういうスタイルの店はほとんどありません。だから、下処理はお客様に見えないようにバッグサイドで行い、お見せしてもいいところだけをお客様の前で行うというように、料理のスタイルを大きく変えるのが大変でした。

坂口
- でも、お客様にとっては、目の前で調理してもらえるのですから、うれしいですよね。

脇屋シェフ
- オープンキッチンだとライブ感もありますし、喜んでくださるお客様も多くいらっしゃいます。シェフにとっても、お客様と直接お話をすることができるようになり、新鮮な感じです。
お客様の召し上がるスピードを見ながら、お料理をお出しするタイミングを細かく調整できるようになりました。

坂口
- 確かにコロナは飲食店にとって大きなダメージになっていますが、それをポジティブに捉えて変化する飲食店が出てきたことによって、お客様の外食の体験価値が変わってきてますよね。

脇屋シェフ
- 私たち飲食店にとっても、今回のコロナ禍は、「今までと同じことをやっていたのではいけない」と、危機感を感じさせました。この状況があと何年続くかわからないけれど、悲観ばかりもしていられない。
どの店も、新しいことを生み出そうと、いま、必死で頑張っていると思いますよ。

画像11


料理も、SNSでの情報発信も、大事なのは「日々進化」


坂口
- 脇屋シェフは現在、YouTubeやFacebookで活発に情報を発信されています。これも新しく始めた取り組みですか?

脇屋シェフ
- そうです。お店のスタッフに勧められて始めたのですが、最近はとても楽しくなってきて、自分でライティングを調整したり、画像の角度を調整したり、いろいろとこだわっています(笑)

画像7

脇屋友詞のYUJI CHANNEL

坂口
- 反響はいかがですか?

脇屋シェフ
- 思ったより大きくて、SNSで情報を発信する原動力になっている感じがします。
文章の流れとか、写真の順番とか、二手先、三手先を考えて動画を作る。以前は失敗することばかりで、1本の動画をアップするにもすごく時間がかかっていましたが、今はずいぶん手際がよくなりました。

坂口
- まさに、料理と一緒ですね!

脇屋シェフ
- 視聴者の方から「おいしそう」「お店へ食べに行きたい」という感想が寄せられると、やっぱりうれしいですよね。自分でやったことが自分に跳ね返ってくるという点で、SNSも料理も同じだと思うんです。
だからこそ、「もっとおいしそうに見える角度で撮りたい」と思うし、「まあ、これでいいか」じゃダメ。昨日より今日、今日より明日って、日々進化していくことが大事だと実感しています。

坂口
- SNSでお客様とつながることはありますか。

脇屋シェフ
- ありますよ。たとえば、15年前、お店で結婚式を挙げられたご夫婦が、「息子がこんなに大きくなりました」と写真を送ってくださったり、「久しぶりにお店へうかがいます」とおっしゃってくださったお客様に、「いい個室をご用意しておきますね」とお返事したり。

坂口
- わざわざ電話をかけるまでもないけれど、ということを伝えるのに、確かにSNSは便利ですよね。

脇屋シェフ
- YouTubeを見てくださるのはお客様だけでなく、他の料理人や生産者さんも多いんです。「今回、千葉からこんなに新鮮な野菜が届きました」とか「北海道からこんなに素晴らしい魚介が届きました」などアップすると、他の料理人にとっても刺激になるようで、その生産者の方のところに問合せが相次ぐこともあるようです。

坂口
- それは、生産者の方にとってもうれしいでしょうね。

脇屋シェフ
- 北海道にいて、僕が「山菜の王様」と呼んでいる山菜採りの名人がいるのですが、動画でその方のことを紹介したら、たちまちその方のところに問合せが殺到。料理人は、常に新しい食材を熱心に探していますから、そうやって業界全体が活性化していくことも、SNSを活用するメリットかなと思います。

坂口
- お客様、料理人、生産者。三者を繋ぐSNSは、このコロナ禍において、もっと活発になりそうですし、お店としても、自分から積極的に情報を発信していく取り組みがより重要になりそうですね。

脇屋シェフ
- コロナ禍でも、お店に来てくださるのはSNSなどを通してつながっているお客様が多いです。この時期だからこそ、そうした絆が大事なんですよね。
この間、京都から昔なじみのお客様がわざわざ来てくださったのですが、あいにく、僕は仕事で不在にしていたんです。でもその方にサービスをしたかったので、僕が出演する動画を撮影しました。

坂口
- どんな内容だったんですか?

脇屋シェフ
- お店からサービスをご用意しました、として、3つのボールを準備。それぞれのボールには「シャンパンボトル1本」「激辛のおいしい麻婆豆腐」「ザーサイ盛り合わせ」と書き、僕が動画でそのボールについてご説明したんです。そして当日、お店にいらしたお客様に動画をご覧いただき、ボールを選んでいただきました。
結局、選ばれたボールには「ザーサイ盛り合わせ」と書かれていたのですが(笑)、もし逆で、僕がお客の立場だったら、たとえクジがハズレても、喜ばせてくれようとしている演出が嬉しいじゃないですか。

坂口
- 確かに! その方も喜ばれたでしょうね。

脇屋シェフ
- 嬉しいことに、とても喜んでくださいました。
このコロナ禍、わざわざお店へ足を運んでくださるお客様には、本当に感謝しかありません。だからこそ、1回1回の機会を大事にして、お店で過ごされる時間が素晴らしいものになるよう、これからも努力したいと思っています。

画像3


withコロナ時代の飲食業界は、「原点回帰」と「新サービスの創出」


坂口
- コロナ時代、今後、どんな活動を展開していきたいと思いますか?

脇屋シェフ
- 変わらなければならないこともたくさんあるけれど、飲食店の本質は変わらないはず。1,000円の料理には1,000円以上の、10,000円の料理には10,000円以上の価値をつけ、ちゃんとした形でご提供していけば、お客様は必ず理解してくださる、と思っています。

坂口
- 「ちゃんとした形で提供する」とは、どういうことでしょうか?

脇屋シェフ
- 今までなら、黙ってでもお客様は足を運んでくださいました。駅前にある店や、観光地にある店なら、なおさらです。
しかしこのコロナ禍、外食を自粛する動きが強いなかでは、飲食店は生き残っていくために新しいことを考えなければいけません。前年対比で売り上げが大きく下がっているなら、お客様に喜んでいただくため、なにか、価値のあることを考えなければなりません。

坂口
- そのために、SNSにも力を入れている、ということですね。

画像4

脇屋シェフ
- そうです。でも同時に、飲食店の本質的な価値を見直し、上げていく努力も大事だと思うのです。おいしい料理をお出しするとか、心地よいサービスをご提供するとか、飲食店としての本質そのものがブレてしまえば、たちまちお客様からの信頼も失うでしょう。
しかもこのコロナ禍、どの飲食店も頑張っていますから、どんどん差がついてしまうだろうと思います。

坂口
- 新しいことに取り組みながら、飲食店としての本質的価値も見直す。日本だけでなく、世界のフード業界は今までにはなかった、大きな転換期にいるということですね。
最後に、同じ飲食業界の方々へのメッセージをお願いします。

脇屋シェフ
- ニュースなどでは悲観的なことが多く伝えられていますが、決して、これが終わりではありません。「今はピンチではなく、新しいことを生み出すためのチャンスがやってきたのだ」と前向きに考えれば、なんでもチャレンジしてみようと思えるはず。
ぜひ、みんなで協力して、日本の飲食業会をますます活性化するために頑張りましょう!

画像6


まとめ


日本のメディアでもおなじみであり、既成概念に囚われない発想で、独自の「ヌーベルシノワ」を確立した脇屋友詞シェフ。
新しいものを積極的に取り入れようという姿勢は、現在、YouTubeなどを使って積極的に情報を発信する取り組みにも表れています。

ただ、待っているだけではダメで、シェフみずから情報を発信する。
そうした“作り手の顔が見える飲食店”こそ、このコロナ禍、わざわざ足を運びたい店であり、長く通い続けたい店になるのだろうと思います。

昨日より今日、今日より明日、日々進化していくことが大事。
脇屋シェフのその言葉が、今の飲食店にとって、とても大事だと実感しました。

今回の「Restore PJ」では、目玉のリターンとして、脇屋シェフのスペシャリテである、フカヒレラーメンやフカヒレキャビア丼を特別価格で味わえるリターンもご用意。

画像10

このまたとない機会をお見逃しなく。

「Restore PJ」のクラウドファンディングページはこちらから





この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?