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【日記】2023年5月プログラム最終日

2023年6月1日。
5月プログラム最後のイベント、島内発表会は島民30名ほどを迎え、小学校の体育館で行った。学生たちの発表を終えると、数名の方から質問や激励の言葉をもらった。
 
島内発表会を終えると、学生たちと私たちはスーツケースを持って港へ向かった。子供達、先生、島民の方々も一緒に港まで見送りに来てくれた。
 
握手を交わしハグをしてお別れを告げ、15名の学生たちは三原行きの船へと乗り込んだ。何人かの学生や子供たちは、目に涙を浮かべていた。私を含むRDSスタッフは、船が見えなくなるまで、鷺港から笑顔で手を振った。船に乗る学生たちも見えなくなるまで手を振り返してくれた。
 
「よくやったね。大成功じゃったね」

船が見えなくなった海をしばらく眺めていると、島のおばあちゃんの一人に、優しく話しかけられた。その瞬間、視界に入る瀬戸内海の景色が霞んで見えなくなった。立っていられないほど、涙が出てきた。そんな僕を見て、ブライアンも桃子も泣いた。
 
おばあちゃんの言葉を聞いた時、何年も思い続けた「学校をつくる」という構想が、そうか、現実に始まったのかとこの時になってやっと腑に落ちた。コロナの3年間、再来月ならできる、半年後ならできる、と自分に言い聞かせて待ち続けた。2022年の終わりになって、ブライアンも外国人学生も日本に入国できる兆しが見えて、ようやく5月プログラムの開催が現実味を帯びた。それからは、振り返ることなくただただ走り続けてきた。佐木島を去る学生たちとは、世界のどこかでまた必ず会うことになると不思議な確信があったので、寂しい気持ちはほとんどなかった。私たちの学校が「確かに始まったのだ」という事実が、心を打った。

学生を見送った後は、島内で使用させていただいた施設の片付けと挨拶回りをした。こうして、レッドドットスクールの第一回目の5月プログラムを終えた。

(河野直)

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