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詩(追悼開始日/歩く亡霊/無罪の罪)    +あとがき(中年期以降は老いの初期?)

若い頃、寺山修司の詩が好きで、自分でも日記のように書いていたことがありました。
韓国文学に刺激を受け、久しぶりに書いてみたものたちです。

国内外で不穏なニュースの絶えないこのごろ、前置きとして↓

…そういう方向なので、不 穏 な 単 語 を 使 っ て ま す よ〜!!



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追悼開始日

私は耳をそばだてる。
あなたが何か言っているようだったから。

口や手が動き、何かを伝えようとする波動が伝わる。
しかし、わからない。聞こえない。
違う周波数なのだろうか?
チャンネルが合わないのだろうか?
これは幻なのだろうか。

私も声を発したが、届いた様子はなく、首をひねる人を見る。
このガラスは何だろう。この距離は?
意志の疎通が不可能なら、私たちは何をしているのだろう?
ただの徒労を積み重ねて。


銃声がした。
あなたが倒れていた。動かなかった。
私は涙を流した。
ついにわからなかった言葉のために。
ついに届かなかった言葉のために。

波打ち際の砂の上に涙は落ちた。


私が倒れていた。動かなかった。
私も力尽きたのだろう。
何かに撃ち殺されたのだろう。

長い長い、長い月日。追悼が始まる。



歩く亡霊

ぱっくり割れた額から流血し 得体の知れない汚れを垂らす手で
真昼の往来を うめきながら歩く
引きずる影が重く 息さえかすれ カラスの鳴き声以外は聞こえない

何をそんなに? ああ 追悼が足りないのか
無念のあふれるこの世で
亡霊と化したものたちを 悼む祈りが足りないのか
踏みしめる骨たちが きしむたびに

ああ 追悼が足りないのか
あふれすぎた無念が人を食い散らかし 灰にする

どうか祈りをくれ
情け容赦ない光よ
それでも流す歌があるなら
ひび割れた世界に注いでくれ



無罪の罪

祈るしかできずにいた者を責めるのは人でなしだ
私は 私を責めることはできない

どれほど あの子供が あり得ない願いに我が身を刻んだか
喜怒哀楽を差し出し 結果 全てを失ってしまったか
私だけは知っているのだから

あの異形の子供を からっぽの子供を
私だけは 指差し笑うことはできない


何もできずにいた者を笑うのは人でなしだ
私もそうして 意味もわからず笑ったんだろう

誰が望んでそうするだろう
好きこのんで罪人となるだろう
選べるのならば 鬼になどなりたくなかった


どれだけの人が その苦い毒を飲んだか
そのひどいぬかるみを通ったか

なのにまた新たに一人きり
誰がいようとたった一人で

また新たに鬼と化す
何を葬っても生きたから

私だけは私を責められない
知っているだろう? そこに埋まっているものを


また新たに知らんぷりで生きる嘘つき
私だけは責めまい そのみじめさも 汚さも


全てが終わり許される日には この恨みも消えるだろうか
平らな地平を遠く見ながら ぬかるみの先へ

わけもわからぬ歩みの果てに
全てが砂と消えればいい



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5月に書いたものです。

1つめは、ダーッと打ったまま。
2つめは、終わりが繰り返しになったのでゴソッと削り、3つめは、言葉がフラフラしてよくわからず、「ええい終われ!!」と、とにかく終わらせました。

…昔の手癖のままだな、と、自分で思います。
詩、となると、今好きなものに影響を受けるより、あんまり変わらないんだな、って。

坂口安吾が、「一生青春が去らないとはやるせない」とか書いてましたが、私もこの点ではそうなのかも。
何才になっても、内心では、全く中二病が続いてるのかもなあ…

悟りを開いたりはしないらしい。だいぶ悟ったつもりでも。


若い頃は若い頃でせっぱつまってたりするけど、中年期を過ごすほどに、実際死に近づいてく衰えの道なので、へえ!これが噂の!と思ってます…

マジで記憶や消化が下り坂!!
抵抗せずしかしマシであるように努力しなきゃ、なんだな〜。
老人に憧れたこともありましたが(※岸田今日子のような超越的な人。マンガだと幻海師範)、実際その道を行くとなるとハードですね。

…もうあんまり照れたり遠慮したりしてる暇はないぞ、と思いつつ…
かといって、別人のスピード感が出せるわけでなし。
"私"の範囲内でやれることをやりきりたいと、前とは違った切実さで思うこのごろです。


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※岸田今日子・・・例えば、ドラマ『動物のお医者さん』の、タカさん。主人公の祖母の。
ああいうワガマママイペースっぽい人。

※幻海師範・・・『幽遊白書』の主人公の師匠。カッコいいおばあさんの代表みたいな。
「あんたが年を取れば、あたしも年を取る。それでいいじゃないか」ってセリフがすごく好きだった。




追記: このごろ、ポッドキャストを何かと聞いてます。
もともとラジオ好きで、TBSラジオをよく聞いてたから、そこでもTBSラジオからのものが多かったり。

「ジェーン・スーと堀井美香のOVER THE SUN」って、略すと「おばさん」なんだね!
面白かったり、特に面白くはなかったりだけど、ひとまずアラフィフの自覚をするにはいいかな〜、と、聞いてみてます。

もっと年齢を上げたければ、「大沢悠里と毒蝮三太夫のGG放談」なんてのもあるし。
(こっちは「ジジイ」なんだな…^^;)

韓国文学については、キョンキョンのを時々聞いてます! ←楽しいvv
Spotifyだけでもいろいろありますね。
今、Amazon Audibleにも興味あるんですが…月額1,500円かあ…

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