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募:森鷗外のTwitter

・新札を買った。ちょっと格式高い会の参加費は新品のお金じゃないといけないのだ。もし500円硬貨を求められていたら令和三年以降の新デザインじゃないといけないのかな。マナーというのは手間がかかる。

・新札を買ったというのは、銀行でお札を新品に交換するときに手数料を取られるのである。その銀行の口座さえあれば無料だったのだがあいにく持ってない、550円を徴収されてしまった。金を金で買うのって、てっきり外貨投資だとか資金洗浄くらいしか行われないと持っていたので新鮮な気持ちである。銅臭にまみれた資本主義の犬がよ……

・新札ってピン札とも呼ばれるらしい。新品の札なのでピン札なのかと思って調べたらどうやら違うらしい。ポルトガル語の「pinta」が由来で「一番のもの、初めのもの、最上のもの」の意味とネットには書いてあるが明確な出典が分からないので眉唾程度に。ピンからキリまでとかピン芸人もこれにあたるっぽい。一応他の説として、新しい紙幣はぴんっと張っているからともあったり。こっちがかわいいのでこれを由来にしようね。

・出かけた先で森鷗外特別展をやってたので見てきた。最終日に観覧したのでもうやってないよ。印象的だったのが森鷗外の子供の名前がなかなかに面白いこと。恐らく海外の人名を参考にしてると思われる。於菟(おと)はオットー、杏奴(あんぬ)はアンヌでしょうね。フリッツから名付けられたであろう不律(ふりつ)は音を優先した結果字面がなんともいえない感じに。まあ一年もたたず死んじゃったらしいし。

・あと森鷗外の「歩く姿」が映像としてあった。道端を撮影した映像の数コマに映っているだけである。ちゃんとどれが森鷗外なのかマークしてあるのもおもしろい。史料というのはこんなとこまで蒐集するというのかい。

僕は僕の夜の思想を以て、小説といふものは何をどんな風に書いても好いものだといふ断案を下す。

森鷗外 追儺

・記念展で一番目に留まった一文である。小説はこうあるべき、などという世論に囚われることなく、役所勤めでくたびれた夜の思案をもって自分は小説を書こうといったものだ。引用するにあたって原本を読んでみたが、なかなかに読みやすい。現代の価値観に似ているのかもしれない。人間臭いとこもあって、「書く必要のないとこまで書いてしまった」「床に附いた靴の泥が気になる」とかそんな感じの話をしている。友達に欲しいなってなった。絶対彼は突然夜中にアニメの感想とか送ってくると思う。絶対オタク。

・私も夜の思想が大好き。少し箍が外れた、少し脈絡がない、少し常軌を逸した、奔放さがある思考が好き。クリエイティブって夜と親和性が高い。アイデアって自由電車なので玉付きでどんどん進んでいくのが、こう大きな力で押し上げられる快感をもたらして楽しくなってる。だから夜更かしが好き。

・森鷗外のこと好きになっちゃったな。Twitterやってたっけ?


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