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NO MUSIC, NO LIFE

・AirPods失くした。正確には容れ物兼充電器を失くしてしまった。どこに置き忘れたのかもほぼ判明している。近所のレストランだ。食事をして、ダラダラして、会計して、帰宅して。そこで容器だけ店に置いてきてしまったことに気づいた。私の耳には帰る場所を見失った双子のデバイスが装着されている。彼らは今から老いることしかできない。

・一度店から出た後に、忘れ物を取りに行くことってできるのだろうか。私はあまり世の中を信用しておらず、ミスをしたものが間違いなく悪いと思っているので、店側から「あんなもん捨てちまったさ!ガハハ!」と言われるのではないかとたじろぎしている。そして、それを言われても仕方のないとも思っている。弱気だ。

・実は、過去に腕時計を近所の店に置き忘れていて、それも取り返すことを試みていない。私が小学五年生の頃に親から頂いたG-SHOCKのデジタル時計だ。学生生活を共にした愛時計だが、失くしてもあんまり悲しまなかったし、困らなかった。頼もしいルーキー、スマホのせいだろう。あの腕時計と思い出をもう創れないのは少しさびしいが、既に有り余る思い出があるから円満な別れのようにも感じられた。達者で。

・AirPodsがなくなったことで、外出中に音楽や動画を聴くことができなくなった。電車の待ち時間にポケットを弄っている自分に気付く。あの曲が聴きたくてイヤホンをつけているのではなく、音を一つに集中させたくてイヤホンをつけている。耳栓のようなものだ。実際、音を流してもいないのに耳にイヤホンをつけていることがある。つけている方が世界から隔離されて落ち着くから。

・出先で音楽が聴けないのは寂しいが、動画が視聴できなくなるのは少々嬉しいことかもしれない。タイパ(この略語何)重視というわけでもなく、移動中に家でも見られるような動画を漁ってデータ通信量を貪り快楽を満たすのはあまり丁寧じゃない気がする。適切な距離を持ってメディアと触れていたい。そういう願望はいつも持っている。達成するには意志が弱すぎるのだけれども、それならば物理的に不可能になれば良い。今回のAirPods紛失は私に理想の生活をもたらしうるかもしれない。いや、取り返そうと思えば取り返せるんだろうけど。

・昨日取り上げたcell to singularity で新しいイベントが始まった。テーマは絶滅。地球でおきた大量絶滅の歴史をシミュレーションしながら学ぶことができる。早速始めてみたが「絶滅」というのをこのゲームの形に落とし込むのが上手だなと感じた。放置(またはタップ)でポイントを増やして、ポイントを消費して生産効率を強化して、また放置して……がこのゲームの特徴だが、今回のイベントでは絶滅フェーズが起きるたびに一部の強化機能が永久に失われる。絶滅種はもう蘇らないのだ。時間の不可逆性を感じられて気持ちよかった。このゲームの運営は事実を都合よく歪曲せず、しかも分かりやすい形で表現してくれるから好感が持てる。良いゲームです。

・買った牛乳を初めて飲み切ることができた。2L。どういうわけかこの世の食べ物は放置すると劣化するものばかりであり、気まぐれな私はこの世界のシステムと相性が悪いみたいで、よく物を腐らせてしまう。そんなわけで、牛乳なんていつもなら買わないのだが、グラノーラのためには仕方がなかったのだ。グラノーラは癖もなく、毎朝とまではいかないものの定期的に食べられる物であったので無事に牛乳を消費することができた。グラノーラさまさまである。まだグラノーラは半分くらい残っているので、新しい牛乳を買わないといけないのだが、果たしてまた私は牛乳を消費できるにだろうか。唐突にグラノーラの味に飽きてしまうのではないかと思ってしまうと足がすくんでしまうが。どうしようかなぁ。

・健康的なこと(私のいう健康には「グラノーラを食べる」が含まれている)をするたびに脳内の私βが「お前は不健康じゃないとダメだ」と言ってくる。なんか健康になることに抵抗感があるらしい。キャラ作りなのかな。やめちまえそんなキャラ。

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