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THE ストラクチャー ~なにが"良い"トナメたらしめるか~

はじめに

ポーカートーナメントにおいて、ストラクチャーはプレイヤーの満足度やゲーム性に大きく関わる重要な要素です。

本記事では良いストラクチャーの特徴や目的にあった調整方法など、
NLHEライブトーナメントのストラクチャーについて私が考えていることを記述します。

※Recアミューズポーカープレイヤーの拙文です。誤っている部分あればご指摘いただければ助かります。
※読みやすさのために断定して書かれている部分がありますが、あくまで個人の意見であることをご了承ください。
※¥300と書かれていますが全文無料です。
※序盤はつまらないので忙しい人は3.から読むのをお勧めします。



0. ストラクチャーの要素

ストラクチャーを作成する際に考えるべきことは色々ありますが、
骨格となる要素は以下の通りです。

  • Starting Chips (チップ)

  • Duration (1レベルごとの時間)

  • Blind Transition (ブラインド推移)

--下記項目については後半軽く触れる程度となっています--

  • Ante (アンティ)

  • Late Registration (レイトレジストレーション)

  • Break (休憩) 

  • Color Up (カラーアップ・デノミ変更のタイミング)

--下記項目は触れられませんでした。余裕があれば加筆します--

  • Rebuy / Addon (リバイ・アドオン)

  • Satellite (サテライト)

  • Rollback (ブラインドの巻き戻し)


1. WSOP MEから基礎を知る

2022_WSOP_MainEvent_Structure

まずは知名度・規模共に世界一と言えるWSOPMEから見ていきます。
参加人数が多くスピードはスローであることに留意して内容を確認します。

  • Starting Chips (チップ)
    60000 (300bb)

  • Duration (時間)
    120min

  • Blind Transition (ブラインド推移)
    リンク参照
    ※Level 1  100/200/200 (300bb)

一部抜粋

Starting Chipsについて、多くのメインイベントでは開始時200~300bbが採用されています。しかしこれには一つ罠があるので【Stackが100bbになっているLevelが2~5】になるようにするとよいでしょう。

実際のChip数(今回だと60000)は基本的には自由ですが、想定人数をオーバーした際にチップが足りなくなることは避けましょう。
またイベント(Series,Tour…)内のトーナメントの場合はBuyinとチップ量に相関があります。 (e.g. サテ10,000, メイン60,000, ハイローラー150,000)

Durationはトーナメント終了時刻と参加想定人数から逆算した上で、各レベル全て同じ時間にするのが基本です。その上で必要に応じてアレンジを加えます。

ブラインド推移は【3レベル上昇するとBlindが2倍になっている】事が基本となります。上にLevel7から18までの推移を抜粋していますが、3つ先のBB額を見ると全て倍になっていることが分かると思います。この前後のレベルについても、末尾に0を付けたり消したりして対応します。


2. 目的に合わせて調整

 1.で述べたストラクチャーをベースに用途に応じて調整を行います。


2.1. Turbo

WSOPMEほど時間をかけれるトーナメントは存在しません。大人数を1日で捌ききらなければならなかったり、数時間で終了しなければならないトーナメントがほとんどです。そのためにTurbo化を行います。

①Duration(タイム)削減

まずは一律で減らします。終了想定時刻などから上手く調整しましょう。
個人の意見ですが、HyperTurboもしくはShortHandedでない限りはDurationは15分未満にすべきではありません。これは各Levelでボタンが一周以上すべきという考えからになります。もし15分未満になってしまう場合は②以降の方法を検討しましょう。

何かしら目的がある場合は各レベルごとに時間調整をしても構いません。しかしながら細かい時間変更が重なるとUsabilityが下がるため注意が必要です。

②Levelの中抜き

一部ブラインドをSkipする方法です。

グレーアウトしているLevelの一部or全部を削除

上図でグレーアウトしていないLevelを抜くのはお勧めしません。BBの1Levelの上昇額が単調増加にならなくなってしまうこと(200→300→500→600など)が理由になります。

Levelの抜き方についても目的に応じ統一感がある方が良いです。

左は「後半ターボ」中は「全体的に間引き」でコンセプトがあるが、
右の抜き方はセンス無し


③Levelの頭抜き

開始数レベルを削除

序盤を削り浅いスタックで開始することも可能です。
Turboと名がつくものは100bb,HyperTurboの場合は75~50bbスタートであるものが多いようです。


2.2. Deep (Slow)

仮で作成したトーナメントから少しSlowにしたい、Deepなトーナメントを行いたい場合の調整方法について記載します。とはいえTurboで書いたものを逆にしただけですが……

①Duration(タイム)増加

大きく終了予定時間からズレが生じた場合、一律でDurationを増やします。
一部Levelのみ増やすことも悪くありません。

※【NG事項】 途中に新規Level差し込み

新規Level(700/1400など)を差し込むことはお勧めしません。一つ前のBlindをもう一度行うか、前後のDurationを増やすなどして対応した方がよいと考えています。

左の様に無理矢理刻まず、同じLevelを2回やるなどして対応。

②スタック増加 & 序盤にLevel差し込み

よりDeepなトーナメント(300-1000BBスタート)を開催したい場合、Levelはそのままスタックを増やしたり序盤にさらにレベルを差し込むことを検討しましょう。最序盤のBlindについては3.1.で解説しています。

Level1,2を新たに差し込み


2.3. Final Table

Short Handed(3名以下)になるとDurationを短くするトーナメントがいくつか存在します。これは1Level当たりの各Playerの参加可能ハンド数を揃えるという考え方です。例えばWPTなどではHeadsUpになった段階でDurationを半分に変更しています。

ただ上記調整はある程度SlowなTournamentのみ効果を発揮するのでTurboなトーナメントはそのままでいいと思います。

2.4. Amusement vs Casino

国内アミューズで行われているトーナメントは
  ・InThePrizeの人数が少ない(ほぼFT以降)
  ・長い時間楽しめる人を増やしたい
  ・エントリー数を増やしたい
といった特徴があるため、【LateReg.手前のLevelをSlowにして、後半Turboなストラクチャー】が合理的かつ一般的な形となっています。

対して海外のトーナメントは
  ・十数%にPayoutがあり、FTに懸かっている金額が大きい
  ・Guaranteeさえ超えればエントリー数に強いこだわりはない
  ・バブルという概念が存在する
といった特徴があり、こちらはWSOPMEのような一定の割合で上昇するストラクチャーが基本的に採用されています。また【ITM後の賞金が影響する段階になってからSlowにする】形や【バブルライン近辺のLevelを少しSlowする】形など一部調整が行われる場合もあります。


3. 細部いろいろ

※より個人の思想が強く出ているのでご注意下さい。それに伴い文体も崩れ気味です。

3.1. 100→200問題 ~最序盤について~

BBAnte制になり25chipが廃止された影響で、
Level1: 100/100/100
Level2: 100/200/200
となっているトーナメントが多くありますが、これが個人的には少し気に入りません。

まずはデノミ1枚をBBにしないで欲しいです。1bb単位のBet/Raiseしかできないのはゲーム性を少し失っているように感じます。キャッシュの5-5とかどうなんだと言われたら反論できませんが……
次にBlindの上昇が大きすぎる点です、例えばEP vs BB 2bpだとLevel1→2でPotが平均1.8倍ぐらいになると思うのですが、もし1Hand遅かっただけで約2倍チップが取れた可能性があるというのは結構つらいものがあります(Stackが深くBigPotになりがちなので余計に)。
よって下記代替案に変更してほしい気持ちがあります。

左:StartStackを1.5倍などに増やして100/200/200からスタートする方式
右:AnteCutする方式 最初に入っているPotは300で同じだが平均Potの上昇率は抑えられる。

Level1は相手のプレイスタイルを確かめるのが目的とか、Level1で即飛びするのは良くないという意見も理解していますが、ご検討のほどよろしくお願いします。


3.2. SB ≠ BB/2 (SB額について)

SBはBBの半分というのが一般的ですが、一部ちょうど1/2にできないBlindが存在します。

BBを半分にできないBlind一例

一般的にはBBの半分より少し大きいSB額が採用されがちですが、ColorUpの兼ね合いなど色々な懸念事項や個人の好みがでるのでどちらでも大丈夫です。
SB額の大小によるアクションの変化については下表にまとめてあります。

どちらがPot焚きやすくなるかは諸説あり

またBB1500についてはSB額の選択肢4つありますがここは3.4.で細かく述べます。
他にもSB=BBのポーカースポットがあったり、将来SmallBlindが廃止される可能性があったりなので、繰り返しになりますがここは好みで決めて構いません。


3.3. Half Ante という概念 (Anteについて)

BigBlindがBlindと同額のAnteを出す形式が一般的になっていますが、ShortHanded(4名以下)でHalfAnteを採用するストラクチャーも存在します。
しかしこれはかなりユーザーに優しくないと感じているのであまり採用しないで欲しいです。確かにHeadsまでくるとBBAnteの大きさから戦略に変化が出てくるのですが、言ってしまうとあんまりAdjustせずやってる人が多いので、まぁ、分かりやすさ優先ということで。

また、HeadsUpのAnteCutについてはどちらでもいいと思います。海外だとあまり見かけないかもくらいでしょうか。


3.4. 1400~1600問題 (両替のストレスについて)

はい来ました、次の文章を書く為にこの記事を作成したといっても過言ではありません。

700/1400/1400 をこの世から消し去りたい

BBAnteはお釣りなくちょうど出さなければなりません。BBが100チップを4枚持っていなかった時点で両替を行う必要がありますがその確率は他のBlind
にくらべかなり高くなってしまいDealerの負担が大きくなってしまいます。
更に7の倍数というのはあまり親しみの無い数字でbb換算での計算も時間がかかりがちでユーザビリティに欠けます。そのため1000/1500などへ変更すべきです。

- - -以下考えうる反論への回答- - -

  Q. 200/400/400も同じ理論で廃止すべきではないか。
  A. おっしゃる通りですがここはSkipできないBlindなので仕方がありません。問題なのは1500という代替案があるのに1400でDealerとPlayerへ負荷をかけていることです。

  Q. 700/1400/1400時点では飛んだ人もそれなりにおり、平均所持100チップ数が増えているため、問題ないのではないか。
  A. 一理あるのですが、実はチップリが20枚積みで100チップの流通を止めがちなので100チップ枯渇している人の割合は変わっていないように思います。

  Q. 一度1400の両替をしてしまえばその後のお釣り出しなどが行いやすくなるのではないか。
  A.  両替を防ぐための両替をしているのは無意味かと思います。

  Q. 1000→1400→2000の方が上昇率としては理想なのではないか。
  A. ではあなたのストラクチャーは2000→2800→4000と刻んでいるのでしょうか。なんなら1000-1400-2000-2500-3000みたいなBlind見たことありますが上昇額が減ったりしているのでもう本当にダメです。

ちなみにそこで700/1400が怒られているのをニヤニヤ見ている900/1800 や 1200/2400も同罪です。

それではどうすべきか、 bb1000→2000の間のストラクチャーについて、いくつかパターンを出して解説します。

◎基本の形

WSOPMEにもある基本の形
ColorUpもLevel9以降対応可能

◎昔の主流形

全員Ante時代は1600を利用したものばかりだったように思う
800/1600はSBが1000しか出せないorBBが2000しか出せないときもお釣り出せるのが利点

◎ターボ形

Turboにするならこの形
Level8にColorUpしない場合でも1000/1500で良いと思う

×ターボNG形

ポーカースポットでよく見る形
前述の通り1400を採用するなら1500に変更して欲しい

×SBが800(or700)でNG形

一見良さそうだがSBを700or800に設定すると結局両替の必要が出てしまうのでNG
とはいえ1400よりは許せる

×刻みすぎNG形

ここまで刻む必要はない
このあたりのBlindをSlowにしたいなら600/1200を2Levelやる方が良い


3.5 BreakとColorUp

Breakは2時間ごとに10-20分入れるのが主流です。とはいえ1時間ごとに5分入れる形式も見たことがありますし、ある程度の割合が確保されていればOKです。ただBreakでColorUpなどチップ処理をする場合は10分欲しいかなと思います。
DinnerBreakは中々国内では見かけないですが40分以上あるとPlayerに優しいです。

次にColorUpのタイミングですが、【BBがColorUp後のデノミの3倍~5倍の間】に行うのが良いです。例えば100のカラーアップであれば次のデノミは500になるので[1000/1500 , 1000/2000 , 1500/2500]のどこかで行えればOKです。個人的には4倍が綺麗なイメージ。
都内の店舗でBreakのタイミングが合わず2倍(5000/10000時点で1000ColorUp)でやっているのを見たことありますが流石に早いんじゃないかな……と思います。

あと蛇足かつめっちゃ細かいですが、40000/80000/80000というBlindについて、5000のColorUpを早めに行えるのであれば50000/75000/75000に変更するのもありです。


3.6. Late Registration

レイトレジストのタイミングについて、StartingStackが15BB-30BB程度になるLevelで閉じるのが一般的です。どんなにTurboでも12.5BB未満でエントリーできるのは面白くない印象を持っています(昔とあるアミューズは7.5BBでエントリーできました)。

また通過率の高いサテライト(1/3など)はギリギリ参加が正当化されやすくなるので早めにレジスト閉じたほうがいいです。


4. おわりに

ストラクチャーについて思っていることを書かせていただきました。

「700/1400を廃止する」
これだけ覚えて帰って下さい。

本当はアベレージスタックの予測とか、サテライトとか、Blindのロールバックとか、国内によくあるday1色んなところでやってDay2以降1会場で行う場合の対処法とか、エントリー数増やすためのアミューズの努力とか書きたかったけど11/3中に投稿したかったので一旦この辺で。
後半部分もかなり内容とっちらかったので余裕があれば加筆修正したいと思います。

ストラクチャーに完全な正解はないのであなたの思う最強のストラクチャーを作ってみてください。
ちなみに見た目とPlayerの満足度は結構一致しなかったりします。一つ例を出すと下の2つのストラクチャーを見比べたとき左がTurboなトーナメントに見えますが実際は少し右がTurboだったりするのです。なのでどこかからコピペするだけではなく色々試行錯誤してみて下さい。

Level上がる直前の1HandをWin The Buttonにした左のトナメやってみたい。



読んで下さりありがとうございました。

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