31 一貫性の法則 32 負担軽減の法則 33 注意集中の法則

◆ 31 一貫性の法則
一貫性の法則とは、「自分の態度・発言・行動などに“一貫性”を持たせたい」という心理のことです。つまり、「矛盾」しない態度を取りたいと思う傾向があるということです。いいかえれば、次の様に言われることを良しとしないのです。
・状況に応じて態度がコロコロ変わったりしない・前言った事と今言ってる事が矛盾していない・前やってた事と今やってる事が矛盾していない
相手から信用してもらえるという体験から、自分自身の心の平安が維持しやすいという理由があります。また、日常を振り返れば、「習慣」という形で選択を容易にしている場合も多く見られます。とくに理由はないけれど、「いつもそうしているから!」という行動など。
連載ドラマを観てしまう、同じお店で買物する、お気に入りの商品があるなども、この心理が働いています。
フット・イン・ザ・ドア・テクニック(段階的要請法)は、小さな要求を承諾させ、徐々に要求を大きくする事で、“本来の要求”へと近付けていくことです。1万円を借りる為に、まず10円を借りるところから始め、徐々に借りる金額を100円、1000円と大きくしていくというアプローチ。

◆ 32 負担軽減の法則
車を運転するドライバーは、自宅近くの慣れた場所にくると、交通標識をあまりど見なくなるといわれています。実際、「なんでこんなところで事故を起こすの?」といいたくなる場所で事故は起きています。自宅近くの事故率は意外に高いのです。
これは、習慣的な行為による負担軽減の法則といわれるものです。習慣になっていることに関して、いつもの経験に頼った思い込みから、油断をして、楽(負担を軽減)をして行動を選択してしまうことをさします。
いつも通っている道で、車と対向することはない。自転車が飛び出してくることもない。歩行者もほとんどいない・・・と普段の経験から決めつけてしまいます。
「注意力を働かせて、安全を確認する」負担から逃げています。
日常の経験のなかでも良く見られる行動パターンの一つです。
いつも叱られる相手に対しては、「いつもと同じことをいっているのだろう」ときちんと聞くことを省略します。
駅の改札を降りてから、自宅まで、一々、この交差点を曲がって、数百メートル直進し、さらに左に折れる・・・などと道順を考えながら歩くことはしません。自然に、足が動きます。これも負担軽減です。
慣れた行動には、負担軽減の法則が働くことガ多い。そして、これが働いているプロセスで、なにか突発的なことがおきると、自分がどこまでやっていたのか、どの段階まで進んでいるのかを咄嗟に思い出すことができません。結果、ケアレスミスを起こす場合が多いといわれています。
ケアレスミス=不注意といわれるのですが、本当は、「負担軽減」が働いていたために誘発したわけです。脳の仕業です。

◆ 33 注意集中の法則
私たちの「脳」は、とてもデリケートな反応を見せることがあります。かなり、いい加減ということもできます。
たとえば、何かについて聞き取り調査などをする場合、明らかに楽しい記憶に働きかける質問をしてから、本題の質問をした場合と、不満を持っているようなことに働きかけてから聞く場合では、答えの内容が変わってくるというデータがあります。
具体的には、「先月、何回デートしましたか?」という質問と、「不景気が続いていますが、暮らし全般に対して満足度は?」などの問いかけのあとでは、後者の場合、よりネガティブな傾向になります。
この傾向を、「注意集中の法則」と言います。気持ちを集中している事柄に、気持ちが引きづられるというものです。
あばたもえくぼ・・・も、この一つと言えそうです。
同じような実験で、「バスケットボールをしているチームのビデオを見せて、何回パスをしたかを数えるように指示をすると、ゴリラの着ぐるみを着て画面を横切った人間に、ほとんどの人が気付かなかった」というデータも報告されています。これも、ある一つのことに集中したために、他のものが見えない事例です。非注意による見落としといわれるものです。
このように、私たちは、自分の関心のあるものを見ています。時には、自分に都合のよいように画像(観たもの)のイメージを編集したりもします。
人の話を聞くときも、自分に都合のよいように聞いています。それが、「人」というもののようです。しっかりしていると思いこんでも、結構いい加減なところがあるようです。
脳って、面白い!

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