re〈再生〉
久しぶりに映画を観た、「リリィ・シュシュのすべて」
いつぞやに一度見ようと思ったものの30分ほどでギブアップしてしまった作品を再生。
今週末に公演があるというのに、直近になったやることを見失い昨日はスマホを見ていても掃除をしても頭に情報が入らなさすぎて気持ち悪くなった。疲れでもリベンジ夜更かしでもないのに眠れなかった。
今日は何をしたかというと特に何もしていない、5限に一コマだけ講義を受けて未払いだった家賃を払って失恋した高校の同級生の話を聞いた。それだけ。
何かミスをしたわけでも、とち狂ったわけでも病んでもいない。それなのに自分が良くない状態であるということだけが分かる。
昨日は珍しく掃除をした、自炊もした。それなのに眠れない夜があって今日はずっと見ようと思っていた映画をようやく最後まで観ることができたのに。なんだろうこの気持ちは。失敗した時には少し嫌な未来が分かるし、苦しい時にも何に苦しめられているのか分かる。
とりあえずリリィ・シュシュを観たせいにしてみる。
最近、台本を書こうとする、文章に触れる機会が少しだけ増えた。分かりやすく、簡単に誰かに見せれるようなもの、共有しやすいもの。
自分の考えには独創性があり、他とは比べようのない場所に位置している。そう思いたい時期はあったし、そう思ってる時もあった。それがある程度プライドの材料になっている時もあった。それでも僕はそこまで他人と変わらない、というよりも僕が思っているベクトルに違いは持っていない。そこら辺は平凡でむしろ無知な存在。
言語化をする前にそんなことを考えつき、自分はこんな人間なんだと思い始めてた最近のいつか。自分が消費されていってる、何か既存の型にハマるように扱われているような感覚がしてならない。物心がついてからいつだって嫌悪感を抱いていたそんな感覚に襲われた、そしてそれを嫌がらなくなっていた。というよりも今の今まで感じてすらなかった。
おそらくやってくる、いや来てもらわない困る未来。
その時に僕はもうこの土地にはおらず、僕がいたこの場所は知らない土地になる。その時、僕が出会ったこの場所はどうなるのだろう。出会った人々は何にでもなくなるのか。現在進行形で進んでいるこの現実の生活は、過去のどの僕も予想だにしなかった未来で、ある時の僕からしたら来てほしくなかった未来だ。
そんな思いを剥ぎ取れないばっかりにここまで、自分に対してどこか
後ろめたさを感じて生活することもあった。
過去の僕は今までにミスの選択肢を取ったことはない、それでも今の僕は現実の生活とは別に本来あるべき生活がどこかに潜んでいるとも思っている。どこか違う場所の違う季節と違う人々、違う服と違う髪型をした僕が違和感を覚えずに過ごしていられる生活。
それがフィクションだということも僕の嫌いなファンタジーということもある程度は理解している。それでも僕は何か今わからない気持ちの中でそのフィクションの中で生きてみたい、今の現実の生活とは少し違う生活を送ってみたいと強く願っている。そうして開いた編入学の募集要項。いつしかの僕が見た景色と重なる。もう一度、僕自身をre〈再生〉する。
雨の音が聞こえる、薄い壁から話し声が聞こえる。一日中つけっぱなしのエアコン、タイピング、今日はおにぎりしか入れていないお腹、リリィ・シュシュの音楽、アラベスク。
見える景色はさっきまでとさして変わらないのに、少しだけ視界が明るい。首の裏あたりに張り付いていたモヤが少しだけ取れた。