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FM-Aを弄ってみた

2017年に発売された、SFMからなんと21年振りとなった正統FM系シャーシ。もうじき発売となるVZシャーシまでの間、ミニ四駆シーンの最新鋭として親しまれている。

FM-Aはそのポテンシャルが高いもののまだ歴史が浅く、他シャーシと比べ確立されたものが少なく、試行錯誤が繰り返されている最中であると言える。

私も販売直後に買ってはいるものの、素組み+α程度でガチに検証した事は無かったので、少し真面目に考えてみることにした。

FM-Aは、一言で言えば”優等生”である。
最新鋭ということもあり、非常にコンパクトに作り込まれ、現在の立体シーンに適した作りで、硬いオレンジクラウンを採用してるのもあって非常にタフで初心者から扱いやすい面があるが、その構造上のウィークポイントや優秀であるが故にMAのようにもうワンランク上の次元に引き上げるのが難しい反面もある。

まずFM-Aを速くしたいと、ネット検索すると必ず出てくるのが「抵抗抜き」だ。

写真はまだFM-Aが出回り始めた頃に調べてやったものだが、要はシャーシ内クラウンケース内壁のでっぱりにクラウンが当たらないようにクラウンを削り、520ベアリング等スペーサーを介し位置を固定する手法だ。
当時は深く考えず、”こうすれば良くなるんだ”と試行錯誤した記憶がある。

しかし、今に至ってFM-Aの駆動を触るにあたり、何故そんな事が必要になるのか、何故クラウンが逃げるのか、何故よく聞く「スパーの穴が舐めやすい」のか、考えてみた。
調べた結果、1つの結論を導き出した。
あくまで1つの方法なので、参考の一助になれば幸いである。

何故クラウンが逃げるのか、何故よく聞く「スパーの穴が舐めやすい」のか。
そもそも両方とも少なからずなるものだが、頻度が高いのには必ず理由がある。
つまり、本来想定されていない力が働いていると考えれば答えは見えてくる。

FM-Aのシャーシを見てみる。
スパーに負荷を掛けるのは直接当たっているカウンターギヤな訳だが、実際にどのようになっているか。

カウンターの穴からシャフトを挿入して確認すると、すごく斜めになる事が分かる。

実際にカウンターを乗せてみる。
ギヤカバーに押さえられると、このような状態になる。
モーター側が尻下がりだ。

この状態でスパー等の噛み具合を見てみる。

FM-Aがトルクフルだと言われる理由は、カウンターとスパーの噛み具合がキツめだからで、本来なら抵抗になってしまうはずが、カウンターを斜めにする事で無理矢理逃がしているような形だ。

※良い子は穴開け真似しちゃダメだぞw
(勿体ないから廃シャーシで見本をw)

”モーター位置が悪いから調整が要る”と言われる理由もココにある。カウンターが斜めなのだから当たり前と言えば当たり前の話だ。
実際組んでスイッチ入れたら分かるが、斜めで保持も悪くカウンターピンはクルクル回ってしまい、本来ならかなり力が逃げてるはずだ。
ギヤがキツく斜めに当たって駆動させるのだから、スパーの穴が舐めやすいのも納得だろう。
スパーの穴が舐めるほどだから、シャフトにも少なからず負荷は掛かりクラウンの当たりが変わっても不思議では無い。あまりにもコンパクトに遊びなく設計せざるを得なかった弊害と思われる。

このような雪崩式に不具合が繋がっていくわけだが、私が調べた限りでは、このようなまとめ記事は見つけられなかった。

では、何をしたら良いか?
「カウンターの位置を変える」である。
正直に言うと、結構手間で少なからず技術もいるため簡単ではないが、確実に行えばトラブルは減少し、それに見合う速度も出せると思う。

カウンターの位置調整は、どのシャーシでも難しいのだが、何故難しいかというと、ギヤの噛み合わせは近すぎても離れすぎても力が正常に伝わらないため、1mm以下の中で探し出さなくてはならず、FM-Aはその特異なギヤボックスが更に手間掛かるからだ。

では実際に取り掛かるが、先ずはカウンターシャフトの穴を上側に拡張する。
本当に0コンマ何ミリで良いので、2mmピンバイスで少しゴリゴリしてみよう。
軽く楕円になれば充分だ。
もしやり過ぎたりズレても安心して欲しい。モーターバラして取れるコミューターの輪切りを3mmピンバイスで開け直した穴に入れて接着すれば1度は修復可能だ。

私は微調整するためにコチラの方法でやっている。

楕円にした穴は、油塗ったシャフトを入れて瞬着流せば整形するのが楽だろう。

次はモーター側のシャフト受け。
カウンターシャフトを付けて水平な位置をだし、上記のように瞬着流して整形するか、受けの底部に瞬着を塗った細切りのポリカを貼って整形する。

これで水平が出たら、モーターは位置だし無しの素組みで取り付け、ギヤカバー無しで電池を入れて回してみよう。
(グリスアップは忘れずに。)

この時にカウンターシャフトのモーター側は手で押さえておく。
他のギヤが素組みでも、カウンターのセンターにあるベロ(?)がスパーに当たっていなければ大きな異音は出ていないと思う。
もし気になる音が出ていたら、噛みが悪いかピニオン等中古のギヤ等を使ってれば交換したい。
もし、スパーとペラシャギヤの隙間が気になるようなら、スパーとクラウンの間の壁にある窪みを拡張してスペーサー(壁を全て取り払うと、ギヤが左右に動きやすくなるため、コミューターの輪切りか真鍮の輪切りが良い)を削り出して入れると良い。

概ね位置がでたら、次はギヤボックスを加工する。
あまりにもクリアランスが狭いため、ギヤボックスの内壁を削り、カウンターピンの受けを削らなければ接触して異音が凄いか最悪ギヤボックスがはめきれない。

ギヤボックス内壁はリューターを使って均すのが作業としては向いていて、取り付けと均しを繰り返して異音が無くなるよう調整する。(カウンター尻側の筒部分の接触面になる部分も忘れずに。)

これにより、カウンターピンもしっかり保持して回らないように出来たら完成となる。

クラウン位置出しをしたFM-Aの[動画]と、今回カウンター位置出ししたFM-Aの[動画]を見比べて欲しい。モータースペックはほぼ同じ、電池も同等程度、タイヤサイズやタイヤ(マルーンハーフとハーフチヂミタイヤの組み合わせ×4)の構成はほぼ同一である。

上記写真は動画で実際走ってた2台のマシンだ。
コースも違い若干の仕様変更もあるのでコーナースピードは比較出来ないが、明らかに着地後からスタート付近のストレートの加速はストレス無く上がってるのは見て取れると思う。
分解してギヤを確認したが、スパー・クラウン共に問題は見られなかった。
(現在は若干駆動音になにか混じるが、ペラシャが中古だからだと思われる。今後も確認は続け、判明した事は修正記載する予定だ。)

情報が出回っている”クラウンギヤを位置出ししモーター位置を調整して合わせるやり方”の他に、今回は”カウンターギヤを位置出しする方法”があることを紹介した。
こちらのやり方は全体的なクリアランスが適度に取られるため、チューン系モーターでもかなり速度は出る。また、カウンター位置出しはモーターは動かない程度にマルチテープを内側に貼る程度で良いため、アクセスやメンテナンス、再現性の面も良い。

どうしてもマシンチューンには既成概念が入って、何が良いのか分からなくなる事があると思うが、色んな角度から見て色々考えてみると新しい発見がある。
この話のように、違うアプローチから試してみるのは如何だろうか😌

皆で楽しくミニ四駆しよヾ(●´∇`●)ノ


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