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オレンジクラウンと仲良くなる一つの方法(私流)

オレンジクラウン。
最初期のスーパーミニ四駆から使われているクラウンギヤ(type1、type3は後ろだけ。)で、途中からピンククラウンもデビューしたが、実はシャーシラインナップ上では、ミニ四駆の歴史の中で現存で継続して使われ続けているギヤとして最古の存在となる。

最初期にはGPUで存在したメタルピニオンのプロペラシャフトを受け止めていた事からも分かるように、オレンジクラウンは構造上タフな作りで、2021年現在のカタログ上ではFM-Aで使用されている(カタログから落ちたが、皆さんの現役シャーシとしては主にX系やSFMでも使われている)。

非常にタフで知られるオレンジクラウンではあるが、ピンククラウンのようにヘリカル処理(歯の先端が尖った山型)ではない事もあり、それを原因として異音がすごいと敬遠されやすい。
そのため使用に際し、ギヤ自体を加工する人も多いが、イマイチ上手くいかない話もよく聞く。

ギヤ加工は、名目的には「軽量化」であって、「位置出しや擦り合わせを主目的での加工は不可」という事はレギュレーション上の解釈として付記しておきます。これは私の自論ではなく、2020/8/19のDKチャンネルライブで、現状のレギュレーションにおいてドクさんがタミヤ側に確認した結果に基いた話として動画内で配信されています。要は言い方や説明上の問題、解釈上の問題なので、ギヤ加工自体は否定されませんから、そういう認識としてご注意下さい。


今回は、そんなオレンジクラウンで駆動静かに、そして仲良くなれる一つの方法を書いていこうと思う。

まず、歯の形として

オレンジクラウンは、歯が三角柱を横にした形をしていて、

ピンククラウンはヘリカル処理(歯の先端が尖った山型)されており、四角錐の様な形をしている。
ヘリカル処理されたギヤは、より円滑な駆動工程が可能であるため採用されている。

なので、オレンジクラウンを同じようにヘリカル処理する人も多いのだが、欠点として
〇歯がとても脆くなる。
〇同じ角度で作るのが難しく、都度当たりが微妙に変わってしまう。
〇ギヤ1個ずつ、全てを加工する必要が出てくる為、交換を要するギヤとしては”費用対効果”が悪い。
など、維持に問題点がある。

また、異音の原因にギヤ背面の干渉と考えて角取り等

をする人もいるが、同じ様に消耗品の加工は費用対効果が悪い割に問題点が解決しない事もある。
よって、私はオレンジクラウンを加工する事は現状ほとんど無い。

では、もっとオレンジクラウンと仲良くなりたい人はどうしたら良いか?

実は、既にヒントは過去のnoteにも書いていたのだが、誰も疑問に感じなかったのか、その問い合わせは無かったので、改めて触れてみたい。

「FM-Aを弄ってみた」の記事の中で私は前段で組上げ時の写真を載せ、後段でこんな事を書いている。

”分解してギヤを確認したが、スパー・クラウン共に問題は見られなかった。
(現在は若干駆動音になにか混じるが、ペラシャが中古だからだと思われる。今後も確認は続け、判明した事は修正記載する予定だ。)”

何故、走行検証もしてるのにわざわざ「中古のペラシャを使っていた」のか。
実はコレが私流の最終的な答えなのです。

オレンジクラウンを採用するシャーシは、SFM等の旧シャーシは2mmの、現行では1.4mmのペラシャが使われていて、FM-Aは1.4mm。

新品の軽量ペラシャであれば、写真のような状態である。

コチラは、今年の正月にホビーズJINの大会で走らせたFMXXに使っていた中古のペラシャ。新品と見比べるとピニオンの変形してるのが分かると思う。先のFM-A組上げ時のペラシャも程度は違うが、同じように変形したものなのは写真を拡大したら確認出来るとは思う。

実際に新品と中古をシャーシに填めて確認すると

…分かりにくいね(´+ω+`)

絵に書いて説明すると、例えばピンククラウンはヘリカル処理されているので、回転していくと四角錐の細い歯先からピニオンの隙間に進入し、太くなっていく歯の側面をピニオンの側面全体で押し、抜ける時も徐々に歯先が細くなるから、引っ掛かりや抵抗が少なくなる。

しかし、オレンジクラウンは三角柱を横にしたような歯先なので、回転していくと歯は斜め内角からピニオンの隙間に進入するが、狭い隙間へ斜めに歯全体を突っ込んでいく形になる為、少なからず干渉し、抜ける時も徐々に歯先が斜めに離れていくため、斜め内側が少なからず干渉する。

こんな感じかな🤔(下手でスマンw)

勿論ペラシャの高さによっても当たり方が変わるため具合は変わるが、この様な動きの為にクラウンに押され削られ、ピニオンに変形が生じる。
つまり、新品ペラシャを使っていくと少しずつ、付いてるクラウンの形に馴染んだ、抵抗や干渉の少ないピニオンの形になっていく。
上記写真のように、ギヤの当たる部分を中心に凹むような状態だ。

これがピンククラウンのペラシャであれば、隙間ガバガバでゴミ箱行き間違いなしなんだが、オレンジクラウンがSTDの場合はベターとなる(勿論使っていけば更に変形するので、その時はガタが出てくるから交換が必要)。

この様に慣れた中古ペラシャ等の組み合わせをした時、人によっては「遊びが多い」と表現する場合があるが、これは新品同士で一番深い噛み合わせでベストな位置関係にあった時、中古ペラシャだと噛み始めまでが変形により、一見ギヤとの隙間があり過ぎるように見えるからで、噛み合わせの最深部では同じ位置までクラウンの歯は届いて噛んでいる。

私自身は、オレンジクラウンが熟れた既存のマシンに新品ペラシャを入れて当たりを出し、ギヤ交換後に走らせて馴染んだペラシャをストック(これをローテーション)しておくので、新規に組む時もギヤ自体は無加工新品を使っても異音も出ずに駆動が組めるのだが、ストックが無い場合、新品から作為的にペラシャを作る事も出来る。

廃シャーシを使って、新品ピニオンや新品ペラシャを入れて足回りから全て組み、クラウンやペラシャピニオンにコンパウンドを差して、フロントタイヤ側に適度に負荷を掛けつつ、一晩程度回しておけば、同じような当たりを出す事はある程度は出来、これらで新規に組んでも新品ペラシャよりは問題は出にくい。

先にも触れたが、ベターな当たりが出てから更に使い込んだものは、FM-Aの記事のように変形・摩耗が進んでいて異音も出るが、クラウンの交換頻度と比べればピニオン固定したペラシャは寿命が長く、ローテーション組めば状態を維持する事は概ね可能だ。

この様な理由もあって、私はこの辺りの駆動を弄る事無くオレンジクラウンのマシンを静かに組む事が出来ている。

クラウンではなくペラシャ側を慣らしてしまうという、答えとして書いてしまえば大した話では無いのだが、オレンジクラウンと仲良くしたい人は試してみては如何だろうか。

実際に使用して摩耗した形は、実は凄い重要な情報を持っている一例だね😉

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