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電池とモーターと車体の関係性を考える

ミニ四駆をやっていると、「速いモーター欲しい」「高回転モーターが欲しい」「速い電池が欲しい」「垂れない電池が良いらしい」等々、速さを求めて盲目的にそれらの風聞を追いかけてしまうものです。
しかし、強い人や速い人というのは、それら性能が飛び抜けて凄いから速い訳ではなく、”自分のマシンに合わせた使い方が上手い”のであって、開けぽんモーターや借りた電池でも速く走らせられるのです。

そのようになるには勿論経験も必要ですが、知識として関係性を知っていく必要があります。
今回は電池・モーター・車体の基礎的部分と関係性を考えていきます。

①モーター
ミニ四駆のモーターは”DCモーター”と言い、規格的には”130モーターと呼ばれます。
モーターでよく聞くのは「回転数」と「トルク」、「消費電流」ですが、これらは密接に関係していて、この関係性が電池や車体とのバランスに関わっていきます。
基礎的な事は、シチズンマイクロ株式会社HPに分かりやすい説明があります。

これを踏まえて、例えば3vで1A36000回転のマッハと0.65A33000回転のマッハがあったとします。
どっちが速いかは、答えから言えばコースやマシン構成によりどちらかは変わります。

トルクはパッと数値が見えないのでピンと来ないと思いますが、簡単に言うと0→最高速までの加速力で、回転数とトルクは上記説明のとおり反比例していきます。
一般的に、同じ回転数の同じタイヤ径やギヤ比で、同じ電力供給、モーターの電気抵抗が同じ場合なら、Aが高い方が無駄飯喰らいで加速は遅く、持続距離は短いのですが、Aが低い方は加速が強く、持続距離は長持ちします。
車等でパワーバンドを上手く使うかで速さが変わるように、ミニ四駆の場合タイヤ径かギヤ比でそれを変えますが、大概は皆さん超速ギヤがほとんどなので、タイヤ径で変えることになります。

高回転モーターに小径が多いのは、トルクが細くパワーバンドの狭いモーターを高回転まで早く回し、ピークを維持する事で速く走るのです。
イニシャルDでハチロクが1万1千までエンジン回さないと遅いのと同じです。

要は、コースに見合った加速に必要な加速力と距離があるか、で判断されます。

モーターが極端に高いAを要する物であれば、デメリットにもなり得ますが、トータル的に考えて頂きたいのが、「電池含めてMAXで使いきれる組み合わせ」がベストであり、また高回転低Aのモーターでバランス良い物はガチャの確率なんで、なかなか巡り会えません。
時折、珍しい当たりモーターもあり、コイルの太さやブラシとコミュの当たりの関係で電気抵抗が低い場合もAが高くなり、この時は高トルクになります。 

※I=V/Rより、抵抗が低いと電流が増えます。
※モーターのトルクはT=Kt(トルク定数 )×Iで算出されます。

また、コースや電池によっては、低回転高Aなモーターもセッティングとしては有ります。

②電池
以前の記事でも触れましたが、昨今は”垂れない電池”がブームです。
抵抗値低く、高出力を持続する電池を指しますが、大電流放電に対応した電池というのは、例えばガソリン用1リットルのタンクがあったとして注ぎ口の大きいもので、小電流放電の電池は注ぎ口の小さいものです。傾けて出す時を想像して下さい。

抵抗を減らし容量を増やすってのは、タンク内の付着物や堆積物を取り除き、容量をMAXに使えるようにする行為と想像して下さい。

逆にフラットで使うような電池は、タンク内を補強して容量が減る代わりに高A充電というニトロをぶち込むような想像(でよいかな🤔)です。
フラットは、コース長くても30秒程度電池が保てば良いって仕様なので、そんな無理が出来るんですね😅

立体でも所謂”パンチのある電池”や追い充電、「盛る」って意味合いはコチラ側になります。

所謂”垂れない電池”は、大パワーを出せるモーターの求めに応じられる許容力とタンクを備えたものです。

需要と供給がマッチするから、結果速いとなります。
電池については、容量を使い切れ沢山出力出来たとしても、電池自体のAが高く変わる訳ではありません。
だから、高Aのモーターを「大食らい(吸い取られる)」と私は表現しています。
つまり、モーターをMAXに使うのは、電池内の電気を「燃費」のような概念で想像して下さい。
ガソリンをガブ飲みするエンジンは規定パワー出せてもガス欠になりますよね?
一方で低燃費なエンジンが規定パワーだしてもガソリン残ります。

理想はコースに合った燃費であって、パワーですから、ただ垂れない電池だから良いとはならないのです。

③車体
なんで電池とモーターに車体が関係あんのよ?と思われるかも知れませんが、分かりやすい例えとして、「ノーマルの軽自動車にGT-Rのエンジンが積めたとしても、マトモに走らない。」です。

ミニ四駆でも同じ事が言えます。
チューン系モーターではすこぶる良い走りなのに、ダッシュ系入れたらイレギュラーに苦しんで速度が上げられない、今までより良いモーターなのに制御出来ない等を経験した人も少なくないでしょう。
つまり、ミニ四駆にもパワーソースに見合った強度の車体というのが存在し、下位互換はありますが、それぞれのパワーや特性に合ったものがベストなのです。


速い人に憧れて、速い人に頼み込んで、速い人の電池借りたのに遅い、速い人のモーター借りたのに遅い、両方借りたのに遅い、または制御出来ないなんて事は多々あります。
これらは、自分のマシンが上記3点のバランスに合っていないからなのです。

どうしても、個々別に見て考えてしまいますが、これらは分けて考えると理解が難しいです。
手持ち電池の特性、モーターの回転数と消費A、マシン構成とコースの長さやテクニカルさ等、総合的にみないとなりません。
コースにより電池やモーター、車体やタイヤ径等変わるのはこのような理由で、単体で判断は本来出来ないのです。

それらをちゃんと実践出来る人はぶっちゃけ極僅かな方々(私は出来ていませんw)で、皆が実践するのは正直難しいですが、知識として持ち合わせ、これらの関係性を理解した上で、手持ち電池やモーター、車体をリセッティングとマッチングを少し考え直すだけでも、現状よりも速く、そして安定します。

最近の遮二無二パワーを求める傾向は、この辺や車体構成の重要性を理解していないか無視してるとも言えるでしょう。
パワーソース自体を否定する気はありません。ただ、パワソのゴリ押しは結果として、知識も経験も後に残るものが、経験上私はあまり多くはありません。

モーター×電池×車体。
このトータルバランスをどう組み立てるのか、その為に何を知っておけばよいのか、それぞれの関係性と特性はどの様なものか等をザックリですが綴ってきました。
個々が良い物だから成立するものでは無い事も分かって頂けたのではないでしょうか。
コレを読んで、マシンと対話し、あなたのマシンが活き活きとコースを疾走してくれたら幸いです(´ー`*)

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