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[雑記]ARはいいぞ ~正転のすすめ~

2012年に登場したARシャーシは、完全新規設計としては、VSシャーシ以来となる片軸シャーシで、電池やモーターがアンダーエントリー(下側から挿入)という一風変わった、ホイールベース82mmと通常より長い(FMAと同じ)、非常に剛性の高いシャーシです。

巷では、FMAR(シャーシを前後逆転)が非常に人気があり、これには理由があって、プロペラシャフトの受けの構造から、逆転の方が効率が良いからなのですが、ピンククラウンはヘリカル処理(歯を山型に、かつ正転で噛みやすいように処理)されているため、逆転だと傷みやすい弊害があります。

正転のARはネットや噂話などで、色々な意味で「遅い」等と悪いレッテルが貼られていますが、間違った認識であることが検証の結果確認出来たものが多いので、今回はシャーシを大きく加工すること無く、走行に耐えうる概要を私のマシンを使って書いておこうと思います。
基本的には、シャーシ側のカット等は今回していません。

まず、ARはシャーシ毎の個体差が多く、素組みでもマトモに組み上がらない(異音がすごく、解決に途方も無い時間がかかる物もあったり、最初から3点接地の物もあった)のもあるため、素組みで組んで、ある程度無難な物を選んだ方が良いとは思います。私も1個大ハズレ引いて苦労しましたw

ARシャーシの一番問題視されるのは、ペラシャ受けの後ろ側が”横入れ”である事。
FM化すると特に問題無いのですが、正転だと、横入れの口が開いた側に着地衝撃等があると逃げるため、ペラシャの歪みや逃げ、ピンククラウンへの負担が大きく歯が欠けたり、すぐに力が入らない為に速度ロス(一瞬止まる、間が空く等)が発生します。
なので、ペラシャが入れられる程度に、ペラシャ受けに小さなフック状の補強をしたりします。ただ、やり方は人それぞれで調整も難しい面があるので、ネット等で色々調べてみた方が良いでしょう。
私の場合シャーシ交換まで考えて、ペラ受けの壁に挟み、モーターカバーで押さえられるアタッチメントをカーボン等の端材から作って作業効率を確保しました。

簡単に言うと、ペラ受け壁とモーター間の隙間にペラ受け壁と面一になる壁を新設してパーツ化したもので、ペラ受けを「穴」部分だけになるようにしています。
プラスチックよりは当たる面の摩擦係数は増えてしまいますが、大半が着地衝撃等の干渉時だけの話ですし、ノーマルの速度ロスよりは断然マシです。器用な方なら、穴の脇だけポリカ等が貼れる加工をすると良いでしょう。グリスアップは忘れずに😌

ARは先程の説明にも被りますが、ペラシャ受けが横入れでもある為にピンククラウンも動きやすく、また全体的なクリアランスが狭い(余裕がない)ので、スパーと干渉する事もあり、位置出しのためスパーとクラウンの間にスペーサーを入れます。
個体差により微妙にサイズは変わるはずですが、数種類のARシャーシで調べたところ、概ね1.5~1.6mm程度のスペーサーが必要になると思います。
私の場合はワッシャー4枚では微妙にキツいと感じ、1.5mmプラスペーサーを測定して試した物の中で一番良いと思った物を最終的にチョイスしています。

モーターカバーは3点支持ですが、着地衝撃等の歪み等によりモーターが動いてロスが発生する可能性は高いので、モーターカバーを押さえました。

端材をバンパーと共締めしたので、ネジ緩めればすぐに外せます。
モーターピニオンとペラシャの間が狭く、シャーシによっては干渉するので、モーターを押すのにカバー内側へ貼り物しても押さえが効いているので良いでしょう。

フロントは、Aパーツのペラシャ受けがはめ方次第で曲がったり破損したりします。
今回は補強しませんでしたが、状況により補強した方が良いでしょう。
フロントAパーツは電池ホルダーでも押さえは効きますが、作業効率は落ちるもののアンダープレート(兼ブレーキステー)で、削ったAパーツの一部を押さえました。

ネットの記事の中には、フロントのピンククラウンが割れやすいのは「キツいから」とするものがあります。
勿論、個体差はありますから全てとは言いませんが、ギヤが割れやすいのは逆に「遊びがある(遊びが適当では無い)」からです。
私が数個調べた限り、ピンククラウンと620ベアリングの間に位置合わせのスペーサーは要ります。
この厚さはシャーシ毎に異なるはずなので断言出来ませんが、空転する程度に絶縁ワッシャー等を挟みます。
何度も試走させましたが、コースアウトしても、これを施した事で、ピンククラウンが欠けて走れなくなる事はありませんでした。

私のシャーシは、カウンターの位置は概ね問題となるほど傾いたり等してませんでしたが、シャフト穴は緩かったので、シャフトに油を塗って差し込み、瞬着で穴の位置を決めてキツくし、力の逃げを減らしています。

ARはカウンターギヤカバーが独立で、上から爪での嵌め込みの為、外れる事も無いとは言えず、カバー上側でステー等でモーターフレームから伸ばして押さえを作った方が良いとは思います。

私の場合、プラボディをボディキャッチで止めている(ボディ自体が別シャーシの物のため、合うように加工している)ため、ボディで押さえたのでこの作業は省略しています。

今回シャーシはバンパー等カットはしていません。
理由としては、高さや角度、強度やローラーベース等を考えて、リジッドであればカットする必要は無いと判断したのと、初心者向けかつシャーシ交換の簡単さを選びました。
また、ARはシャーシ剛性が高く、敢えてフレームカットして捻れ等を作る走らせ方もありますが、片軸ならではの良さを活かすためにノーマルのままです。

バンパー補強については、前バンパーは2mmAR用のカーボン、リアはAR用のFRPとその端材で構成しています。

フロントのアンダーをブレーキの巻き角度に合わせて少々削り、巻いたブレーキが当たった時に角で切れないよう、空き空間に(実験で)ランナーを貼ってます。
リアはFRP端材を上面に入れて、ローラーの軸ネジ中間に挟む形で強度を与えています。

今回ローラーには前13WA、リア17の配置にしています。
これにも深い理由があります。
先のステー類にこのローラー類を使用すると、ローラーベース等の記事にリンクしますが、82mmホイールベースのローラーベース黄金比は131~132mm。
前13mm穴と後17mm穴間は約132mmになるからです。
また、前ローラー幅は約104.5mm、後ろは約104.1mmです。
旋回角度はこれだけだと理想値には足りません。
本来ならバンパーを寄せたりしますが、次の写真を見てください。

気付く方はすぐに分かると思いますが、前は概ね真ん中、後ろは内側にタイヤ接地面の汚れがあります。

私はペラタイヤを作りましたが、前側のタイヤトレッドが後ろより広くなるように加工した事で、足りない旋回角度を少しですが稼いで、理想値に寄せています。

立体走るのに一般的にはサイドマスダンで良いでしょうが、今回は試しでサイドにギロチンを付けています。

ARシャーシは重いと言われ、だから遅いとする人もいます。確かにシャーシ単体では他より少々重いのは事実ですが、立体マシンを構成する限り大した話ではなく、実際に私のマシンは約120gと、他の立体マシンと大差はありません。

こうして作った正転ARの[走行動画]です。
モーターはHD3の3万回転程度です。
最後の最後でコースアウトしましたwが、他のマシン(FMXX等)と遜色無い程度に走れます。
高剛性を保っているため、強いブレーキかけても、高速度からコーナーに飛び込ませても、負けることはありません。
縮みペラタイヤなので少々余計な滑りはありますが、コーナーも相応に走れます。

このように、ちゃんと調べ、観察して考えていけば、殆ど触ったことが無かったARシャーシでもこの程度は走れます。

ARシャーシが好きな方、一目惚れも多いと思います。
検証のように、風聞やネット情報は正しいとは言えない事が多いです。
好きなシャーシを信じてあげてください。そして、よく対話して下さい。
見た目だけ真似ても速くはなりません。
マシンは音や動きで貴方に語りかけています。
この記事が、そんな貴方の参考になれば幸いです。

正転ARもいいぞ(*´ω`*)

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