スピアーズアクトact2.0 [3:1]

配信アプリに投稿したモノ。短いのでさらっと声劇したいときに!

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〈登場人物〉

フレイヤ♀(22):狂戦士フレイヤ。「拳聖カサンドラ」との戦いのために情報屋を雇い、今回の式典を下調べさせた。通り名はあるがまだまだ戦士としては歴が浅い。

ポール♂(26):情報屋。全てにおいて慎重であり、物静かだか喋らないわけではない。変な合言葉を作るのが趣味。

リック♂(30):歴戦の傭兵。とある国のPMCの戦闘顧問。寡黙。

アレックス♂(27):大盗賊。信頼されにくい。

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---式典会場---

アレックス:概ねポールちゃんの情報通りだね。表向きは。

ポール:表向きはというのはどういうことだ?

アレックス:あちこちに隠し扉があるね。あっちとそっち、あとあの辺りにも。警備兵が不自然に多いところ、逆に少ないところには何かあると思った方がいいかな。

リック:根拠は?

アレックス:僕のカンさ。

リック:…………こそ泥のカンか。なるほど、信じるに値するかもしれんな。

アレックス:そのこそ泥ってのやめない?

リック:ポール、フレイヤにも伝えておいてくれ。会場のどこかにいるはずだ。

ポール:わかった。

リック:騒ぎが起きたら、貴賓席の重役なんやらは隠し扉を使って逃げれるようにっていうことか。

アレックス:そうだね。避難用の隠し扉だと思う。

リック:作戦を変えなくてはいけないな。騒ぎを起こす前にターゲットを始末する必要がでてきた。

アレックス:貴賓席に着いたら、きっとすぐそばにカサンドラがいるだろうね。

リック:うむ。

アレックス:どうする?今回はやめとくかい?

リック:いや、ヤツは早いうちに始末しなければ。ヤツが我が国に武器を流さなければ内戦などとっくに終わっているのだ。

アレックス:確か、今は隣国の戦闘顧問だったね。そんな君が内戦を終結させたいなんておかしな話だと思うけど。まあ、平和が一番だね。

フレイヤ:今さらやめるなんて困るわ、リック。カサンドラとの戦いにちゃちゃが入ったら興ざめだもの。私はあなたを頼りにしてるのよ。

アレックス:うぉ!?脅かすなよ……。急に現れるからビックリしたじゃないか。

リック:フレイヤ。その槍……。王家殺し(キングスレイヤー)か?

フレイヤ:レプリカだけどね。王家や王の部下に絶大な効力を持つとされるけど、本当のところどうだかわからないわ。

アレックス:え?そんなバクチみたいな槍でカサンドラと戦うの?

フレイヤ:えぇそうよ。そもそも槍なんてなんでもいいし。

ポール:俺はただの情報屋だしもう帰っていいよな?あんた達の話を聞いていると、本当にどうも物騒で一緒にいるだけで捕まりそうだ。

アレックス:なに言ってるのポールちゃん!君も来るんだよ?

ポール:はぁ?

アレックス:君の情報は表向きには完璧だからね!是非ともその調査力を僕の為に使って欲しい!

リック:隠し扉があちこちにあるんだろ?なら、もうお前のカンが頼りだ。がんばれ。7:3な。

アレックス:んぐっ!?それはわかったから。……まあ、隠し扉だけじゃない。捕縛用のトラップやらなんやらワシャワシャあるだろうね。

フレイヤ:ますますあなたのカンしか頼れないじゃない。

アレックス:ノンノン!この消火栓の位置まで記載された完璧な見取り図!!ここまで詳細に調べたポールちゃんなら平常時と式典中の細部の違いがわかるはず!僕はそこを教えて欲しいのです!

リック:なるほどな。だが分け前減るぞ?

アレックス:ポールちゃん!!僕を信じてついてきてくれるかい?報酬は4:6でいいから!

フレイヤ:あなたが6?

アレックス:いや!ポールちゃんが6!

ポール:お断りします。

アレックス:なんで!?言われる前に無条件で譲歩したのに!

ポール:信頼できないから。軽すぎて。あとポールちゃん呼び好きじゃないんでやめてもらえますか?

アレックス:なんでさ!?

フレイヤ:フフフッ!

リック:ハハハッ!普段の行いが悪いからだな。

アレックス:でもさ!ポールちゃんがいた方が絶対うまく行くのはホントなんだから、2人からもお願いしてよ!!

フレイヤ:なら、私から報酬を出すわ。私なら信頼できるでしょ?

リック:式典の貴賓席周囲の情報なら100万で買うが、どうだ?

ポール:……やってみる。

アレックス:やった!ポールちゃんが来てくれる!!

ポール:ポールちゃんって言うのやめてくれませんか?

アレックス:あうっ!冷たい!僕にだけ!

フレイヤ:ふぅ…………フフフフ…………。

リック:どうした?

フレイヤ:戦いの気配がする。心臓が踊るような、血が滾るような。そんな戦いが……。始まる…………。

アレックス:おやおや?すでに臨戦態勢かい?

フレイヤ:私にはわかるの。この式典会場にカサンドラはいる。必ず。

リック:焦るなよ。たまたまだが4人で協力し合うことになったじゃないか。勝手な行動は困る。

アレックス:そう!僕達は目的は違えど一夜の酒を酌み交わした仲間じゃないか!!

フレイヤ:あなた達を仲間なんて思っていないけど、決まった事は守るわ。

リック:だな。あくまでも今回だけの協力関係だ。

アレックス:みんなドライ過ぎて、僕干からびそうなんだけど?

ポール:あんたが軽すぎるんだよ。そして口ではそう言っているが一番冷酷なのはあんただろ?

アレックス:何を言っているんだいポール!?もう、僕悲しい!本当に悲しい!

フレイヤ:……アレックス。噂は色々聞いているわ。

リック:ごまかしきれると思っていたのか?

アレックス:なになに?色々な噂ってなに?

ポール:とぼけたってムダだよ。みんなあんたの事は知っている。

アレックス:…………みんな人が悪いね。知っていて知らないふりしてたなんて。

リック:隠しきれてないからな。初めてお前を見た時すでに噂は真実だとわかった。

フレイヤ:下手な芝居も胡散臭くて逆に怪しいし。

アレックス:…………なーんだバレてたのか。下手な芝居して損したなぁ。

ポール:あんたほどの大盗賊なら1人でも「王家の槍」を盗めるだろ?

リック:我々と協力する必要はないはずだな。

フレイヤ:何を企んでいるの?答えなさい。

アレックス:やだなぁ。3人仲良く結託して。また僕は仲間外れかい?僕にだって仲間と協力して何かを成し遂げたいって思うことがあるんだよ。それじゃダメかい?

ポール:遊びじゃないんだ。

フレイヤ:そうよ。命を激しく燃やす戦い……。このチャンスを逃したらカサンドラとの戦いはいつになるかわからないわ。

リック:この瞬間にもヤツの売った武器で人々が苦しんでいる。ヤツの暗殺……。失敗は許されない。

アレックス:気張り過ぎだよ。もっとリラックスして。僕が協力するんだ。失敗はないよ。まあ、カサンドラとは戦えるだろうけどその先はフレイヤ次第ってとこだけど。

ポール:……本当になにがしたいんだ? 

アレックス:ふふふふ…………。内緒。

フレイヤ:(M)皆がアレックスの本当の姿に警戒するなか、アレックスは不敵な笑みを浮かべるばかりだった。アレックスが噂通りなら今回の式典襲撃は必ず成功するであろう。アレックスの真意がわからないまま、式典の開会式までの時間がせまる。もうこの瞬間から私達はなにかの大きな渦に巻き込まれていたのだった。

---終わり--- 

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