うっかりゴースト
ずっと昔に書いたモノです。こちらにも載せておきます。
他の方の迷惑にならない程度の改変、アドリブは可です。仲良く使っていただければ幸いです。
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〈健二のアパートの部屋の前〉
健二:……何してるの?俺の部屋の前で。ずぶ濡れじゃないか。傘は?
のぞみ:……フラれた。
健二:例の人に?のぞみ自信ありそうだったよね?
のぞみ:私の勘違いだったみたい。1人で舞い上がって本当にどうしようもないバカ……。
健二:…………。とりあえず、雨降ってるし入りなよ。大したモノはないけど。
のぞみ:…うん。
〈健二のアパートの中〉
健二:ほらタオル。
のぞみ:ありがとう。
健二:よっこいしょっと。体拭けた?シャワー使う?
のぞみ:…………。
健二:まあ、こういうこともあるさ。
のぞみ:…………そうだね。
健二:落ち込むなって言っても無理だろうけど。
のぞみ:…………そうだね。
健二:今は気のすむまで泣いてもいいんじゃないか?
のぞみ:…………そうだね。
健二:…………ふぅ。何か飲む?
のぞみ:……コーヒー。
健二:ミルクと砂糖は?
のぞみ:ブラックで。
健二:ちょっと待ってな。
〈間〉
健二:ちょっと濃かったかもしれない。ほら。
のぞみ:…………ありがとう。苦っ。
健二:砂糖入れるか?
のぞみ:大丈夫。平気。
健二:そうか。……苦っ。
のぞみ:ふふふっ。失敗する健二って珍しいね。
健二:俺だって失敗することあるよ。
のぞみ:意外。THE・完璧超人だと思っていたのに。
健二:なんだよ……その固定観念。
のぞみ:あの人も何でもできて、何でも知っていて、優しくて。一緒に過ごした時間が本当に宝物のようで。
健二:……忘れた方がいい。
のぞみ:スマホの画像とかLINEのやり取りとか見て、もうこれ以上増えることはないんだなって。私とあの人の時間はもう終わったんだなって。
健二:やめろよ…。
のぞみ:でも諦められない。もっと一緒にいたかった。もっと一緒に思い出を増やしたかった。でももうムリなの。できないの。
健二:やめてくれ。
のぞみ:ごめん。私の泣き言なんか聞きたくないよね。ごめん。
健二:俺はのぞみが好きなんだ。だから傷付いているのぞみを、見てられなくて、なんとかしてやりたくて。でもどうにもできなくて。話を聞いてるだけで苦しくなる。俺はのぞみになにもしてやれないから……。
のぞみ:健二にはいっぱい助けてもらったよ。感謝しきれないくらいに。それとね?健二の気持ち知っていたよ。だけど私には確かめるだけの勇気がなかった。今までの関係が壊れるのが怖かった。……でも最後に健二から伝えてくれたから本当に嬉しい……。
健二:じゃあ!?
のぞみ:ごめん。健二の気持ちには答えられない。本当にごめん。
健二:そうか……。
のぞみ:健二が嫌いなわけじゃなくてね。そのね……私……もう死んでるの。
健二:は?
のぞみ:フラれたショックでとぼとぼ歩いていたら、赤信号なのに横断歩道に入っちゃって。トラックにバーンって。そこからの記憶がなくて気付いたら健二の部屋の前にいた。
健二:嘘だろ?変な冗談よせよ……。
のぞみ:最後に話せて、最後に健二の気持ちわかって本当によかったよ。……ごめんね健二。こんな別れになって。私の事は気にしないで新しい人見つけてね。
健二:嘘……嘘。なんで気持ち伝わったのに。やっとっ伝えたのに!どうして!どうして消えかかっているんだよ!のぞみ!行くな!のぞみ!
のぞみ:さようなら……。健二。
〈間〉
健二M:次の日、のぞみが事故にあったという連絡が入り、急いで搬送先の病院に行ったら、のぞみはベッドの上で包帯だらけになりながらお菓子を食べていた。
のぞみ:あ!健二!今ちょうど健二のこと考えてたよ!
健二:え??
のぞみ:昨日の夢でねぇ、健二がねぇ、私にねぇ、ウフフッ!言わなーい!
健二:お、おぅ。
のぞみ:不思議な夢だったなー。ウフフッ!
健二:よかったな。本当に本当によかったよ。
のぞみ:ん?なに?
健二:無事でよかったよ!!
のぞみ:ありがとう!
健二:フラれたからって赤信号渡るなよ?まったく……。
のぞみ:なんでフラれたこと知ってるの?誰にも話してないのに……。
健二:え?
のぞみ:え?
〈おわり〉
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