オリビアの誤算

短いどろどろした恋愛モノです。

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リタ・クラーク(リタ)♀ ケビンの幼き頃からの知り合いで仲良し。親衛隊に所属。

オリビア・ブレスコード(オリビア)♀ 貴族階級の女性。ケビンには自分こそがふさわしいと思っている。 

ケビン・リバース(ケビン)♂ 何番目かの王位継承資格がある王の遠い血縁。女好き。

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ケビン:おはよう!リタ。さあ、今夜は新年祭だよ。今年も君と新年を迎えられてうれしいよ。

リタ:ケビン、おはよう。残念だけど町外れの廃屋に山賊が住み着いたって情報があってね。今夜、早急に片付けにいかなきゃいけないの。

ケビン:そんなの、年が明けてからでもいいじゃないか!!新年祭を一緒に楽しもう!!

オリビア:ケビン、リタは忙しいから引き止めてはダメだよ。ごめんなさいね、リタ。

リタ:いえ、お構い無く。

ケビン:新年くらい休めばいいのに……。リタはいつも真面目だなぁ。

リタ:任務ですので……。ありがとう。ケビン。

オリビア:あら?そろそろ準備をしなくてはならないのでは?一緒に年を越せないのは残念だけど任務ですものね。頑張って!

リタ:…………オリビア。オリビア・ブレスコード……。ありがとう……。ではっ!!

ケビン:気をつけてなぁ!

リタM:オリビア・ブレスコード。イヤな女……。この任務もあの女の差し金に違いない。私とケビンを引き離すために。どこまで姑息なの!?

〈間〉

〈新年祭会場〉

オリビア:ケビンはいつになったら王様になるの?

ケビン:え?王なることはないんじゃないかな?兄貴もいるし、現国王の息子がいるだろ?俺に回ってくることはないさ。

オリビア:えー、こんなにかっこよくて聡明なのに。勿体ない。ねぇ?私と組まない?あなたを王様にしてあげる。

ケビン:ははは!酔ってるのかい?じゃあ、ベッドまで行こうか?

オリビア:ざーんねん。ちょっと挨拶周りしてくるね。

ケビン:あ、あぁ。行っておいで。…………リタ、大丈夫かな?

〈間〉

〈町外れの廃屋〉

リタ:山賊程度にこの数か……。指揮官はよほどの心配性なんだな。…………もうすぐ着くぞ。準備を怠るな。ん?なんだ、お前達!?っ!?どういうつもりだ!!離せ!!離せと言っている!!くっ!?お前ら、もしかしてオリビアの手のモノか?っあの女っ!?ここまでするのか?…………ケ、ケビン……。助けて…………。

〈間〉

〈新年祭会場の隅っこ〉

オリビア:……首尾はいいようね。これでケビンは私のモノ……。あんな泥臭い女、ケビンの近くにいること事態おかしいのよ。せいぜい、山賊どもにいいようにされるといいわ!はははは!

ケビン:オリビア!!こんなところに!さぁ!カウントダウンが始まるよ!一緒に行こう!!

オリビア:ケビン!今行くわ!一緒に新年を迎えましょう!!

ケビン:5、4、3、2、1!ハッピーニューイヤー!!

オリビア:ハッピーニューイヤー!!おめでとうございます!!今年もよろしく!!ケビン!!

ケビン:こちらこそ!オリビア!!あー、リタも居ればなぁ。

オリビア:あら?他の女の事考えてる??

ケビン:リタは特別さ!小さい頃からの友達だしね。武に関してリタに勝てるヤツなんてこの国にいないしさ。ホントに頼れるヤツだよ。

オリビア:っ!?あの女?そ、そんなに強いの??

ケビン:女の子だからあまり目立たないようにしているみたいだけど、この国で5本の指には入るんじゃないかな。

オリビア:そ、そんな?まさか?

ケビン:どうしたの?オリビア?顔色悪いよ?ベッドで休もうか?

オリビア:え、えぇ……。

ケビン:やった!じゃあ、先にシャワー浴びてくる!!

カツン……カツン……カツン……

オリビア:な、何の音?

カツン……カツン……カツン……

ケビン:足音?なのかな?

カツン……カツン……カツン……

リタ:明けましておめでとう。ケビン。今年もよろしくね。…………また剣のお稽古一緒にしようね?

ケビン:リ、リタ?血塗れじゃないか!?一体何がっ!?

リタ:オリビア……。オリビア・ブレスコード…………。

オリビア:ヒッ!!

リタ:明けましておめでとう………。さようなら。

オリビア:あっ!?あがっ!?

ケビン:リタ!?何をしているんだ!!オリビア!オリビア!!しっかり!

リタ:討伐隊に偽装したあなたの刺客がみんな喋ったわ。ケビンを使って我が国を内側から支配するつもりだったみたいだけど…………詰めが甘かったね。ケビンには私がいるから、あなたなんかじゃ遊び相手以外になれないのに……。

オリビア:う、うるさい!あなたこそ、泥臭くてケビンと吊り合うわけないじゃない!ケ、ケビンは私のモノよ!!グッ……。

ケビン:オリビア!喋るな!今、医者を呼んでくる!!

リタ:ムダだよ。助かるような生半可な斬り方はしていない。だけどすぐ死ぬような斬り方もしていない。あと20分くらい、苦しみながら死んでいけばいい。

オリビア:こ、この悪魔!ぁ!

リタ:やっぱりうるさいから今死んで?

ケビン:や、やめろ!リタ!!やめろ!

オリビア:…………………。

リタ:どのみち、外部からの工作員だったから死罪だよ。ただ、どうしても私の手で殺したかった。私のモノに手を出した女なんて苦しみながら死ねばいい。はぁぁ、スッキリした。私のケビンに手を出すからこういうことになるんだよ?

ケビン:リタ……。お前……。

リタ:カウントダウンはできなかったけど、これで清々しい新年を迎えられる!!ねぇ?初日の出は一緒に見ようね?……ね?ケビン。

ケビン:あ、あぁ…………。

リタ:フフフ、よかった。

ケビンM:優しく笑うリタは返り血で血塗れだった。情けないことに僕は恐怖のあまり失神してしまい、気付いたらリタと同じベッドに寝ていた。逃げられない…………。それだけが僕の心に深く深く突き刺さった元旦だった。

*****終わり*****

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