シナリオ「万華鏡 ~小野寺家の恋愛模様~ 」

〇小野寺家の外観
  大きな二階建ての家である。
  ガレージには白いベンツと黒いベンツが止まっている。

〇なぎさの部屋
  ハンガーラックに高校の制服が掛けてある。
  小野寺なぎさ(18)、机に向かって万華鏡を作っている。
  机の上には万華鏡を作る道具、紙筒、表面反射鏡、アクリルケース、ビーズなどが置いてある。
  なぎさ、紙筒を覗いている。
  万華鏡の中の幾何学模様。
なぎさ「……綺麗」
なぎさ(N)「しかし、人間が織り成す模様は万華鏡が作り出す幾何学模様より、もっと美しいかもしれない」

〇なぎさの部屋(夜)
  なぎさと吾妻弓美(28)が向かい合っている。
  弓美、模試の成績表を見ている。
弓美「よく頑張ったね。特に苦手な古文が良くなってる」
なぎさ「先生に喜んでもらおうと頑張ったんだよ」
弓美「ありがと」
なぎさ「そんなの言葉より、ご褒美頂戴」
  なぎさ、弓美に甘える。
  弓美、微笑みを浮かべながら
弓美「そうだなぁ」
なぎさ「ご褒美、ご褒美」
  弓美、苦笑いを浮かべて、
弓美「じゃぁ、ディナーでもごちそうしようか」
なぎさ「ほんと!」
弓美「友人が恵比寿でイタリアレストランをオープンしたから、連れてってあげる」
なぎさ「やったぁ!」
  ドアをノックして小野寺紗世(44)、が、ジュースとケーキをお盆にのせて入ってくる。
紗世「楽しそうね」
なぎさ「ママ! 今度、先生がディナーに連れてってくれるの」
  紗世、弓美となぎさの前にジュースとケーキを置く。
紗世「そう。良かったわね」
  紗世、それとなく弓美を見る。
  弓美、訳ありな感じで伏し目がちになる。

〇恵比寿の街並み(夜)
  街の喧騒。
  ネオンが輝いてる。

〇イタリアンレストラン店内(夜)
  店内は薄暗く落ち着いた雰囲気。

〇同・なぎさと弓美のいる席
  なぎさと弓美が料理を食べている。
  なぎさ、フォークでパスタを食べ、弓美は、パンをちぎってスープにつけて食べている。
弓美「美味し?」
  なぎさ、満面の笑み。
弓美「良かった」
  なぎさ、食べながら微笑みがこぼれる。
  すると、突然、なぎさの食べる手が止まる。
  そして、ポカンと口を開け、驚きの表情を浮か呟く。
なぎさ「ママ!?」
  弓美、なぎさの視線を追い、背後を振り返ってみる。
  すると、なぎさの母、紗世となぎさの同級生でイケメンの安達拓馬(18)がウェイターに連れられて店内に入って来る。
二人は仲睦まじく、ただならぬ関係であることが見てとれる。
  そして、予約席につく。

〇同・予約席
  紗世と拓馬が向かい合って座っている。
  ウェイターにメニューを渡す。
  ウェイターは下がっていく。
紗世「今日は久しぶりに楽しかったわ」
拓馬「僕もです。しばらくはもう試験がないから、いつでも会えます」
紗世「でも、来年受験でしょ」
  拓馬、紗世の指を触る。
拓馬「大丈夫です。勉強と恋愛のバランスがうまく取れてる方が成績がいいんです。俗にいう文武両道ってやつです」
紗世「(微笑み)武じゃないわよ」
  紗世も拓馬の指を触る。
拓馬「じゃ、文愛ですね」
  紗世、微笑む。
  お互いの指を愛撫しあっている。

〇同・なぎさと弓美のいる席
なぎさ(心の声)「どういうこと? どうしてママと拓馬君が一緒にいるの!?」
弓美「……」
  弓美、深刻な顔をしているなぎさを観察している。
なぎさ(心の声)「拓馬君はいづみと付き合ってるんじゃなかったの!? まさかママと付き合ってるんじゃないわよね? 何がどうなってるのよ!?」
弓美「……」
  弓美、伏し目がちになる。

〇万華鏡の中の幾何学模様
  回転し幾何学模様が出る。

〇高校の外観

〇同・屋上
  なぎさ、屋上のフェンスの傍にいる。
  そして、校庭を眺めている。
  なぎさ、横から拓馬に声をかけられる。
拓馬「どうした? こんなとこに呼び出して」
  なぎさ、拓馬を見て、
なぎさ「私見たわ」
拓馬「何を?」
なぎさ「拓馬君がママと一緒にレストランにいるところよ!」
拓馬「ああ、あれ。もしかしていたの?」
なぎさ「いたのじゃないわよ!」
拓馬「じゃ、いなかったの?」
なぎさ「いたわよ!」
拓馬「いたんだ」
なぎさ「そんなことはどうでもいいのよ! なんでママと一緒にいるのよ!」
拓馬「居ちゃ悪い?」
なぎさ「悪いわ! しかも、こう、手をまさぐり合って!」
  なぎさ、自分の手と手を絡めて、せわしく動かすも滑稽に見える。
拓馬、思わず吹き出す。
なぎさ「何が可笑しい!」
拓馬「そんなんだったかな」
なぎさ「どうでもいいのよ! ようは、どうしてママとイチャイチャしてるの!」
拓馬「彼女だから」
  なぎさ、驚きの表情を浮かべ顔をのけ反らせ、
なぎさ「はあ!? 彼女!? うちのママを彼女!?」
拓馬「そうだよ。僕の彼女だよ」
なぎさ「彼女って言うな!」
拓馬「じゃ、紗世さん?」
  なぎさ、驚きの表情を浮かべ顔をのけ反らせ、
なぎさ「紗世さん!? うちのママを紗世さん!?」
拓馬「そうだよ。紗世さんって呼んでるよ、いつも」
なぎさ「呼ぶな! 紗世さんって呼ぶな!」
  拓馬、苦笑し、
拓馬「じゃ、なんて呼んだらいいの?」
なぎさ「なぎさのママって言え!」
拓馬「そんな風には呼べないな。第一、僕の彼女なんだから」
  なぎさ、あきれ果て、開いた口がふさがらない。
  拓馬、なぎさとは対照的に沈着冷静。
なぎさ「さっきから、よくもまぁいけしゃあしゃあと!」
拓馬「全て事実だから」
なぎさ「ママはママなのよ!? 私のママってことは、あなたのママと大した変わらないってことよ!?」
拓馬「いや、違う。僕の母と紗世さんは全く違う」
なぎさ「何も違わないわ!」
  拓馬、静かに頭をふり、間をとってから、
拓馬「淑女は背中で恋をする」
なぎさ「はぁ!? 何それ!?」
拓馬「艶っぽさというものは、健康的に綺麗に年を重ねた人だけが得られる美の極致。その艶が背中から滲み出てくるんだ」
なぎさ「……」
拓馬「若い娘や惰性で年をとった背中の丸いおばさんには艶はない」
  拓馬、雄弁に語る。
なぎさ「……」
拓馬「残念ながらうちの母にその艶っぽさはない。丸い味気のない背中だ。しかし、紗世さんは違う。紗世さんからは、その艶が鍛え抜かれた美しい背中から、泉の如く湧き出てくるのがよくわかる。この艶を知ってしまうと他の女性には目がいかないね」
なぎさ「(早口で)気持ちわる!」
  拓馬、上から目線で、
拓馬「まぁ、若い君には、わからないことだよ」
なぎさ「なに言ってんの! 私とタメじゃない!」
拓馬「いや違う。僕は艶のある大人の女性を見極めることが出来る」
  なぎさ、ポツリと小声で呟く。
なぎさ「ただの艶っぽい熟女好きじゃない。ああ気持ちわる。同じ高校生とは思えないわ」
拓馬「なんとでも……」
なぎさ「でも、もうこれ以上ママに近づかないで! 私の同級生が、と思うと正直、気持ち悪いし、パパにばれるから」
拓馬「君が黙っていれば大丈夫だよ」
なぎさ「辞める気ないの?」
拓馬「ないね」
なぎさ「じゃぁ、いづみはどうなるの?」
拓馬「いづみ?」
  いづみの映像が入る。

〇制服姿で机で本を読んでいる美少女、岡田いづみ(18)

〇元に戻る・屋上
拓馬「別に」
なぎさ「何!? じゃぁ、いづみとママの二股ってこと?」
拓馬「二股も何も、いづみとは付き合ってないよ」
なぎさ「何言ってるの! 学校公認の似合いのカップルじゃない!」
拓馬「それは君たちが勝手に決めつけてるだけで、付き合ってる覚えはない」
なぎさ「でも、よく一緒にいるじゃない?」
拓馬「そうかなぁ」
なぎさ「ああ、もういいや。兎に角、もうやめて! 近づいたら何もかも全部ばらす!」
拓馬「脅し?」
なぎさ「うちの家族と親友を守るためよ!」
拓馬「……」
  なぎさ、拓馬を置いて、足早に屋上を去る。

〇小野寺家の外観(夜)

〇同・ダイニングリビング
  なぎさ、紗世、父の小野寺正志(48)がテーブルで夕食をもう少しで食べ終える。
  なぎさ、チラチラとばれないように紗世を見る。
  紗世、なぎさの視線に気づかず食べる。
  紗世、頭をあげて、みんなに言う。
紗世「デザートにチーズケーキあるけど食べる?」
なぎさ「食べる」
紗世「パパは?」
正志「俺はいいや」
紗世「そう」
  紗世、キッチンに行き、冷蔵庫を開ける。
  なぎさ、キッチンにいる紗世を見てから、それとなく正志を見る。
  正志、テレビを見ている。
なぎさ(心の声)「ママが私の同級生と浮気していることも知らず、なんか、可哀想……」
するとソファの前のテーブルに置いてあるスマホから着信音が聞こえる。
  正志、テーブルから離れ、ソファに座りスマホを手に取る。
  紗世、ケーキを持ってくる。
紗世「はい」
なぎさ「ありがと、ママ」
  正志、ソファでスマホを弄っている。

〇同・なぎさの部屋
弓美「もう男女の関係は終わってるんじゃないかな。今はただ、なぎさちゃんのパパとママ。その責任感から夫婦関係を続けている。そう思った方がいい」
なぎさ「そんな!? じゃ、パパには言わない方がいいの?」
弓美「言っても無駄だと思う」
なぎさ「じゃ、どうすればいいの?」
弓美「どうもしない方がいい」
なぎさ「先生は私の味方じゃないの!?」
弓美「味方だよ」

〇同・なぎさの部屋のドアの前
  紗世、ドアの前で聞き耳を立てている。

〇万華鏡の中の幾何学模様
  回転し幾何学模様が出る。

〇池袋の街並み

〇カフェの店内
  なぎさと弓美、向かい合って座っている。
  なぎさ、フォトアルバムを見ている。
なぎさ「あ、先生、この写真なんていいよね」
  なぎさ、弓美にフォトアルバムを渡す。
  弓美、フォトアルバムを手に取り、そして、他のページもめくって、
弓美「(笑って)どれも同じだよ」
なぎさ「全然違うわ」
弓美「そうかな(苦笑い)」
  なぎさ、ふと視線を他の客に向ける。
  すると、拓馬と岡田いづみ(18)が向かい合って座り、談笑している姿を目撃する。
  なぎさの表情が強張る。
なぎさ「あいつ!」
  弓美、なぎさの視線を追う。
  視線の先に拓馬といづみがにこやかに談笑している。
なぎさ「何が付き合ってないよ! ちゃっかり付き合ってるじゃない!」
弓美「……」
  拓馬の笑顔。
なぎさ「もう、ママもいづみもみんな騙されてる! もう言ってやる!」
  なぎさ、席を立とうとすると、弓美に手を掴まれる。
なぎさ「先生!?」
  弓美、入口に視線を向ける。
  なぎさ、弓美の視線の先を見る。
  すると、正志と紗世が入って来る。
  そして、拓馬といづみの席にくる。
なぎさ「……」
  なぎさからは立っている正志と紗世の後ろ姿しか見えない。
  正志、伝票をもって、いづみと一緒に出ていく。
なぎさ「え!?」
  それに続いて、紗世と拓馬が出ていく。
なぎさ「……」
  なぎさ、椅子に座る。
なぎさ「何!? あの四人、もうとっくにデキてるの?」
弓美「……」

〇万華鏡の中の幾何学模様
  回転し幾何学模様が出る。

〇小野寺家の外観(夜)

〇同・ダイニングリビング
  キッチンでは、紗世が皿を洗い、なぎさが拭いている。
  正志はソファに座ってテレビを見ている。
  なぎさ、穏やかな口調で紗世に話しかける。
なぎさ「私見たよ」
  紗世、なぎさを見る。
  正志、ピクッと反応する。
なぎさ「ママが拓馬君と一緒にいるところ」
  紗世、少し焦り、
紗世「そう」
なぎさ「んんん。ママだけじゃない。パパもいづみと一緒だった」
正志「……」
なぎさ「二人とも楽しそうだった」
紗世「なぎさ」
なぎさ「パパもママも、お互いのこと知っているんだ。知っててなぎさのパパとママをやっていたんだ」
  なぎさ、ショックを受ける。
  正志、キッチンの方に来る。
紗世「ほら、なぎさはまだ子供だし、パパもママもこのまま良好な関係を続けていけるのならそうしようと思って」
なぎさ「何が良好よ! ただの仮面夫婦じゃない!」
正志「仮面夫婦ではない。確かに昔のような関係ではないかもしれない。しかし、お互いの意志を尊重しあっているし、理解しあっている」
なぎさ「理解しあっていればお互い浮気してもいいの?」
正志「パパもママも浮気とは思ってない。お互いの幸せを思ってのことなんだよ」
なぎさ「そんなの詭弁よ!」
  正志、冷静になってなぎさにレクチャーでもするかのように、なぎさの目を見て、
正志「なぎさ。人生は一生に一度しかないんだ」
なぎさ「それが」
正志「もし、なぎさに彼氏がいて、その上で一生に一度会えるかどうかわからない素敵な人と出会ったら、なぎさならどうする?」
なぎさ「何それ!?」
正志「一生に一度会えるかどうかわからない人にだぞ?」
  なぎさ、躊躇して、
なぎさ「そ、そんなの、わからないよ」
正志「私たちは話し合った。人生は一生に一度しかないということを。そして、この道を選択したんだ」
紗世、頷く。
なぎさ、圧倒されながら、
なぎさ「そんなの……そんなの嫌だよ!」
  なぎさ、泣き出す。
紗世「なぎさちゃん」
  なぎさ、泣きながら、
なぎさ「人生が一生に一度しかないからって、そんなパパとママ、私は嫌だよ!」
正志「なぎさ!?」
  なぎさ、涙が零れ落ちる。
なぎさ「なんか、物凄く裏切られた……」
紗世「なぎさちゃん!?」
  なぎさ、号泣しながら叫ぶ。
なぎさ「パパとママに裏切られた!」
  なぎさ、全てを振り切り、キッチンを出て部屋に足早に去っていく.
正志「なぎさ!」
  家のチャイムが鳴る。
  紗世、チャイムに反応する。

〇同・玄関
  紗世が玄関ドアを開ける。
弓美「今晩は」
紗世「あ、先生」
  紗世、表情から動揺が伺える。
弓美「……」

〇同・なぎさの部屋
  なぎさと弓美がいる。
なぎさ「なんか、うやむやにされた」
弓美「……」
なぎさ「一生に一度と言えば、何をやっても許されるの?」

〇同・なぎさの部屋のドアの前
  紗世がお盆にジュースとお菓子をのせて、ドアをノックしようとすると、突然、なぎさの声が聞こえる。
なぎさの声「ああ、もう許せない! 絶対許せない!」
  紗世、ノックする手が止まる。

〇同・なぎさの部屋
  ドアをノックして紗世が入って来る。
紗世「ジュースとお菓子持ってきたわ」
弓美「すみません」
  なぎさ、紗世に背を向けたまま。
  紗世、チラリと弓美を見て部屋を出る。

〇同・ダイニングリビング
  時計の針は22時。
  正志と紗世、テーブルにいる。
  弓美が一人、二階から降りてくる。
紗世「先生」
弓美「……」
  紗世、二階を気にしながら、
紗世「これでよかったのか!?」
正志「やっぱり、まだ早かったのでは?」
弓美「いいんです。まずは事実を見せることが大切なんです! これから、もっともっと見せつけてやるんです!」
正志・紗世「……」
弓美「決して怯んではダメです。弱気になってはいけない。それが家族の幸せにつながるんです。強行突破、あるのみです!」

〇同・玄関
  弓美が出ていく。
  弓美を見送る正志と紗世。
正志「今は先生に従うしかない」

〇万華鏡の中の幾何学模様
  回転し幾何学模様が出る。

〇都内のスパリゾート施設の外観

〇同・混浴大浴場の一角の寝風呂
  なぎさ、可愛らしい水着を着て一人、寝風呂にいる。
  そこへ、拓馬が隣に来る。
なぎさ「拓馬君!?」
拓馬「奇遇だね。こんなところであうなんて」
なぎさ「……ママも一緒なの?」
拓馬「よくわかったね。ここだと紗世さんの艶っぽい背中が生えるからね」
なぎさ「ママを紗世さんっていうのやめてよ! ほんと気色悪いわ!」
拓馬「君は、紗世さんの背中を見たことがある?」
なぎさ「そんなの、ないけど」
拓馬「なら見た方がいい。淑女は背中で年をとるんだ」
なぎさ「淑女は背中で恋をするんじゃなかったの?」
拓馬「恋もするし、年も取る」
なぎさ「……」
拓馬「背中を見れば、その人がいい年のとり方をしているか否かわかる。彼女の背中はいい年の重ね方をしている。健康的で、肩甲骨が躍動している。今まで生きてきた味わいが艶となって背中から滲み出ているのがよくわかる」
  拓馬、両手が思わず湯から出ている。

〇紗世の映像
  背中が丸見えの白いレオタードの水着を着た紗世。
  下腹部に花柄がある。
  湯船の淵に座り、湯煙とのコントラストが紗世を妖艶に見せる。

〇元に戻る・混浴大浴場の一角の寝風呂
なぎさ「気持ちわる!」
拓馬「君も傍にいいお手本となる女性がいるんだから参考にした方がいい」
なぎさ「私はまだ十八よ!」
拓馬「若くて可愛いのは当たり前。でも、花の命は短い。しかし、四十を過ぎたころから女性は艶を放ち、妖しい色気とともに芽吹き始める。こうして美少年の心を奪っていく」
  なぎさ、冷めた目をする。
なぎさ「何言ってんの?」
  拓馬、寝風呂から体を起こし、
拓馬「漫然と暮らしていたら艶のある女性にはなれない。丸い背中のおばさんになっちゃうよ」
  拓馬、去っていく。
  拓馬、弓美とすれ違う。
なぎさ「ただの熟専の背中フェチじゃない」
弓美「あれ、今の子?」
なぎさ「ああ、エイリアンがママと来てるみたい」
弓美「……」

〇同・混浴大浴場
  紗世、サマーベッドにいる。
  拓馬が傍に立つ。
  紗世、拓馬を見る。
拓馬「娘さんが来てますよ」
紗世「……」
拓馬「言わない方がよかったですか?」
紗世「いえ、それでいいわ」

〇万華鏡の中の幾何学模様
  回転し幾何学模様が出る。

〇小野寺家の外観(早朝)
  ガレージには白いベンツと黒いベンツが止まっている。

〇同・玄関
  正志、靴を履いている。
  玄関にはキャディバッグが二つ。
  一つは正志、もう一つはいかにも女性モノのデザイン。
  なぎさがやってきて、
なぎさ「ゴルフ?」
正志「ああ」
  なぎさ、二つのキャディバッグを見て、
なぎさ「まさか、いづみと行くの?」
  正志、チラリとなぎさを見てから、至って平静に、
正志「そうだよ」
  正志の脳裏に弓美の言葉(映像)が過る。

〇弓美の言葉(映像)
弓美「怯んじゃダメです! 強引に押し通してください!」

〇元に戻る・玄関
  正志、女性モノのキャディバッグをもって、
正志「可愛いだろ、このキャディバッグ。こないだカフェで待ち合わせて一緒に買いに行ったときのものだ」
なぎさ「……」
  なぎさと正志、睨み合う。
  なぎさ、視線を逸らし、部屋に戻る。
正志、思わず深くため息をつく。

〇なぎさの部屋(夜)
  なぎさと弓美がいる。
  机には参考書が開いてある。
  なぎさ、突然、ペンを止めて、
なぎさ「パパもママも堂々としてる」
弓美「……」
なぎさ「後ろめたい気持ちなんてこれっぽっちもない」
弓美「じゃぁ、開き直ったってこと?」
なぎさ「よし、じゃ、もとを断とう」
弓美「……」

〇高校の外観

〇同・屋上
  なぎさ、屋上のフェンスの傍にいる。
  そして、校庭を眺めている。
  屋上へ拓馬といづみがやってくる。
  拓馬、なぎさに声をかける。
拓馬「またここか?」
  なぎさ、拓馬といづみの方を向く。
拓馬「お前も好きだな」
なぎさ「ここじゃなかったら話せないでしょ」
拓馬「いづみまで呼び出して。今度は何を話すんだよ」
なぎさ「拓馬がママと付き合わずに、いづみと付き合えばいいのよ」
拓馬「なんだよ。またその話か? もうそれはいいよ。俺もいづみも付き合ってないんだから」
なぎさ「じゃ、今から付き合いなさいよ!」
  拓馬、面倒くさそうに、
拓馬「そのつもりはないよ」
 いづみ、頷く。
なぎさ「じゃ、二人でデートでもすればその気になるんじゃない」
拓馬「ならないよ。二人で一緒にいるときなんてよくあるけど、そこに恋愛感情はない」
いづみ「そうね」
拓馬「いづもも俺も、年上好きだから」
なぎさ「年上って、上過ぎるから言ってるの! しかも、その相手がよりによってうちのパパとママだなんて! 一体どうしてそうなったの!?」
拓馬「どうしてって、もう結構前だから」
なぎさ「前!?」
いづみ「なぎさの誕生パーティーで知り合ったのよ」
なぎさ「!?(絶句)」
拓馬「そうそう。お互いね」
なぎさ「そんな前から」
拓馬「だから、今更なんだよ」
なぎさ「でも、いづみとはもっと前から知り合ってるじゃない」
拓馬「そうだけど」
  拓馬といづみ、お互いを見る。
なぎさ「同性から見てもこんな綺麗な女子高生、いないよ!」
拓馬「まぁ、確かに綺麗だけど。なんていうのかなぁ。若くて可愛い、綺麗は当たり前なんだよ。それより、四十過ぎてもなお、綺麗で艶っぽい女性の方が俺は魅力的だと思うし、中々四十過ぎて綺麗と思う女性はそうはいないよ」
なぎさ「だからって、うちのママにいかなくてもいいじゃない!」
拓馬「紗世さんはほんと綺麗だ。今まさに女ざかり」
なぎさ「うちのママをいやらしい目で見ないでよ!」
拓馬「見てないよ。美しいものを見る目で見てるだけだよ」
なぎさ「やめてよ!」
  拓馬、ため息をついて、
拓馬「兎に角、俺といづみに何言ってもダメだよ。俺は大人の女性が好きだし、いづみも大人の男性が好きなんだ。間違っても俺といづみが付き合うことはない」
なぎさ「いづみも?」
いづみ「そうね」
なぎさ「……」
拓馬「そうだなぁ。いづみが四十過ぎて、艶っぽい女性になったら付き合いたいと思うかな」
いづみ、微笑み、
いづみ「私も、拓馬が人生の場数踏んで、責任感が顔に出るような大人の男性になったら付き合ってもいいかな」
拓馬「まだ遠い先の話だ」
  拓馬といづみ、二人して笑う。
  なぎさ、二人を割って入るかのように、
なぎさ「笑い事じゃない!」
  屋上に男性教師の通称、青髭(45)が現れる。
青髭「お前ら、そこで何してる!」
拓馬「やべ、青髭だ!」
青髭「そろそろ休み時間が終わるぞ!」
いづみ「あ、はい」
  なぎさ、渋い顔をしている。

〇なぎさの部屋(夜)
なぎさ「ダメだ! あれは生粋の熟専枯れ専だわ。拓馬もいづみも全く相手にしてくれない」
弓美「熟専枯れ専だなんて、なんか語呂がいいわね。海千山千みたいで」
弓美、なぎさの隣で微笑む。
なぎさ「笑い事じゃありません!」
弓美「そうね。ごめんなさい」
  と微笑みながら言う。
なぎさ「もうこうなったら当事者を集めて話し合うしかないわ。そこで決着つける。それ以外、家庭崩壊を食い止めるすべはない」
弓美「……」

〇同・なぎさの部屋のドアの前
  紗世、ドアの前で聞き耳を立てている。

〇万華鏡の中の幾何学模様
  回転し幾何学模様が出る。

〇小野寺家の外観(夜)

〇同・ダイニングリビング
  テーブルに正志と紗世が並んで座り、向かいに拓馬といづみが並んで座っている。
  そして、四人を見るかのようになぎさが立っている。
  弓美はソファにいる。
  正志、紗世、拓馬、いづみの脳裏に弓美の言葉(映像)が過る。

〇弓美の言葉(映像)
弓美「全員で強く説き伏せるぐらいな気持ちでいってください!」
  弓美が拳をふって鼓舞している。

〇元に戻る・ダイニングリビング
  拓馬が口火を切る。
拓馬「みんな呼んでおいて、どうするつもり?」
なぎさ「どうもこうもない! これ以上、私の家が潰されないようにみんなを呼んだの!」
拓馬「呼んでどうする? 君が認めようと認めまいと僕は紗世さんが好きだ!」
  拓馬、身を乗り出して、紗世の手を取る。
  そして、テーブルの上で恋人つなぎのように指と指を絡ませて握る。
なぎさ、驚き動揺し、
なぎさ「な、なんてことするの! パパが隣にいるのよ! (正志を見て)パパ!」
正志「……」
  正志、言葉に詰まる。
なぎさ「パパいいの!? こんなクソガキにママをとられて!」
正志「いや、そうだなぁ、これも全て織り込み済みだから」
なぎさ「パパ!」
いづみ「なぎさ。私たちもデキてるから」
  いづみ、右手を正志に差し出す。
  すると、正志は両手でいづみの手を握る。
  いづみも左手を出し、両手で握り合う。
  テーブルの上に握り合う手がある。
  なぎさ、苦悶の表情を浮かべ、叫ぶ。
なぎさ「なんなのよ! 気持ち悪い!」
  なぎさ、テーブルの上で握られている手をムキになって解く。
  なぎさ、いづみを見て、
なぎさ「いづみもいづみよ! 一体パパのどこが好きなの?」
いづみ「顔かな」
なぎさ「顔? ただのおじさんよ。私のパパよ」
  いづみ、頭をふり、
いづみ「包容力と責任感が顔に出てるの。責任ある立場で生きている。それが顔に出ているのよ。この表情は責任感のある大人の男にしか現れないわ。それが凄くたまらないの」
なぎさ「はぁ!? 責任感!? ずっと私に隠れて、いづみと付き合って、どこが責任感があるのよ!」
いづみ「それはそれ。恋は恋よ。なぎさにとってはパパでも、私にとっては恋心をくすぐる素敵な男性なの」
なぎさ「はぁ!?」
正志「なぎさ。人生は一生に一度しかないんだ」
  なぎさ、その言葉を聞いて辟易する。
なぎさ「またそれ!? 一生に一度って言えばなんでも許されると思ってるの!?」
正志「人を愛することに偏見をもってもらいたくないだけだ」
なぎさ「人を愛するって、ただの不倫じゃない!」
正志「不倫ではない。ママも私もお互いの意志を尊重している」
なぎさ「それでもパパとママがやっていることは不倫なのよ!」
正志「不倫じゃない!」
紗世「なぎさちゃん。人を愛する心に鍵はかけられないのよ。たとえ、それが好奇の目にさらされても。それが愛なのよ」
なぎさ「何言ってんの!? 全然わからないんだけど」
正志「わからなくてもいい。ただ、ありのままのパパとママを受け入れてほしい」
紗世「なぎさちゃん」
正志「それが出来るのが大人なんだよ」
なぎさ、四人の視線を感じる。
なぎさ「出来ないよ。出来ないし、出来たくもない! そんなの受け入れたくないよ!」
  紗世、懇願するように、
紗世「なぎさちゃん、わかって」
なぎさ「嫌だ! 絶対嫌だ!」
  正志、真顔で語気を強めて叱責する。
正志「なぎさ! いつまでも子供のように拗ねるんじゃない!」
  なぎさ、半べそかいて、
なぎさ「子供だもん」
  なぎさ、泣きながら立ち尽くす。
紗世「なぎさちゃん」
  なぎさ、泣きながら、
なぎさ「私がこんなに言ってるのに、別れるっていう選択肢はないの?」
正志「私たちの間では、もう成立していることなんだ」
なぎさ「私は成立してない!」
拓馬「じゃ、決を採りますか?」
なぎさ「そんなのやる前から決まってる!」
拓馬「でも、決ならなぎさも納得できるんじゃないのか?」
なぎさ「……」
拓馬「じゃ、夫婦とか年齢とか世間のしがらみとか関係なく好きな人が好きな人と付き合うことに賛成な人は挙手を」
  拓馬、正志、紗世、いづみが挙手する。
  なぎさ、苦虫を噛みしめたような表情をする。
拓馬「じゃ、反対な人」
  なぎさ、一人挙手する。
拓馬「なぎさちゃん一人だね」
  なぎさ、ソファの弓美を見て、
なぎさ「先生は?」
弓美「え? いや、私は部外者だから」
なぎさ「そんなことない! 第三者から見て先生はどう思うの?」
弓美「私? 私は」
  弓美、立ち上がってゆっくり手を挙げる。
なぎさ「ほら、先生は反対だって」
弓美「いや、私は世間のしがらみとか関係なく好きな人が好きな人と付き合うことが良いと思う」
  なぎさ、呆然と立ち尽くす。
  涙も止まる。
拓馬「ほら見ろ! みんなそうなんだよ」
なぎさ「そんな……。先生!?」
正志「なぎさにも世間のしがらみなんか気にせず、好きになった人を好きになってほしい」
  みんながなぎさを見る。
  なぎさ、ショックで俯いている。
なぎさ「じゃ、私が誰を好きになっても文句言ったりしない?」
正志「しないよ」
  なぎさ、紗世に向かって、
なぎさ「私もパパみたいに年の離れた人を好きになってもいいの?」
紗世「いいわよ」
なぎさ「じゃ、ママが苦手だって言ってた、うちの担任の青髭みたいな男を好きになってもいいの?」
紗世「そうね……。まぁ、仕方ないわ。ママはなぎさちゃんが好きになった人を信じるわ」
なぎさ「じゃ、じゃ、もしそうなっても絶対口出ししないって言えるの?」
紗世「言えるわ」
  なぎさ、動揺し、眉をひそめ、
なぎさ「ほんとに!?」
紗世「ほんと」
なぎさ「……」
正志「なぎさの好きにしなさい」
  なぎさ、顔を歪め、苦虫を噛みしめた表情をして、
なぎさ「じゃ、絶対口出ししないでよね!」
正志「ああ、口出ししないよ」
  なぎさ、顔を歪めて、
なぎさ「パパのバカ!」
紗世「なぎさちゃん!」
  なぎさ、足早にダイニングリビングから出ていこうとする。
なぎさ、弓美に肩を掴まれる。
弓美、なぎさを見ている。
なぎさの後ろ姿。
なぎさは弓美を振り払い、玄関に向かう。
なぎさ、家から出ていくドアの音が聞こえる。
    ×    ×    ×
  正志、紗世、弓美の三人しかいない。
正志と紗世、弓美を前にして、
正志「先生。全部、先生の言う通り動きましたが、ほんとにこれでよかったのでしょうか?」
弓美「これでいいんです」
正志・紗世「……」
弓美「何もせずに今の状態を続けていたら、互いにストレスが溜まる一方です。ならいっそ話し合って、腹にたまっているモノを出した方がいい」
正志・紗世「……」
弓美「それになぎさちゃんも考えるでしょう。考えさせることが必要なんです。考えれば、どうすればいいか自分で答えを出します。それを認めてあげれば全て丸く収まります」
  正志、感服し、
正志「先生に相談して良かった」
  紗世、正志の隣で何度も頷きながら
紗世「ほんとにありがとうございます」
弓美「いえ、まだ終わってません。勝負はこれからです」
  弓美、微笑む。

〇万華鏡の中の幾何学模様
  回転し幾何学模様が出る。

〇弓美のマンションの外観(夜)
  弓美が帰宅する。

〇同・弓美の部屋
  弓美、玄関を開けて入ると、部屋は明かりがついている。
  弓美、リビングに行く。
  弓美、ソファに座る。そして、横を振り向くとなぎさがいる。
  なぎさ、弓美を見て微笑む。
弓美「これで良かったの?」
なぎさ「ばっちり! さすが先生!」
  なぎさ、弓美に抱きつく。
なぎさ「これでもう隠す必要ないんだよ! 家でもどうどうと付き合えるんだよ!」
弓美「ほんと、パパとママを騙して、悪い子ね」
  弓美、なぎさの顔を愛撫する。
  なぎさ、顔上げて弓美を見上げ、
なぎさ「騙してないよ。みんなが幸せになるように導いただけだよ。だって、娘の私が反対しないとカッコつかないでしょ」
弓美「なぎさったら」
なぎさ「でもパパもママも、全て先生の指示に従って動いたと思ってる」
弓美「それでいいの?」
なぎさ「勿論」
  なぎさ、弓美に抱きついたまま甘える。
なぎさ(N)「私は、先生と出会ったとき、先生に一目ぼれした。そして、先生と付き合いはじめた。けど、そんなことパパとママには言えない。忍び愛だった」
  なぎさ、過去を思う。

〇過去・恵比寿の街並み
なぎさ、シェイクをストローで飲みながら歩いている。
なぎさ(N)「そんなとき、パパといづみを見た」
正志といづみ、腕を組んで街をあるいている。
なぎさ、ストローから口を離し、正志といづみを見て立ち尽くす。
なぎさ(N)「ほんと偶然だった」
  なぎさ、今度は反対車線に紗世の運転する白いベンツを見る。
なぎさ(N)「続けざまにママと拓馬」
車中にいる拓馬と紗世。
二人は談笑している。
  なぎさの手からシェイクが落ちる。
  立ち尽くすなぎさ。
  シェイクの容器が転がって止まる。
なぎさ(N)「パパとママの事実を知った時、正直ショックだった。でも、同時にこれはまたとないチャンス。私と先生の関係を公然のものにする絶好の好機」

〇戻る・弓美の部屋
  なぎさ、弓美に甘えながら、
なぎさ(N)「私は先生を使ってパパとママを私が見てしまうように仕向けた。そして、私はカマトトぶって、うぶで真面目な娘を演じた」

〇回想・ダイニングリビング
  正志、紗世、拓馬、いづみがテーブルに座っている。
なぎさ(N)「案の定、仲を引き裂こうとすればするほど、固く結びついていく」
  拓馬と紗世、テーブルの上で恋人つなぎのように指と指を絡ませて握っている。
  正志といづみ、お互いの手を両手で握り合っている。
なぎさ「じゃ、絶対口出ししないでよね!」
  なぎさ、ダイニングリビングから出ていこうとするも、弓美に肩を掴まれる。
なぎさの後ろ姿。
弓美、なぎさを見る。
弓美、なぎさの微笑みを見る。
なぎさ(N)「みんな、私の手のひらの中で転がされていたのだ」

〇戻る・弓美の部屋
  なぎさ、弓美に甘えながら、
弓美「怖い子。ほんとにやってしまうなんて」
  なぎあ、無邪気に微笑む。
なぎさ「だって、人生は一生に一度。好きになった人が女性だからって、あきらめることが出来る? そんなの出来ないわ」
  なぎさ、弓美を見上げる。
なぎさ「これで先生は私のもの」
  なぎさ、弓美に一層抱きつく。
なぎさ「先生のために頑張ったんだよ。ご褒美頂戴」
弓美「しょうがない子」
  弓美、なぎさの顔を両手で挟む。
  なぎさ、目をつぶる。
  弓美、なぎさにキスをしようと顔を近づける。

〇万華鏡が回転する

〇万華鏡の中の絵柄・キッチン
  紗世が玉ねぎの川をむき、拓馬がじゃがいもの皮をむいている。

〇万華鏡が回転する

〇万華鏡の中の絵柄・ダイニングリビング
  正志といづみ、ダイニングリビングでパターゴルフをして楽しんでいる。

〇万華鏡が回転する

〇万華鏡の中の絵柄・なぎさの部屋
  開いた窓からそよ風が入り、白いカーテンがなびく。
  なぎさ、弓美に勉強を教えてもらっている。
ベッドの上にフォトアルバムが置いてある。
軍服を着て男装のカッコをした弓美と少女のなぎさが抱き合っているコスプレ写真がいっぱいある。
  なぎさ、弓美にもたれ、目をつぶり幸せそうな笑みを浮かべる。
弓美、なぎさをそっと抱きしめる。
なぎさ「もうパパもママも気にせず、こうしていられるなんて、ほんと夢みたい」
なぎさ、流し目で誘うように正面(視聴者)を見て、
なぎさ「これが私たち家族が織り成す愛の模様なんです」
  なぎさ、妖しく微笑む。

〇万華鏡が回転する
  回転し幾何学模様が出る。

              〈終わり〉

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