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下駄ではない。無念の声を聴いてください。

「至誠会ポイント」は、岩本絹子現東京女子医科大学理事長が同窓会である「至誠会」会長を兼任していた時期に岩本氏の発案によって導入されたもので、会員(医学部卒業生)の同窓会への貢献度を数値化したものです。そこに寄付金のポイント化が織り込まれていました。複数の関係者からの情報提供によると、大学はこの「至誠会ポイント」と「医学部教員役職昇格のための評価」を結んだシステム(「至誠会ポイント」昇進システム)を構築し、2018年から2023年秋頃まで運用していました。

これはいわゆる「下駄を履かされて優遇された」という話とは真逆で、医学部同窓生が昇進昇格をする場合にのみ課された極めて不平等な昇進システムに当たります。

昇進昇格希望者のうち、卒業生のみに至誠会から発行される「至誠会活動状況報告書」の提出が義務付けられますが、同窓会への貢献ポイントである「至誠会ポイント」が足りないと、その不足点数を寄付金(不足0.5ポイントに対し、10万円など、合計20~80万円程度)に換算して補填するよう至誠会側から要求されます。「至誠会活動状況報告書」の提出は昇格申請書類の一部ですから、発行されないと昇進申請書類が提出できません。つまり、昇進を希望しながらも不足点を指摘された卒業生に、寄付金納入を断るという選択肢は現実的にはなかったことになります。加えて、日常業務に忙殺される卒業生は至誠会主催の講演会などに出席できず、また講演会の回数自体も少ないので出席ポイントは取得が難しく、その結果、ほとんどの卒業生昇進希望者は寄付金を支払う立場に置かれることになりました。

読売の記事には、「お金で職を買っている気がして、すごく嫌だった」という当事者の悲痛な声が書かれていました。これは、その当事者の無念の気持ちが吐露されたものであって、そのまま真実というわけではありません。卒業生は昇進の際に、業績とは無関係の、本来は必要ないはずのお金を、「寄付」という名目で上に納めるよう強要されたのです。至誠会ポイント制が現場でがんばる卒業生の尊厳をいかに傷つけていたかが分かる発言として捉えてください。

なお、りぼんの会が確認した「至誠会活動状況報告書」は、至誠会岩本絹子会長から、東京女子医大岩本絹子理事長と丸義朗学長に宛てた文書として発行されていました。

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