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知っておきたいEDの知識 EDの分類とは??? 「器質性ED」編

こんにちは、ED専門クリニックの医師Sです。
これまで、「ED治療とは?」というお題目にて基礎的なことを記事にしてきました。
今回は、そこから少し踏み込んで、EDの分類について触れていきたいと思います。
一言に「ED」といっても、いくつかの分類がありますので、これを機会に少し理解を深めてみませんか?

EDの分類 -EDはその病因から3つに分類-

EDはその病因(いわゆる病気の原因)から、器質性、心因性、混合性の3つに分類されます。
この分類は、2015年のコンサルテーション会議(女性および男性における性機能障害の定義:第4回性医学国際会議2015のコンセンサスステートメント。J Sex Med 2016; 13: 135 -143)にて、その病因から3つに分類されました。器質性(organic)、心因性(psychogenic)、混合性(mixed)というものです。
しかし、ほとんどの症例において、病因は混合していることが多いのが実態で、その点に注意するべきだとされています。
そのため、EDの分類においては、器質性が主な原因のもの、心因性が主な原因のものと分類することが勧められています。ポイントは「主な原因」というところで、決して一つに限定したものではないというところです。

器質性EDとは???

器質性EDは、その主な原因として肥満や生活習慣病などがあり、これらは血管、神経、内分泌環境などの増悪につながり、「物理的」に勃起が阻害されるというもので、以下の三つに大別されます。

一つ目は、加齢、喫煙や糖尿病、心不全、高血圧、動脈硬化等が根幹となるいわゆる血管障害によるものです。前立腺癌や前立腺肥大の外科的手術による神経や血管の損傷から生じるものもこれに含まれます。
二つ目は、脳から陰茎までの神経伝達経路が事故などの原因によって損傷し、その結果、神経障害によってEDを生じるもの。
三つめは、代表的な男性ホルモンの一つであるテストステロンの低下が原因となった内分泌機能の低下によるものがあります。背景には、ストレス、加齢、喫煙、飲酒などがあります。

喫煙イメージ

また、その他、特定の降圧薬や消化性潰瘍治療薬、向精神薬などの薬物が原因となることもあります。

器質性EDの特徴

勃起は、通常は性的刺激を受けることで脳から陰茎まで神経伝達によって興奮が伝わり、陰茎海綿体に血液が流入することで起こります。
しかし、前述しました原因によって身体における問題があると、「性欲があったとしても勃起することが困難」になります。
このように器質性EDでの症状は以下のようなものが見られます。

・勃起しない
・勃起しづらい
・勃起はするが十分な硬さが無い
・成功の途中で勃起が無くなる(いわゆる中折れ)
・朝立ちしない


勃起しない男性のイメージ

上記の最後の「朝立ちしない」という点は、器質性EDと心因性EDとの鑑別に有用なものとして、ED診療ガイドライン第3版内では「夜間勃起現象の評価」として明記されています。

最後に一言!

これまで述べてきましたように、「ED患者は心血管疾患と共通の危険因子(リスクファクター)を有する」ことが報告されています。危険因子には、高血圧、糖尿病、喫煙、脂質異常症、メタボッリックシンドロームなどです。繰り返します、「共通の危険因子」なのです。
ED診療ガイドライン[第3版]では、「心血管リスクファクターを有しているが心血管疾患を発生していない ED患者に対して,心血管疾患発生の予防目的で心血管リスクファクターへの介入を強く推奨する。」となっています。
ED治療として推奨されている生活習慣の改善は、突然死を招く心血管疾患の一次予防として有効であることが大規模な臨床研究で証明されています。
この記事を読んでくださっている皆さんには、是非ともご自身の健康寿命を延ばす観点からも、「積極的にED治療に取り組まれることが大切だ」ということを知っていただければ幸いです!

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