米韓の新たな拡大抑止体制と日米の拡大抑止
2023年4月25日、米韓は同盟締結70周年を記念してバイデン政権において二度目の首脳会談を開催された。
二つの文書の内容について、日本語に翻訳し、日本の安全保障と関係を考察する。
拡大抑止における新たな取り組み
ワシントン宣言の内容
ワシントン宣言の主な内容をまとめると、アメリカは韓国との共同防衛態勢に対する最も強い関与、すなわち核戦略レベルにおいても関与することを改めて表明し、同時に韓国はNPT体制の維持、すなわち核保有はせずアメリカの拡大抑止に依存する、という選択を維持するという方針を表明したものである。
具体的な施策は、拡大抑止戦略のレベルにおいて、拡大抑止戦略・協議グループを含む、拡大抑止に関する協議のための常設機関の設置である。これは米国と有事における作戦計画を共有し、そのための支援の共同実施、机上訓練・演習を通じた計画の改善のプロセスを実施していくことである。
一例として、核弾頭をともなった空中発射巡航ミサイルを搭載したB-52Hの米韓戦闘機部隊による護衛(支援にあたる)と、その作戦計画の共有と演習を通じた改善が考えられる。
これには、官僚のレベル(拡大抑止協議グループ/省庁間机上演習)と、軍隊レベル(新たに設置される韓国軍の戦略司令部と米国戦略司令部との机上演習、米韓軍の能力と計画活動の連携)のものが含まれることが示されている。
日米拡大抑止体制への示唆
核協議グループは日本における拡大抑止協議(EDD)に近い立ち位置であることが推測される。
日米間においては、2023年6月26~27日にわたって行われたの拡大抑止協議後の発表において、下記のように記している。
拡大抑止に関する常設機関は、実際に実施する部隊あるいは、そのための指令部組織などの軍人等も含めたものであると推測できる。その点において、今回の米韓の拡大抑止体制の変更は日米におけるそれよりも、若干具体的であると思われる。
ワシントン宣言では韓国戦略司令部と米国戦略司令部と能力と計画活動を密接に連携させていくと記されている。これは実際に核攻撃を支援する部隊を指揮する司令部と米軍司令部の、運用者同士の連携である。
しかし、日米間においては、運用者同士すなわち統合幕僚監部と米軍司令部との連携に関しては言及がない。
これには現在、新たに部隊運用に関する指揮統制権を持つ、常設の統合司令部を設置する方向で話が進んでいることも影響しているのではないかと思われる。現在、統合幕僚監部は部隊運用に関する指揮統制権と防衛大臣及び首相にたいする助言という二つの役割があり、アメリカ軍ではこの二つの機能は明確に分けられているものである。そのためなんらかの統合軍司令部と連携するにあたっても、現在は的確なカウンターパートはいない状態である。
令和6年度概算要求において、統合司令部の設置が要求されている。今後、統合司令部が設置後に、EDDの報道発表がどのように変化するか注目していく。
また”情報共有、訓練及び机上演習も含めた演習の向上を通じた同盟協力を深化”の中に、核作戦計画の共有、演習を通じた計画の改善が含まれているのか微妙な表現であり、その点でもワシントン宣言と比べて具体性に欠ける。
一方で、ミサイル防衛に関しては具体的に言及がある。韓国を含め北朝鮮のミサイル脅威に関しては、韓国のTHAAD、日米のSM-3・PAC-3・GPIやセンサー群による連携が不可欠なため、通常戦争のレベルだけでなく核戦争においても協力するということを強調していると言える。
これは、またブッシュ政権期のNPR2002において提唱された、新たな核の三本柱(ミサイル防衛・長射程打撃力・核技術インフラ)の具現化である。
省庁間机上演習は、同盟の抑止に関する取組を調整する方策を議論するためとあり、これはつまるところ、演習を通じて問題点を洗い出し、それを議論するために行われているものと考えられる。
日本の発表は全体的に抽象的で具体性がない部分がある。また、計画の共有、演習と改善というサイクルにどの程度、自衛隊の部隊や官僚が関与しているのかが重要であると思われる。
以下は、ワシントン宣言及び共同声明の邦訳です。
途中にある、ワシントン宣言の小見出しや共同宣言の小見出し(小さいほう)は、筆者がわかりやすさのために独自につけたもの。
ワシントン宣言
緒言
2023年4月26日、ジョセフ・バイデン米大統領と尹錫悦大統領は、米韓同盟70周年を記念して会談を行いました。
両国の同盟は、共通の犠牲の下に築かれ、永続的な安全保障協力によって強化され、両国が外交資源を活用して極めて重要かつ戦略的な成果を平和的に達成することを可能にしてきた緊密な関係によって培われてきました。
安全保障パートナーシップとして始まったものは、民主主義の原則を擁護し、経済協力を豊かにし、技術の進歩を推進する真にグローバルな同盟へと成長し、拡大してきました。
我々の同盟は何度も試されてきており、いかなる場合にも、我々はその機会に立ち上がり、朝鮮半島及びインド太平洋における変化する脅威に対応してきました。
相互防衛関係の更なる発展
この同盟の歴史的な年を記念して、バイデン大統領と尹大統領は、これまで以上に強固な相互防衛関係を発展させ、米韓相互防衛条約に基づく共同防衛態勢へのコミットメントを可能な限り強い言葉で確認することを約束した。
米国と韓国は、インド太平洋の平和と安定にコミットしており、我々が共にとる措置は、その基本的な目標を促進するためのものである。
拡大抑止への依存とNPT体制へのコミット
韓国は、米国の拡大抑止のコミットメントを全面的に信頼しており、米国の核抑止力に永続的に依存することの重要性、必要性、利益を認識している。
米国は、米国の核態勢見直しの宣言的政策に沿って、朝鮮半島におけるあらゆる核兵器使用の可能性について韓国と協議するためにあらゆる努力を払うことを約束し、同盟は、これらの協議を促進するための強固な通信インフラを維持する。
尹大統領は、世界的な不拡散体制の礎としての核拡散防止条約(NPT)上の義務及び米韓原子力平和利用協力協定に対する韓国の長年にわたるコミットメントを再確認した。
意思決定への関与の強化
同盟は、韓国及び地域に対する増大する核の脅威に関する強化された対話及び情報共有を通じたものを含め、核抑止に関するより深く協力的な意思決定に関与することにコミットする。
両首脳は、拡大抑止を強化し、核及び戦略計画を議論し、朝鮮民主主義人民共和国(DPRK)によってもたらされる不拡散体制に対する脅威を管理するための新たな核協議グループ(NCG)の設立を発表した。
加えて、同盟は、不測の事態における米国の核活動に対する韓国の通常支援の共同実施及び計画を可能にし、朝鮮半島における核抑止の適用に関する共同演習及び訓練活動を改善するために取り組む。
首脳のコミットメントに従い、同盟は、核の不測の事態に備えた計画に対する我々の共同アプローチを強化するため、新たな二国間の機関間机上シミュレーションを確立した。
拡大抑止へのコミットメントと安心供与
バイデン大統領は、韓国及び韓国国民に対する米国のコミットメントは揺るぎないものであり、北朝鮮による韓国に対するいかなる核攻撃に対しても、迅速で圧倒的かつ断固とした対応がなされることを再確認した。
バイデン大統領は、韓国に対する抑止力を拡大するという米国のコミットメントは、核を含む米国のあらゆる能力に支えられていることを強調した。
今後、米国の核弾道ミサイル潜水艦の韓国訪問に見られるように、米国は朝鮮半島に対する戦略資産の定期的な可視性を一層高め、両国軍間の連携を拡大・深化させていく。
さらに、米韓両国は、潜在的な攻撃や核使用から防衛するための同盟の準備を強化するため、拡大抑止戦略・協議グループを含む拡大抑止に関する協議のための常設機関を強化し、共同計画の取り組みを知らせるためのシミュレーションを実施する。
米韓軍の連携体制の強化
尹大統領は、米韓同盟の連合防衛態勢に韓国の能力を全面的に適用することを確認した。
これには、新たな韓国戦略司令部と米韓連合軍司令部の能力と計画活動を密接に連携させるために米国と足並みをそろえて取り組むことが含まれる。
そのような活動には、米国戦略司令部との間で実施される新たな机上演習が含まれる。
結言
こうした重大な動きを受けて、バイデン大統領と尹大統領は、国際社会に対し、米韓両国が共通の安全保障に対するあらゆる脅威に対して共に立ち向かい、拡大抑止を強化するための更なる措置について緊密な協議を継続するとの確固たるメッセージを送るとともに、朝鮮半島の完全な非核化という共通の目標を前進させるための手段として、前提条件のない北朝鮮との対話と外交を引き続き堅持している。
共同声明
目次
緒言
地球規模の包括的な戦略的同盟
ロシアのウクライナ侵略を非難
朝鮮半島問題
原子力の平和的利用
インド太平洋を通じた協力の拡大
自由で公正な経済活動のための多国間協力
日米韓三か国協力の重要性
東南アジア・太平洋諸国との協力
二国間の強固な関係の強化
経済分野での協力
安全保障関連技術での協力
サイバーセキュリティ協力
宇宙開発協力
教育分野における協力
結言
緒言
今日、アメリカ大統領Joseph R. Biden Jr. と韓国大統領ユン・ソンニョルは米韓の同盟締結70周年を記念して、ワシントンで会談を実施した。
これは、バイデンーハリス政権での二度目の訪問になる。
米韓両国は、これまで以上に強固な相互防衛と抑止力を発展させるとのワシントン宣言における大統領のコミットメントによって今日強化された、深く揺るぎない安全保障協力によって不可分の関係にあるが、同盟の最大の成功は、米国と韓国の人々のための安全で明るい未来を達成することに明確かつ拡大的に焦点を当てていることである。
21世紀で最も困難な課題に直面している同盟の今後70年間にわたって、両国はともに包括的なグローバル協力を増やし、強力な地域連携を深め、強固な両国間の関係を広めていきます。
基本的人権の擁護、自由、法の支配を守るという両国の共通のコミットメントによって、アメリカと韓国は安全保障と繁栄をもたらす強固な基礎を将来の世代に提供する同盟を構築していく。
地球規模の包括的な戦略的同盟
インド太平洋における平和と繁栄の要として、両国の同盟は、両国が民主主義、経済的繁栄、安全そして技術的イノベーションを推進するグローバルリーダーとしての重要な役割を反映し、朝鮮半島を超えて成長する。
両大統領は、国連憲章に掲げられた原則へのコミットメントを改めて表明した。
バイデン大統領は、次回の民主主義サミットの開催、共通の価値に基づく北大西洋条約機構及びG7とのパートナーシップの更なる発展、国連平和維持活動への貢献の継続的な拡大など、より大きな世界的責任を受け入れる韓国のイニシアティブを称賛した。
この部分に関して、ユン大統領は、AUKUSの立ち上げを含めて、この地域における平和と安全を保障するアメリカの協力活動への支援を表明した。
バイデン大統領とユン大統領は地球規模の発展への協力は世界を安定させるうえで重要な方法であるとして、米韓の開発協力や、それを超えた新たな制度的枠組みに署名すること賛同した。
ロシアのウクライナ侵略
ユン大統領とバイデン大統領は、国際社会とともにロシアによるウクライナ侵略を非難している。
アメリカと韓国は、主権と領土一体性を防衛するウクライナを支持し、両大統領はロシアの市民や重要インフラに対するか包動を最も強い言葉で非難する。
両国はロシアの明白な国際法違反に、制裁や貿易統制を通じて、これまで毅然とした態度で対処を続けており、これからも発電設備や通信設備の強化、と重要インフラの再建を含めた、政治、安全、人道的、経済的支援の提供を通じてウクライナを支援していく。
朝鮮半島問題
バイデン大統領とユン大統領は、朝鮮半島において継続的な平和を達成するための実行可能な唯一の手段として北朝鮮との外交に改めてコミットメントを表明し、北朝鮮に対し交渉に戻るよう求めた。
両大統領は、全ての朝鮮半島の人々がより良い将来を築き、自由で平和な統一された朝鮮半島を支援することに尽力する。
米韓両国は、北朝鮮が自国民の人権と尊厳を露骨に侵害し、希少な資源を大量破壊兵器の開発に配分することを決定したことを非難し、これは同盟にとって極めて重要な安全保障上の課題である。
この観点から、両首脳は、北朝鮮の核・弾道ミサイル計画を非難し、その開発の停止を求める。
米韓両国は、国連安全保障理事会及び国際社会と協力して、北朝鮮による行動並びに国連安全保障理事会決議に違反する個人及び団体による行動に対処することにコミットしている。
バイデン大統領とユン大統領は、朝鮮半島の完全な非核化へのコミットメントを改めて表明し、北陽線の核実験は国際社会の強力かつ断固とした対応によって対処されることを再確認する。
両首脳は、気候変動と生物多様性の喪失の影響の増大に深い懸念を表明し、機甲危機に対処するための世界的な行動を活性化することにコミットした。
ユン大統領とバイデン大統領は、パリ協定に基づく国家決定の貢献と2050年のネットゼロ目標を再確認した。
両首脳は、これらの目標を達成するために野心的な電力セクターの脱炭素化が必要であることを認識し、再生可能エネルギーと原子力を含むクリーンな電力シェアを大幅に強化することに合意した。
両首脳は、炭素削減、再生可能エネルギー及び水素技術の開発及び展開において協力し、産業、建設及び輸送におけるエネルギー効率を高めることにコミットした。
両首脳は、クリーンな水素、化石燃料分野におけるメタン削減、グリーン輸送、および小型ゼロ排出車の展開の加速における二国間協力の強化を追求する。
原子力の平和利用
両国は、原子力の平和的利用にコミットしている。
両首脳は、エネルギー安全保障危機を克服し、ネットゼロ排出という目標を達成するための鍵となる手段としての原子力の重要性を確認した。
両首脳は、両国が、お互いの輸出管理規則及び知的財産権を相互に尊重しつつ、国際原子力機関追加議定書に沿った世界的な民生用原子力協力に関与することにコミットしていることを再確認した。
両首脳は、資金調達手段の活用、被援助国における能力構築、およびより回復力のある原子力サプライチェーンの確立を通じて、民生用原子力の責任ある開発及び展開を世界的に促進することにコミットした。
デジタル技術の発展
ユン大統領とバイデン台頭量は、デジタルコンテンツとクラウドコンピューティングの成長を促進する投資の増加につながる研究開発に関する米韓協力を強化することにコミットする。
米韓両国は、オープンで、グローバルで、相互運用可能で、信頼性があり、安全なインターネットを通じた、国境を越えた信頼のあるデータの自由な流れの重要性を認識する。
両大統領は、高水準のデジタル貿易ルールを、オープンで公正なデジタル経済への道筋と捉えている。
電気通信セキュリティとベンダーの多様性の重要性を認識しつつ、両大統領はまた、国内外において、オープンで、透明性があり、安全な5G予備6Gネットワークデバイスおよびアーキテクチャを。オープンRANアプローチを用いて開発するために協力することにコミットする。
インド太平洋を通じた協力の拡大
両首脳は、連結され、繁栄し、安全で、強靭な、自由で開かれたインド太平洋を維持することの重要性を認識し、地域全体の相互協力を強化することにコミットした。
この関連で、バイデン大統領は、韓国の最初のインド太平洋戦略を、我々が共有する地域的コミットメントの反映として歓迎した。
両首脳は、両国がそれぞれのインド太平洋戦略の実施において協力することを確認し、特に気候変動、持続可能なエネルギーへのアクセス及び食料不安に対処する上で、多国間フォーラムにおけるインド太平洋の声の重要性を認識した。
自由で公正な経済活動のための多国間協力
米韓両国は、包摂的、自由かつ公正な貿易体制にコミットするとともに、同盟及びインド太平洋地域の繁栄した未来を確保するため,脅威に対して志を同じくするパートナーと協力することにコミットしている。
我々は、外国企業に対する経済的強制及び不透明な手段の利用を含む、経済的影響力の有害な利用に対する深い懸念を共有し、反対を表明するとともに、経済的強制に対抗するため、志を同じくするパートナーと協力する。
両国は、地域的なパートナーシップを構築し、潜在的なサプライチェーンの混乱を発見し,これに対処し、強じん性を強化するための措置を調整することにコミットしている。
米韓両国は、インド太平洋経済枠組みにおける高い水準の成果を支援するための技術支援、キャパシティ・ビルディング及びその他の協力イニシアティブのための資金を提供する意図を有し、これらの目的のための関連する資金の確保に努力する。
バイデン大統領は、,韓国が本年後半に釜山で第4回IPEF交渉ラウンドを主催するとの尹大統領の発表を歓迎し,両国は,アジア太平洋経済協力フォーラムにおける二国間協力を更に強化することにコミットした。
日米韓三か国協力の重要性
両首脳は、共有された価値に導かれ、イノベーションに動かされ、共有された繁栄と安全保障にコミットする日米韓三国間協力の重要性を強調した。
バイデン大統領は、日韓関係の改善に向けた尹大統領の大胆な措置を歓迎し、地域及び経済の安全保障に関するより深い三国間協力への扉を開く日韓協力の拡大を強く支持した。
両首脳は、北朝鮮のミサイル警告データのリアルタイムでの共有における進展を歓迎し、北朝鮮の高度化する核・ミサイルの脅威をより効果的に抑止し、対応するための対潜・ミサイル防衛演習の定例化を確認した。
また、両首脳は、海上阻止・海賊対処演習の復活計画、災害救援・人道支援のための三国間訓練の追加形態の特定について議論した。
台湾海峡の平和と安定
両首脳は、地域の安全と繁栄の不可欠な要素として、台湾海峡の平和と安定を維持することが重要であることを改めて表明し、違法な海洋権益の主張、埋め立て地の軍事化、強制的活動など、インド太平洋における一方的な現状変更の試みに強く反対した。
また、尹大統領とバイデン大統領は、国連海洋法条約に反映されているように、妨害されない通商、航行・上空飛行の自由、南シナ海を含むその他の合法的な海洋利用を維持するとのコミットメントを再確認した。
東南アジア・太平洋諸国との協力
両首脳は、強じんな保健システム、持続可能な開発、気候変動への強じん性及び適応、エネルギー安全保障、デジタル・コネクティビティを促進するため、東南アジア及び太平洋島嶼国との協力を強化することを約束した。
両首脳は、ASEANの中心性へのコミットメント、並びに新たな職員交流及びピア・ツー・ピアの学習を通じたものを含む地域開発援助の提供に関する協力の強化、及び特にメコン準地域におけるプログラムに関する直接的な協力へのコミットメントを共有した。
両首脳は、ブルー・パシフィック・イニシアティブのパートナー及び5月に第1回韓国・太平洋諸島サミットを主催するとの韓国の決定を通じたものを含め、太平洋に貢献するとのコミットメントを再確認した。
二国間の強固な関係の強化
米韓関係は、長年にわたる投資、貿易、技術、人と人との関係を特徴とし、両国に大きな経済的機会と繁栄をもたらしてきており、今後70年間もそうあり続ける。
米韓両国は、米韓自由貿易協定の委員会及び半導体、鉄鋼、その他の重要な物品を含むその他の関連する経路を通じて貿易上の懸念に対処することを約束した。
米韓両国は、持続可能な成長と金融の安定を促進するため、外国為替市場の動向について引き続き緊密に協議し、両大統領は、2022年5月及び9月の会合において議論された外国為替市場協力の認識を再確認した。
経済分野での協力
バイデン大統領と尹大統領は、クリーンエネルギー経済を構築し、我々の重要な技術のための互恵的なサプライチェーン生態系を構築し強化するために大胆な投資を行う必要性を確認した。
この点に関し、両首脳は、インフレ抑制法(IRA)及びCHIPS・科学法に対する韓国企業の懸念を緩和するための韓国及び米国による最近の努力を評価した。
両首脳は、これらの法律が、事業活動のための予測可能な条件を創出することにより、米国における互恵的な企業投資を促進することを確保するため、緊密な協議を継続することを約束した。
また、両首脳は、最先端の半導体、先端パッケージ及び先端材料の分野における研究開発協力の機会を特定することを約束した。
安全保障関連技術協力
両首脳は、国家安全保障担当補佐官が主導する次世代重要・新興技術対話の創設を通じたものを含め、重要・新興技術に関する協力を深化させ、拡大することにより、我々の経済安全保障を更に改善することを約束した。
両首脳は、最先端の半導体、電池及び量子に関する官民協力を強化するため、デジタル技術基準及び規制の精神に基づき、より緊密に連携することを約束した。
また、両首脳は、人工知能(AI)、バイオテクノロジー、AIを利用した医療製品及びバイオマニュファクチャリングに関する協力に留意した。
両首脳は、強靱な世界の半導体サプライチェーンを維持し、急速な技術進歩に対応しつつ、国家安全保障を確保するために適切な措置をとる必要性を認識しつつ、我々の外国投資審査当局と輸出管理当局との間の協力を深化させることの重要性を再確認した。
両首脳は、量子情報科学技術における米韓協力に関する共同声明の署名を歓迎し、世界の防衛産業における協力を強化するための米韓相互防衛調達協定の締結に向けた努力を要請した。
サイバーセキュリティ協力
尹大統領とバイデン大統領は、同盟がサイバー空間に適用されることを認識し、米韓戦略的サイバーセキュリティ協力枠組みを構築することを約束した。
米韓両国は、この枠組みを利用して、サイバー敵対者の抑止、重要インフラのサイバーセキュリティの強化、サイバー犯罪との闘い、暗号通貨及びブロックチェーンアプリケーションの安全確保に関する協力を拡大することにコミットしている。
両首脳は、北朝鮮の違法な大量破壊兵器及び弾道ミサイル計画に資金を提供する北朝鮮の違法なサイバー活動に懸念を表明し、北朝鮮のサイバー脅威と闘い、北朝鮮のサイバーによる収益創出を阻止するため、情報共有を拡大し、国際的な認識を高めることにコミットした。
宇宙開発協力
我々の同盟は宇宙にも適用され、尹大統領とバイデン大統領は、全ての分野において、また、複数の宇宙協力チャンネルを通じて、米韓同盟を更に強化することを約束した。
両大統領は、韓国の宇宙探査への投資を拡大する意図を歓迎し、月と火星の探査に関する協力の概念を研究する計画を発表した。
米国は、韓国の新しい大韓民国航空宇宙局を歓迎し、共同プロジェクトを期待している。
双方は、米韓の商業宇宙協力の強化を求め、米国が最近、衛星及び衛星部品に関する輸出管理政策を明確にしたことを歓迎した。
これは、二国間の商業及び政府の宇宙協力を拡大するための基盤を提供するものである。
双方は、将来の商業宇宙ステーションにおける産業協力の可能性を歓迎した。
両大統領はまた、破壊的な直接上昇型対衛星ミサイル実験を行わないとの韓国のコミットメントを含む、宇宙安全保障協力の深化を歓迎した。
双方は、増大する宇宙リスク及び脅威に対応するための二国間の宇宙状況把握協力を推進し、責任ある行動の規範の更なる発展を通じて、安全で安心で持続可能な宇宙環境を確保するために取り組む。
教育分野における協力
米韓両国は、卓越した教育を通じてより深く深い理解を促進するという共通の目標の下、人文・社会科学及び科学・技術・エンジニアリング・数学(STEM)の分野において、将来の世代のための人的関係及び教育協力を深化させることにコミットしている。
両首脳は、2023年を象徴し、同盟70周年を記念して、2,023人の韓国人及び2,023人の米国人にサービスを提供することを目的とした、共同出資による総額6000万ドルの新たな教育交流イニシアティブを発表した。
このイニシアティブには、フルブライト奨学金プログラムの下で200人の助成金受領者が含まれ、フルブライトの歴史の中で最も多くのSTEMのために選ばれた助成金受領者となる。
バイデン大統領と尹大統領は、我々の相互の繁栄と国際競争力は、全ての人々、特に女性が全ての分野及び全てのレベルにおいて我々の経済に参加し、貢献する権限を与える我々の能力にかかっていると指摘した。
結言
回復力のあるサプライチェーンの開発、半導体や重要鉱物などの重要な技術や戦略分野への投資から、気候危機との闘い、クリーンエネルギーへの移行の加速に至るまで、両国は関係のあらゆる側面を猛烈なスピードで深化させ、拡大させています。
今後70年間の米韓同盟は、これまでで最も輝かしいものになるでしょう。
バイデン大統領と尹大統領は、未来に向けて行動する同盟として、我々の関係を拡大し、深化させるために不断に努力するとの共同のコミットメントを再確認しました。
尹大統領から、バイデン大統領の温かいもてなしに感謝する旨述べるとともに、双方の都合の良い時期に改めて韓国を訪問するよう招請がありました。