共通テスト不正に加担させられそうになっていた話

最近各種報道でも話題になっている共通テスト不正の件について

私も巻き込まれそうになっていたのでその顛末をまとめました。現在10社くらいから取材依頼が来ているのですが、全てに対応するのも大変だし、かといって対応に差をつけるのも嫌なので、こうして公開してみました。


2021年12月1日

登録していたオンライン家庭教師サービスを通じて依頼メッセージが届きました。

依頼者は自称高校二年生女子、共通テスト対策の授業をお願いしたいので1月15日もしくは16日に体験レッスンをしてもらいたいとのことでした。

この時点では普通の依頼だと思っていましたし、日程も空いていたので承諾。すると以下のメッセージが届きました。

見ての通り、ちょっと変わった依頼です。

教え方がうまいか、自分にあった先生か、というのを見るために体験授業の枠はあるわけですが、その時間でテストを受けて欲しいという依頼は初めてでした。

しかし家庭教師サイトに登録していると変わった依頼というのは割と来るもので、この時点でも「ふーん、おもしれー依頼」くらいにしか思っていませんでした。

ただ、体験授業というのは通常料金より安く設定しているものなので、通常1~2時間のところを4時間もしないといけないのは割りに合わないなあと思い、こんな確認メッセージを送っています。

するとこういった返信がきたので、まあこちらとしては文句ありません。そんなに実力測りたいのか、変わってんなあとは思いました。

それにしても土日の予定が潰れるのはなんか嫌だったので、こんな提案をしてみました。

センターレベルで分量も少ない試験と言われていたので、正直制限時間の半分もいらないだろうし、解けさえすれば向こうも満足、時間短縮でこちらもラッキーというwin-winな申し出ですね。

するとこんな返事が。

なるほど、家庭教師候補は何人かいて、私は家庭教師の権利をかけてその人たちとオンラインで競い合うんだな、と解釈しました。バチェラーみたいですね(見たことないけど)。

ここまでは家庭教師サイト内のチャットでしたが、体験授業に向けてSkypeに移動しました。

センター日本史なんて覚えるだけだろ、とは思いました。わたし理系だし。

それから年が明けて、体験授業も近くなってきたので確認メッセージが来ました。この時点でも特に疑ってはいませんでした。



ある日、友人のA君とご飯を食べていた時に、「そういえば自分のところにこんな変な依頼が来てるんだけど」と話してみました。するとあろうことか、A君にも同じ人物から古文漢文の依頼が来ているというのです。

この時点で彼女が不正をしようとしているというのはほぼ確信になりました。

ただ彼女が高校二年生ということについてはあまり疑っていなかったので、おおかた共通テスト一年前チャレンジ的なやつ(進学校ではこういうのやりがち)でいい点を取りたいんだろうと思っていました。

そこで、その日の夜に確認を装って時間を聞いてみました。

家庭教師候補相手に組むにはあまりにもスッカスカな時間割ですね。

ここで共通テストの時間割を確認してみたところほぼ被っていたので、一年前チャレンジではないな、とわかりました(共通テスト本番を解くのなら問題が公開されてから印刷する必要があるので数時間ほど遅れます)。

しかし高校二年生であることは未だに疑っておらず(流石に会場で受ける共通テスト本番で不正はできないだろ、と思っていた)、予備校がやっているオンライン同日模試か何かだな、と自分の中で結論付けました。

断るという手もありましたが、不正ではない可能性も十分に残っており、その場合無闇に生徒を疑うのは良くないです。家庭教師というのは信頼関係が非常に大事なので。

まあとりあえず問題が送られてくるまでは様子見しつつ、本当に模試の不正っぽかったら(マークを一つずらして解答を送る、制限時間10秒後くらいに解答を送るなど)うまいことやれないかな〜なんて考えていました。


そして迎えた当日

実際に何が起きたかというのはすでに報道されていると思います。最初の方の科目で不正を疑われたので計画中止したのでしょう。

お昼頃にA君のもとには古文漢文キャンセルの連絡が来たと聞いていたので、何かトラブルがあって不正計画が頓挫したんだろうなと思っていたら、私のもとにも英語キャンセルの連絡が来ました。その後は写真にあるメッセージを最後に連絡がぱたりと途絶えてしまいました。


月曜に振り込まれると言っていた謝礼も振り込まれずじまいで(まあ何も授業していないのでそれはそうですが)、結局私は土日の予定をガッツリ押さえられた上で約束をドタキャンされ放置されるという損失を被ったわけです。

その後、マジの共通テスト不正だったことを知ります。大胆な手口だなぁおい。



大体の顛末はこのような感じです。

〜Take-Home Message〜

・この手口は初見殺し、真っ当に生きてきた人は一回食らわないとなかなか気づけない

・家庭教師側は問題が送られてきた段階で不正を指摘することは原理的に不可能

・生徒に不正ではないかと疑いを投げかけるのは信頼関係に傷をつけることになるので難しい


個人的には、この手口が広く知られてしまうことによって不正予備軍が不正に走ってしまうことの影響が大きいのではないかと思いますが、ここまで報道で広まってしまったものはもう仕方ない。

家庭教師側が取れる対策は、生徒側に必ずビデオとマイクをオンにしてもらうことくらいでしょうか。


最後まで読んで下さりありがとうございました。
記事の最後に投げ銭コーナーを作ってみました。
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