見出し画像

CEOの秘書を担当して学んだこと・気づいたこと

私はフローレンスというNPOでこの3月までの2年間、代表理事の駒崎弘樹さんの秘書を担当しました。
(今も勤務してます、退職した訳ではありません)

GWの長い休みの中、この2年間をぼんやり振り返っていて、とても学びが多かったな。自分の意識がとても変わった2年間だったなと思い、記録のためにその学んだこと・気づいたことを書き留めておきたいと思います。

■秘書の業務内容について
秘書と言っても1人で全てを引き受けるのではなく、私達の組織では主に以下のような形で業務分担をしつつ、フローレンスやその他関連団体の代表でもある駒崎さんを支えています。

・ブログなどのメディアやSNSを管理する人
・取材や広報業務を担当する人
・スケジュール調整やそれにまつわる様々なお世話をする人
・その他、駒崎さんが代表を務める関連団体の事務をする人

体半分で上記の秘書業務を担当しつつ、もう半分で別の業務も持っていて
きちんと事業部に所属しています。

というのも、NPOでの人件費などの経費は寄付金からも使わせていただいており、1つの担当業務を1人で担っているという場合もありますがそれでキャパが余る際は、他の業務も担当することによって適切なコストを振り分けて無駄なく運営しています。

また、経営者はエネルギーレベルがものすごく大きくて、多動でアイディアをどんどん形にしたりすごい勢いで業務をこなしていくので、正直このくらいの関わり度でないとこちらが焼け焦げちゃいます。

で、この中では私は「スケジュール調整やそれにまつわる様々なお世話をする人」として2年間担当させてもらった訳ですが、これがめっちゃ面白かった。政治家の秘書が政治家になるために秘書として、その手法を学びつつ人脈も広げていくのもわかる気がしました。

■CEOはどんな人か
2年間関わる中で、経営者の成長(なんて私が言うのはおこがましいですが)スピードはこんなにも早いのかと、経営者のモノの見方や考え方はこんな風なのかと、アイディアを形にしていく過程はこうなのかと、経営者の人脈のつくり方は、メンタルの調整方法は、家族との関係は…と、とてもとても興味深い日々でした。

そして、実際にというと駒崎さんは一人で何でもできるし、どこへでも一人で行くので、秘書である私自身が外出に同行することは全くなく(広報担当者は取材に同行・同席したりするので一緒に出かける機会はたくさんあります)とても効率が良いなと思い感心しました。

スケジュールを登録するクラウドに細かく訪問先の『住所とビル名と受付方法』や必要な際は資料を貼り付けておくとおくと、それだけで情報を全部読み込んで1人でどこへでもさっさと行く駒崎さん。誰よりもタクシーを拾うのが早いらしく、スタッフと一緒に出かける時も颯爽とタクシーを捕まえるとの噂。

■今まで見た誰よりも事務スキルが高いCEO
私は今まで、30歳までに5社の会社を経験して様々な業務を担当してきました。インテリアショップで販売してたこともあるし、お店に商品を卸す会社の商品管理部で働いてたこともあるし、お店のバックオフィス業務をしてたこともあるし、派遣で大手の企業で契約管理の業務もしたし、不動産管理会社で事務もしました。

そんな中、上司でこんなにも事務スキルが高い人を見たことないです。もちろん一般スタッフでもこんなに事務スキル高い人いません。

秘書の業務の中では、「●●の件って××だったよね?」みたいなことを駒崎さんに聞かれることも日常茶飯事でした。「いやいや違います。●●です」と私はチャットで返そうとするんですが、もう一度経緯を遡って確認すると、駒崎さんが言ってることが正しいことがほとんど。
作成する資料やブログなどの原稿の誤字脱字もありません。
社内外の方とやりとりしてても誰よりも返信が早い。

あんなにたくさんの案件かかえて、1日中会議や取材や外出・訪問などのためランチの時間も取れないくらい忙しいのにです。

何なんだろうこの人は。頭の中どうなってるんだろう。という疑問がぬぐえなかったのですが、おそらく【選択と集中+人並み外れた状況把握力と記憶力】に尽きるのかなと今は勝手に思っています。

そして、この事務能力の中で言うと、指示がめちゃくちゃ的確なのも学び深かったです。
簡潔に業務を依頼してくれるのですが、簡潔な依頼内容だとどうしても
「それって●●で合ってますか?」といちいち聞きたくなる。

でも、簡潔な文章をきちんと読み込めばわかるようになっていて、
余計なことを思案する自分がいけない!と思って指示内容通りに対処するとうまくいく。書かれていないことはよしなにでいい。
重要なところ以外よしなに対応して、それでも「違うな」と思えば本人が私に指摘してくるから言ってくる前にいちいちあれこれ考えなくていい。ということなんですね。(たぶん)

それって他の業務や人間関係でもそうで、相手が求めてないのにそこまでやろうとすると噛み合わないこともあるし、最初から完璧にやろうとしなくていいということを学びました。物事は7割で十分。

また、最近は特に勤務時間外や休日は仕事の指示をしてくることはほとんどなく、
指示を出すタイミングも気にしている模様。
休みの日にチャットメッセージを送る際には「返事は休み明けでいいです」と最後に付け加える配慮もしていて、気遣いのスキルも磨いているCEOに、素直さと謙虚さが素晴らしいなと個人的に感じています。

■ハートと生産性のバランスが秀逸なCEO
このようにたくさんの事業を拡大する経営者なので、生産性のことだけ考えて日々動いているかと思いきや涙もろくて困っている人をほっとけないらしく、それによって結果的に次々に事業を始めることに繋がっています。

また、社員や利用者さんとの交流も大事にしていて、各事業部の現場スタッフが集まる会議には必ず顔を出してスタッフとお弁当を一緒に食べたり、現場の課題をヒアリングしたりしています。

スタッフ開催の飲み会にも気さくに参加するし、ランチしたかったら勝手にスケジュールに入れておけば行ってくれます。

もちろん社長室もないですし、日々のランチはもっぱらコンビニのサンドイッチ。社内ではいつも、iPadのペンシルなくしたとかイヤホンなくしたとかで探しものしてるし。普通の人な感じを失わない(取り繕わない)ところも好印象です。

一方、会社の経営のことや事業戦略については、理事の皆さんやディレクター・マネージャー陣とともに日々最善で最適な意思決定を行い事業戦略を練って実行し、毎年収益は増加していますし、スタッフ数も増え続けています。

そういう、大きく責任の重い意思決定を行いつつも、きちんと子育てにも参加していて通常は朝のお子さんの送りを担当し、夕方もアポがなければ18時には退社します。

あと、私が何より好きなのは
「●●がすごい複雑でめんどくさくて時間かかるんですよ」と言うと
「それ、効率悪いならやらなくてよくない?」とか「他の方法でできるかも」というようなことを必ず言ってくれることです。

「でもさ、やらないといけないんだから。しょうがないでしょ。ルールだし」とか絶対言いません。絶対言わない。聞いたことない。

もうこれだけで私はこの会社にいる意味を見出してるくらいです。

■さいごに
経営者として600人のスタッフを雇用していくつもの事業を行い、関連団体の代表も複数務め、国の審議会にも参加して法律を変える政策提言、また社外のプロジェクトへの参加やテレビ・雑誌・新聞などのメディア露出での提言などたくさんの【社会を変える活動】をしているCEO。

そんな人でも、何かを始める際には自分で関係者にヒアリングを行い、様々な情報を集めて、こうしたら上手くいくのではないかという仮説を立て、失敗を恐れずまずはスモールステップで試してみる。そして壁に当たる度に試行錯誤をして、また戦略を練り直して諦めずに進めて、いつも精一杯活動しているのを目の当たりにしました。(成功した分だけ失敗もあるはず)

最初から上手くいく方法を知ってる訳ではない。いつも泥臭いことをコツコツ積み上げているだけ。こんなに経営者が泥臭く努力しているとは思わなかったです。
いつでも失敗を恐れずに前だけを見て、色んな方々を巻き込んで一つずつ丁寧にかつ戦略的に進めている。

スタッフに感謝し、スタッフが退職する際にはいつも(ハートと生産性の両面から)心を痛めていることも近くで感じました。

こんなに経営者が失敗を恐れずに泥臭く日々生きて活動してても、うまくいかないこともあるのに、ちょっと何か自分が「これがやりたい」と思ってコミットしてみて、うまくいかなかったとしても大したことじゃないなと思うようになりましたし、いちいち他人の目を気にするのも意味がないなと思うようになりました。

何かやりたいことがあるなら、失敗やリスクを恐れずにやってみる。
それでしか成功の道はないんだと思います。
また、人の目を気にして行動を躊躇するのも、ただの自意識過剰なだけで
誰もそんなこと気にしてないということも学びました。

今回書き始めたら、止まらなくなって書きたいことがどんどん出てきたので
今後も思い出しベースで、また気が向いたら追加で書き溜めていくことにします。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?