受験期に聴いていたボカロの紹介とその考察
こんにちは。佐々木といいます。
今年で大学生になりました。春は新生活が忙しく今のことだけを考えることで精一杯という状態で過ごしておりました。
初夏らしく空が青みを帯びてきた今、漸く過去について振り返るという時間ができたように思います。と、いうことで私が受験期に聴いていたボカロ曲を厳選して紹介していこうと思います。
※痛い大学生による歌詞考察マシマシなので苦手な方はブラウザバックをお願いします!
この記事を書いた理由
ただの自分語りですのでおすすめのボカロだけ知りたいという方は飛ばして頂いて大丈夫です。
私は受験期時代精神的にかなり追いやられていました。周りが成績を追い上げていく中、私だけが取り残されたままといった状況で勉強へのモチベーションも下がりつつありました。
そんな中、心の支えになっていたのがボカロでした。オシャレな曲、カッコイイ曲、明るい曲、寂しい曲、そんな全ての曲が私の心に響いて前を向いて頑張ろうという気持ちにさせてくれました。
メランコリックな曲でさえも前向きな気持ちにさせれくれるのはカタルシスに浸っているからだろうと思います。
当時はこの曲と共に日々を過ごしてきました。
学校へ通う時も塾へ向かう時も共通テストの日も受験当日もずっと聴いていました。
今でもずっと聴いています。
とにかく音楽は心の支えとなるものなのだとこの一年を通して思いました。
だからみんなにも聴いてほしいのです。
そして今こうして書いている次第です。
曲の紹介
現在ニコニコ動画がサービス停止のためYouTubeのリンクを代わりに貼っていきます。
1.ニビイロドロウレ/ツミキ
一曲目はツミキさんのニビイロドロウレです。
何を隠そう私はツミキさんの大ファンでトウキョウダイバアフェイクショウを初めて聴いた時、頭を殴られるような衝撃を受け、それ以来ずっと追い続けています。
その中でも特に良かった一曲がニビイロドロウレです。
『道徳観を如何解くか等なんて、説く君は誰だっけ』といった美しい言葉遊びが特徴的で歌詞は難解なものの、意味としての美しさではなく文字列としての視覚的な美しさがそこには有ると思います。
ツミキさんのアルバムSAKKAC CRAFTの特徴として長めのピアノソロパートが多々あり、ニコニコではSTT【スーパーツミキタイム】という愛称で讃えられています。
ニビイロドロウレでも2:41秒辺りに18秒間のピアノソロがあり、この曲を語る上で欠かせない要素です。
この曲は美学の追求の果てだと思います。
是非聴いてみて下さい。
2.ダストトレイル/Noz.
二曲目はNoz.さんのダストトレイルです。
この曲はボカコレ2023春にて投稿されました。
Noz.さんと云えばボカコレ2021春に10位を獲得し、マジカルミライ2023に選ばれたヘッジホッグが有名ですが個人的にはこの曲を推していきたいです!
魅力的なギターフレーズにクセになるリンの調声が特徴的で私も春から夏にかけて滅茶苦茶聴いていました。
歌詞を個人的に考察したのですが、この曲は流星群が落ちて終わる世界でありふれた今日を欲してあなたの隣でラブソングを歌いたい。といった曲なのかなと思いました。
特に
という表現は印象に残りました。
何を食っていればこんなにも美しい表現が思い浮かぶのかと。初めて聴いた時は心の昂りが抑えられなかったです。
この曲、
など悲観的なシーンが書かれているのですが、それでもまだ諦めていない、あなたに歌を届けに行くという込み上がる熱情が様々な所から読み取れます。
間奏の
って所なんて滅茶苦茶ロマンチックじゃないですか?
死ぬまでありふれた今日を生きていこう。そんな心意気がが感じられますね。
こうした歌詞を前提に再び曲を聴いてみると単純なカッコイイ曲から悲しみを述べた哀歌的な側面が見いだせると思います。
是非概要欄の歌詞を見ながら聴いてみてください。
3.君と僕のファインドニューエイジ/YM
3曲目はYMさんの君と僕のファインドニューエイジです。この曲は勉強に嫌気が差してしまった夏に日帰りで旅行に行った日に初めて聴きました。
YMさんの曲はベースが本当にカッコよくてMVも凝っています。
この曲は蒼昊に白い雲、過去の記憶、ワンピース姿のGUMIといった夏を彷彿とさせる要素を詰め込んだ感じがして情緒的な気分にさせてくれました。サビのルンルンと踊るGUMIは可愛らしいので是非見てほしいです!
YMさんの曲を聴くなら是非サブスクではなく動画で見ることをオススメします!
さて、歌詞についての考察なのです。
この曲はYMさんの思いが詰め込まれた曲、だと私は思いました。
YMさんの過去のツイートにて自分の不安な気持ちを綴った曲だったが時代まで不安な状況になったとあります。時代の不安な状況というのは2020のツイートですのでコロナのことでしょうね。
そのツイートのリンクを載せておきます。
本題の歌詞の内容についてです。
GUMIと出逢ったかつての記憶に縋っている。時代が変わった今、進むことが怖くなってしまう。それでも前に進み続ける。過ぎた思い出も詰め込み、新たな時代を築いていく。
これはGUMIと出逢い作曲を続けてきたYMさんが進むことに躊躇いを感じていたのでは無いかというのが私の解釈です。
ということからも読み取れますね。
それでもGUMI【命】が歌を歌いたがっている。ともに歩んでいく。
そう決心した曲なのではないでしょうか。
進むことへの漠然とした恐怖は誰にでもあるものだと思います。それでも時代は進み変わって行かなければならない。かなり考えさせるような内容でした。
4.アイソトープ/r-906
4曲目はr-906さんのアイソトープです。
CeVIO AI 音楽的同位体 可不(KAFU)書き下ろしされた楽曲ですね。
何だこの曲は。というのが初めて聴いた時の感想です。以前にr-906さんの楽曲は聴いていましたが今回は毛色が違うぞという感じでした。
かつてのr-906さん楽曲は白を基調としたMVで少ない音で表現する芸術といったイメージがありました。
しかしこのアイソトープという曲、今までの曲より音が多く盛り込まれていてMV全体に色がついています。
r-906さんのドラムンベース楽曲のイメージはここで定着しましたね。
前置きはここまでにしてこの曲の魅力を語っていきたいと思います。
何よりも魅力的なのは歌詞じゃないでしょうか。
特に
という歌詞が私の美学に刺さりましたね。
なかなか解釈しづらい歌詞ではありますが日本語の美しさを前面に押し出したような印象です。
以前Twitterのスペースにてr-906さんとツミキさんの対談が有りましたがツミキさんもアイソトープの歌詞を高く評価していましたね。
やはり二人とも日本語という言語に美学を見出し追求しているように感じるんですよね。
単に難しい言葉を羅列するというわけでなく美しく描くために結果として難しくなったという感じがします。
私が好きになるボカロPの傾向もそれに沿った形なのかもしれません。
続いて歌詞の内容についてです。
この曲のテーマは恐らく王への謀反です。
少し調べてみたところ、ル・コルビュジエの賽は投げられたという絵画とそのモデルになった歴史の関連性を見出しました。
この曲にある『賽は投げられた』は古代ローマ時代、カエサルが元老院に反旗を翻して、ルビコン川を渡るときに発した言葉です。
そして戦いに勝利したカエサルが
という歌詞に当てはまるのではないでしょうか。
そして建築家ル・コルビュジエによって描かれた絵画に賽は投げられたという絵画が存在します。これも恐らくカエサルの反乱をテーマとした絵であることがインターネットの文献からは確認できました。
そしてその絵画がこちらです。
この曲、1番のサビ後の後MVの色が反転するのですがこれがル・コルビュジエの賽は投げられたの絵画と色合いが非常に似ています。
説明すると長くなってしまいますが歌詞の所々にこのカエサルの反乱、権力の掌握、ブルータスの裏切り、新たな権力の台頭を暗示する歌詞が見られます。これについては別の記事で丸々1本書こうと思いますのでこの辺でやめておきますね。
5.フェイタルエゴ/青栗鼠
5曲目は青栗鼠さんのフェイタルエゴです。
無色透名祭参加楽曲ですね。ニコニコが現在メンテナンス中で見ることが出来ないですが確か無色透名祭の中では1番の再生数を誇っています。
ニコニコが復旧したら無色透明祭主題の記事も書きたいですね。
無名で投稿される無色透明祭ですがフェイタルエゴは一瞬で青栗鼠さんって分かりましたね(笑)
ニコニコではタイトル通り致命的な自我と冗談めかしく揶揄している人もいるレベルで分かりやすかったです(笑)
この曲を一言で言い表すならばドラムンベースの真骨頂です。青栗鼠さんらしい独特なコード進行、4つ打ちに混じる変拍子、アンニュイな雰囲気の可不の調声がこの曲を昇華させていると思います。
ピアノのメロディは強く突き刺さって乾いたドラムを刻む音がしっかりと聴こえる。
あえてギターは使わず主張しすぎないベースが曲を支えています。
歌詞についての考察なのですがまぁ私の理解力では正直無理かなって感じがしました(笑)
割と文字の勉強をしてきたつもりですが潺湲という字は初めて知りました。坂口安吾や芥川龍之介など近代文学作家の間ではよく用いられていたらしいですね。
羅列された文字の意味を理解しても結局どんな内容、メッセージなのかは曖昧な儘でした。
唯一ヒントがあるとすればタイトルのフェイタルエゴでしょうか。
エフェメラリズム、ディペンダンサーといい、青栗鼠さんの曲は難しいので雰囲気で楽しんでます(笑)
この曲が気に入った方は他の曲も是非聴いて見てください。青栗鼠節をこれでもかってほど摂取できますよ!
6.ニル/Tama
6曲目はTamaさんのニルです。
こちらも無色透名祭Ⅱにて投稿された曲になります。
匿名投稿ではありましたが結局曲調で正体のバレた有名ボカロPの曲が伸びる中、知名度が低い状態で実力だけでのし上がってきたのがこの曲ですね。
私も初めて聴いたときは心を衝き動かされましたね。なんて美しい曲なのだろう。言葉では形容し難い美しさを感じました。
この曲の魅力についてしっかりお伝えできればなと思います。
まずイントロですね。
ホワイトノイズの後、グラスに氷が落ちる音から始まります。機械から流したようなメロディが流れ始め、再び氷の音、ガラスが割れる音、目覚まし時計のベルの音、そしてローディング後になるカセットの音といった日常生活で流れるような音から曲が始まります。まずここで一度目の衝撃を受けましたね。環境音を使ったボカロ曲は少なからず存在していますがここまで綺麗な使い方は見たことがないです。
そしてAメロのメリハリがすごい。
調声担当のSILVAさんも凄くてAメロでは初音ミクの
『uh〜』というハミングが挟まれているのですが本当に凄いです。曲としての完成度をグッと引き上げている感じがします。これが2度目の衝撃ですね。
そして一気に音が激しくなって盛り上がっています。
この曲、
というふうに段々夜が明けていくんですよね。
夜が終わって欲しくない主人公の願いとは裏腹に時は残酷にも進んでいるんです。
『君』が居なくなった私は自分を最低な私と言って深い孤独に陥っているようです。
という歌詞から『君』の最期であることが読み取れると思います。そして『君』はごめんねと私に謝っていますね。
『君』は朝までの命であったと解釈しています。
だから朝が来ないように手を伸ばしていた。
でも人間そうはいかないんです。大切な人が死んでしまったら悲しい。
最後には『君』と居る瞬間以外どうなったっていいとさえ言っています。最後は『君』と眠って物語は終わります。
儚く美しい歌詞でした。
受験期、夜の9時半を過ぎて塾を出て1人歩いている時によく聴いていたのを今でも鮮明に思い出せます。
Tamaさんの新曲を楽しみに首を長くして待っています。
7.ハクチウム/ブブゼラ
7曲目はブブゼラさんのハクチウムです。
この曲、1度聴くと沼に引き摺り込まれます。
ハイテンポで独特なリズムが特徴的です。星界のボーカルも絶妙にマッチしていますね。
ここからは注意して欲しいのですが人によっては不快な思いをさせてしまう恐れのある内容となっています。了承の上閲覧ください。
恐らくこの曲は、白痴と白昼夢を掛けています。
白昼夢は目が覚めている状態で見る夢に似た現実性を帯びた空想のことです。
白痴は知能がきわめて低いことを指しますが、差別用語として知的障碍者を指すケースが多いです。
この曲のストーリーは次のようなものであると考察しています。
主人公は白昼夢を見ている。ぼんやりとした白昼夢の中、顔も名前も分からない『あなた』を好きになった。段々白昼夢の中が心地好くなって『現世と錯覚させないで』と現実を拒み、空想に耽り、心が現世と乖離していく。『あっぱれだ, 我がハ ク チ ウ ム』と白昼夢で見る世界を讃え、自我が崩壊していく。
と言った感じですかね。正直全然分からなくてあっているかどうか皆目見当もつきませんが……
ブブゼラさんのTwitterでハクチウムについて情報を探っていたところ次のような投稿が出てきました。
はい。かなりエグイですね。
歌詞にも『許してほしかった』とあるので何かのトラウマから逃げ続けた結果、白昼夢に浸り、体と心が遠ざかっていくといった話だと思っています。
空想に溺れた末の自我の崩壊って解離症【解離性障害】に症状が似ているんですよね。
解離症は心の纏まりが無くなって最終的に自我、感覚、知覚、感情、思考、記憶、行動などが破綻したり、つながらなくなったりして社会生活が損なわれます。そして醜い何かに成り果ててしまった。これはブブゼラさんの言う白痴を表していると考えられます。
解離症の症状として背後に人の気配がする、頭の中から声が聞こえるなどが見られます。
これも『後ろの正面 だっだれだ 誰々だれだ』という歌詞に合っていますね。
実際に白昼夢に耽溺しすぎて実社会で生きることが困難になってしまった例が存在するそうです。
不適応性白昼夢と呼ばれ、精神疾患か否かは未だ議論が続いています。それについて書かれている記事はこちらに記載しておきます。
当時受験生の時は暗い系のボカロだな〜としか思っていませんでしたね。
なかなかブラックな曲でした。
8.凡愚/のすけ
次はのすけ(isonosuke)さんの凡愚です。
特徴的なMVに独特な曲調が印象的です。
主な使用ソフトは知声と機流音ですね。
のすけさんの面白いところはバカ通信、凡愚、クズ讃歌など学習に励む知声の公式設定とは反対の愚かしさを前面に押し出しているところですね。
凡愚の歌詞もかなり面白いものとなっています。
この曲ではタイトル通り凡愚という言葉がテーマになっていますね。
一般的に凡愚はありふれていて愚かしい様相を指しますがのすけさんの凡愚では『何処かしらが欠けている』ことを意味しているようです。
この曲では人間の愚かさを表現していると思いました。
人というのは何処かしらが欠けていてそれを知ることによって補おうとしています。でも欠けている部分って自分では気づくことが出来ないんですね。
それがわかる瞬間って他者にその欠けている部分無意識に晒した時なんです。
そんな中で私たちは常に増えていく情報を正しく理解しようとしている。でもその解釈は間違っていて誤謬が蓄積していく。それを解せぬ儘溶け込んでいくとあります。
これは私たちの生きる世界でもよくあることだと思います。
とある事象を例に説明してみようと思います。
私も哲学の記事なんか見てると難解な理論に直面します。それを私に今備わっている知識だけで理解しなければならないのです。恐らく私は今ある知識だけで理解出来るように都合よく解釈してしまうでしょう。
もしその解釈が誤っていたらどうだろうか。
そこから先の理論を理解しようとさらなる誤解を積み重ねていきます。
ですが私が解釈した物事が本当に正しい解釈なのか誤った解釈なのか自分で確かめる術は存在しないのです。
これは
という歌詞に当てはまりますね。
そして解釈の誤りに気づくのは他者にその哲学の理論を持ち出した時なんです。
他者に間違いを指摘され、衒学者であることがバレてしまいました。それを『誤魔化すトーク』で自分のプライドを守ろうとしています。『クレバーな理想』というのは哲学の知識を雄弁に語れる世界線の私ですね。それを捨てて誤魔化すことに徹するんです。そこも含めて私たち人間は凡愚なんだと。そういう話ですね。
是非聴いてみてください!
9.ビビビビ/フロクロ
9曲目はフロクロさんのビビビビです。
ボカコレ2023春参加楽曲です。
初めて聴いた時は息もできないくらいの衝撃を受けましたね。天才的な音作りに衝撃的なMVが中毒の沼に引き摺り込んできます。
長すぎるロングトーン、人智を超えたCメロ、僕らの思考を超えていきました。
千葉出身のボカロPということでMVが津田沼になっていますね。私も津田沼に模試を受けに行く機会があったので馴染み深い土地のMVでとても楽しめました。津田沼に現れた巨大な少女、爆破される街、正に息もできないくらいの衝撃。
で”則る”と”乗っ取る”で掛けているところを見るとフロクロさんの言葉遊びの洗練具合が窺えると思います。
MVから歌詞まで元ネタがあると本人がTwitterで呟いているので是非フロクロさんのアカウントでビビビビで検索をかけてみてください。
10.死んでしまったんだ/椎乃味醂
10曲目は椎乃味醂さんの死んでしまったんだです。
ボカコレ2022年参加曲ですね。
この死んでしまったんだが椎乃味醂さんを知った最初の曲です。早口調の可不ボーカルにバチバチに鳴り響く重低音は私に刺さりましたね。
衝撃なのは当時椎乃味醂さんが18歳であったことですね。彼の作曲センス、語彙力には脱帽しました。単なる語彙だけでなく、哲学思想にも精通しているっぽくて歌詞には哲学用語が散りばめられています。私は大学に入って初めて本というものを読み始めて色んな人の思想や持論を知り始めましたが、椎乃味醂さんは中学生時代から本を読んでいたとの事でやっぱり凄いと思います。
椎乃味醂さんとシノダさんとの対談では次のように語っています。
この豊富な語彙から紡ぎ出される歌詞が椎乃味醂の募る強い意志を具現していると思います。
考察についてはきぃ氏が先に述べていましたので省略させていただきます。こちらにリンクを載せておきます。
非常に面白い考察でしたので是非。
11.感傷マゾヒスト/cosMo@暴走p
11曲目はcosMo@暴走pさんの感傷マゾヒストですね。cosMo@暴走pさんにしては控えめな感じの暴走具合に感じますがBPMはしっかりと228と早いです。
感傷マゾヒストは今まで聴いてきたボカロでここまで共感した曲は存在しないといえるほど共感しました。
この曲は夏への思いが綴られていますね。
皆さん夏と言われてどんなイメージがありますか?
夏といえば灼くる青空、燦然と光る太陽、果てしなく続く入道雲、蝉時雨、水天一碧の青い海、揺れる陽炎、誰もいない田圃から眺める赤い夕日etc
様々な景色が思い浮かびますが実際にその記憶は存在しますか?
肥大化した夏への幻想は現実との夏とのギャップを生み出しています。
MVの娘もそのギャップに苦しんでいますね。
人とはありもしない田舎のエモい景色の記憶に思いを馳せ、ノスタルジーを感じる生き物なんです。
それを的確に表現したのがこの曲です。
\エモさで人は死ぬのだな/
ポップなMVに時々挟まれる夏の景色が美しいですね。特に青空をバックにアオリ構図で描かれた送電塔は夏独特の郷愁さを感じます。
ということで是非MVを見ながら聴いてみてくださいね!
12.アーライピー|R.I.P/youまん
12曲目はyouまんさんのアーライピーですね。
激しいドラムに美しすぎるシンセが特徴的で最後の転調は鳥肌が立ちました。
タイトルに描かれているR.I.Pというのは亡くなった人の魂の永遠の安らかな眠りと平安を願うために使われるラテン語のフレーズです。
YouTubeのコメント欄で考察されている通りこの曲は亡くなったwowakaさんや椎名もたさんへの哀悼歌です。
といったように歌詞の中に椎名もたさんとwowakaさんの名前が刻まれています。
『此れは名も無き一人の 取り留めの無い儘まま紡ぐ語々 似ても似つかぬ様な 貴方の哀を模した物』
という歌詞には似ても似つかぬが二人の作品に憧れ模倣してきたということが綴られていますね。
哀しみの慟哭を示す、込み上がる熱い想いが激しい曲調に溢れ出ています。
このお二人がボカロというカルチャーに多大な影響を与えたことは間違いないと思います。
wowakaさんにおいては本記事で紹介したツミキさん、椎乃味醂さん、youまんさんともに様々な形でリスペクトを示しています。
ツミキさんはwowakaさんが曲のタイトルでしりとりをしていたように曲のテーマでしりとりをしています。椎乃味醂さん、youまんさんはあなたにはなれないという曲でwowakaさんに対する思いを綴っていますね。
wowakaさんに影響を与えられた人々が今日、私たちに影響を与えようといます。こうして文化は紡がれていくのだと思います。
ボカロという文化が今後どんな成長を果たしていくのか。楽しみに今日を生きています。
13.ただいま、貴方/一二三
13曲目は一二三さんのただいま、貴方です。
同じ一二三さんのホログラムにするかどうか迷いましたが受験期によく聴いていたのはこっちの方でしたのでこの曲を選びました。
和風ロックな曲調が特徴的で癖になる調整です。
初めて聴いたとき、同じ可不か?と疑うほど洗練された調声技術です。
私が音楽で初めて涙を流したのもこの曲ですね。
自然と込み上げて気づけばぼろぼろと流していました。約三分半の物語でここまで心を衝き動かされるとは思いもしませんでした。
歌詞から推察するにこの曲は死別した男女の話です。そして今も尚、私は霊になって心配な彼を見守っている。貴方には私を忘れて前を向いて生きて欲しいのに忘れないでと願う私がいる。
貴方の元へ行ったって声は届かないし、視線も合わないし、手も握れない。それでも見守り続ける。
切ないですね。死んでしまった私の時は止まったまま、貴方だけが前へ進んでいきます。
相反する感情の葛藤、悲しい思いなんて消えてしまえばどれほど楽だったことかと哀傷している。
貴方はまだ私を忘れず泣いていた。でもその涙は拭えない。声も届かない。美しいプラトニックなラヴに儚い畢生。最高の一曲でした。
という訳で
1.ニビイロドロウレ
2.ダストトレイル
3.君と僕のファインドニューエイジ
4.アイソトープ
5.フェイタルエゴ
6.ニル/Tama
7.ハクチウム/ブブゼラ
8.凡愚/のすけ
9.ビビビビ/フロクロ
10.死んでしまったんだ/椎乃味醂
11.感傷マゾヒスト/cosMo@暴走p
12.アーライピー |R.I.P/youまん
13.ただいま、貴方/一二三
の13曲でした。
他にも語りたい曲が大量にあるのですが私の時間的にも体力的にも限界でしたので今回はこのぐらいにしておきます。
ここまで読んで下さった皆様、本当にありがとうございました。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?