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ゆっくり実況は多分オワコンである。

結論:
・ゆっくり実況はオワコン化している。
・トレンドの推移、YouTubeのポリシー、再生回数の推移、いずれの視点から見ても厳しい
・ゆっくり解説はゆっくり実況の人気度を上昇させていない

ゆっくり実況は多分オワコンである。

 ゆっくり実況は、2010年代半ばに一大ブームを巻き起こし、YouTubeにおける一大ジャンルとして確固たる地位を築いた。しかし、近年その人気は陰りを見せている。
 Google Trendsのデータ、YouTubeのポリシー、再生回数の推移などの視点から検証を行い、ゆっくり実況がオワコンであるかどうかを確認する。
 結論から述べると、「ゆっくり実況は多分オワコン」である。

論拠1:トレンドの推移 - ゆっくり実況、ゆっくり解説、東方三者の衰退

 Google Trendsのデータによると、ゆっくり実況の人気は2016年3月をピークに下降線を辿り、2024年7月現在では全盛期の10分の1程度にまで落ち込んでいる。これは、ゆっくり実況が新たな視聴者を獲得できていないことを示唆している。

Google Trends ゆっくり実況の人気度の動向

 同じく、ゆっくり解説もまた、その規模が縮小傾向にあると考えてよい。
 ゆっくり解説は2022年の4月に盛り上がりを見せたが、その後はゆっくり実況の下落とともに人気度の数字が下降しており、ゆっくり解説はゆっくり実況に準じて上限が決まるものと考えてよい。

Google Trends ゆっくり実況とゆっくり解説を比較した人気度の動向

 さらに、ゆっくり実況のベースとなっている東方Projectの人気も低下傾向にある。
 東方Projectは、2010年1月に検索キーワードとしてのピークを迎えて以降、人気が右肩下がりとなっている。東方Projectの人気低迷は、二次創作文化に起源を持つゆっくり実況の人気に間接的な影響を与えていると考えられる。

Google Trends ゆっくり実況とゆっくり解説と東方を比較した人気度の動向

論拠2:YouTubeのポリシー - 国境なき収益化停止の嵐

 YouTubeは近年、あらゆる動画に対するポリシーを厳格化しており、多くのYouTuberが収益化停止の憂き目に遭っている。
 中には、人気チャンネルが収益化停止によって活動を縮小せざるを得なくなったケースもあり、その波紋がゆっくり実況界隈にも大きな打撃を与えていると考えられる。

 旧YouTube CEOのスーザン・ウォジスキ氏は、収益化停止に積極的な姿勢で知られ、「ディマネタイゼーションの女神」という不名誉なあだ名まで付けられている。

Godmodes Wiki内でのSusan Wojcicki氏の記事

 彼女の強硬な政策は、世界中のYouTuberから批判を浴び、Redditなどのコミュニティでは不満の声が噴出していた。YouTube demonetization redditの検索結果トップ記事では、これに対するリプライが350件を超えている。

YouTube demonetization redditの検索結果

 後継となったニール・モーハン氏に関しても、その姿勢はスーザン・ウォジスキ氏をなぞる形になっているため、この状況は変化しないものと考えられる。

Reddit内でのニール・モーハン氏に対する言及

考察:再生回数の推移 - アルゴリズムと再生回数のカラクリ、ゆっくり実況界隈の閉鎖性

 ゆっくり実況の再生回数ランキングを見ると、上位を占めるのは古い動画が多いが、しかし近年にも再生回数トップの更新がある。一見すると、ゆっくり実況は衰退していないようにも見える。

YouTubeにおけるゆっくり実況の検索結果を再生回数順にソートしたもの

しかし、これはYouTubeのアルゴリズムが関係しているのではないかと考えられる。
 YouTubeのアルゴリズムは、視聴者の視聴履歴や検索履歴に基づいて、ホーム画面や関連動画に動画を表示し、おすすめする仕組みになっている。
 つまり、もともとゆっくり実況を視聴する視聴者層に関しては、その再生履歴や検索履歴によって、検索をすることなく、ゆっくり実況がホーム画面や関連動画などに表示される。
 しかし、これはゆっくり実況を視聴しないユーザーに対してゆっくり実況がおすすめされ難いということでもある。

 つまり、現状のゆっくり実況市場は、同じ視聴者が何度も繰り返して動画を見るような形になっていて、かつ界隈の外、ゆっくり実況を視聴しない層の新規視聴者を獲得できていない。
 しかし根強いゆっくり実況のファンに繰り返し見られるようなコンテンツ、まさに垂れ流しが可能な総集編コンテンツ、ゆっくり実況総集編コンテンツが人気を博しているために、再生数の更新が起きているのではないかというのがこれに関する考察である。

 新規ユーザーがゆっくり実況動画に触れる機会は減っており、ゆっくり実況界隈は閉鎖的なコミュニティになりつつあるのではないかと考えられる。
 これは、ゆっくり実況が新たなファン層を獲得できていないことを意味しており、長期的な衰退につながる。

結論:ゆっくり実況はオワコンなのか?

 以上のことから、ゆっくり実況はオワコン化している。トレンドの推移、YouTubeのポリシー、再生回数の推移、いずれの視点から見ても、ゆっくり実況が厳しい状況に置かれていることは明らかである。

 ただし、過去の経営学の事例(問屋無用論)のように、確実な予測が外れることもある。したがって、現時点では「ゆっくり実況は"多分"オワコン」という結論に至る。

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