読書記録R6-76『月夜の森の梟』

小池真理子著
朝日新聞出版2021年11月第一刷

初出
朝日新聞2020年6月6日から2021年6月19日まで連載された。
「連載を終えてー読み、励まされ、そして泣いた」は6月26日、「最後まで、語り続けた彼 夫・藤田宣永の死によせて」は2020年2月19日掲載。

小池真理子
1952年東京生まれ。成蹊大学文学部卒業。78年、エッセイ集『知的悪女のすすめ』で作家デビュー。96年『恋』で直木賞受賞。他受賞作品多数。

朝日新聞に1年間掲載されたのなら読まれた方もいらっしゃるだろう。
私は読んでなかった。

同じ直木賞受賞作家の夫、藤田宣永氏を亡くされた心の痛みや寂しさ、亡くなる前後の様子を執筆されたもの。

藤田宣永氏は1950年生まれ。
肺がんの再発が見つかり、2020年1月30日に亡くなった。
37年の夫婦生活だった。
亡くなってからまだ日が浅い時期から作家である妻は亡き夫について掲載を始めたのか。それも辛かっただろう。

悲しく、虚しく、辛い心情を余すことなく綴った。鳥や小さな動物が現れ、森に住むという環境がなおさら亡き人を偲ぶにふさわしい。

さすが、作家さん!
これ以上ない愛を亡き伴侶に捧げている。いくら言葉を尽くしても悲しみは尽きることのない泉の如く流れ続ける。

だが、その没後1年を過ぎたあたりからややトーンに変化を感じた。(あくまでも私感)
悲しみが薄れたのではなく、悲しみに慣れてきたのか?やや落ち着いてきた。
猫が支えになっているんだな…と思った。

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