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#日記 今日のおやつと読書記録R6-61『成瀬は天下を取りに行く』

昨日、パン売場で何かおやつにいいものないかな〜と見ていたらこんなのを見つけた。

はじめまして

たまごぱん!いつも食べる粒あんぱん薄皮のシリーズにこんなのあるんだ!
食べたら、フワフワで、茹で玉子がちゃんと入っている。北海道あずきのバターどら焼きも食べる。こちらもフワフワ。歯がいらない?

たまごぱんの賞味期限が15日。
5月15日といえば葵祭だ。
平安時代、祭といえば加茂祭。今に伝わる葵祭だ。
もうそんな時期か。5月も半分過ぎた。
今日は晴天だから路頭の儀もつつがなく行なわれたことだろう。

畑からグリーンピースが帰って来た。葵祭は置いといて…TVを見ながら夫と豆🫛の鞘を剥く。塩ゆでにして、夕飯のツマミにしよう。

他に読みかけの本があるが、先日母の日にプレゼントして貰った本『成瀬は天下を取りにいく』が気になる。
ちょっとだけ…と読みかけたらもういけない。さすが本屋大賞受賞作品。

『成瀬は天下を取りにいく』

宮島未奈著
新潮社2024年4月14刷(2023年3月発行)

宮島未奈
1983年静岡県富士市生まれ。滋賀県大津市在住。京都大学文学部卒。2018年「二位の君」で第196回コバルト短編小説新人賞を受賞。2021年「ありがとう西武大津店」で第20回「女による女のためのRー18文学賞」大賞、読者賞、友近賞をトリプル受賞。同作を含む本書がデビュー作。

ありがとう西武大津店
膳所からきました
階段は走らない
線がつながる
レッツゴーミシガン
ときめき江州音頭

この物語の主人公は成瀬あかり。
中学二年生。自分の生きたいように溌剌と生きる。
勉強だけでなく何でもできる万能女子。誰にも遠慮なく堂々と生きる。二百歳まで生きるなど様々な宣言をする。高校三年生までが描かれる。

成瀬あかりの話言葉が変わっている。
余計なことは言わない。ややぶっきらぼう。

成瀬に巻き込まれ西武大津店の閉店を見守る幼馴染は同窓生の島崎みゆき。成瀬と同じマンションに暮らす。この物語の最初の話者だ。成瀬に誘われてM-1に出る。

漫才コンビ名は「ゼゼカラ」。
二人で漫才のネタを考える。
アイデアをノートに書いていく。
主要テーマ、話の展開、オチ、ボケとツッコミの適性、明快なセリフ、どうしたらウケるか…
細かい見直しと修正。アドリブも飛び出す。
小説を書く作業にも通じているのではないかと思いながら読む。

この小説の登場人物は多彩で物語上でも入れ代わり立ち代わり成瀬あかりという個性的な女の子を描写してくる。

西武大津店の閉店とTV中継、M-1出場だけではない。
社会人になったときめき小学校(当時の名前は馬場小学校)の卒業生たちのエピソード。
高校生になった成瀬あかりの東京大学のオープンキャンパス見学。
小学五年生たちが乗る学習船「うみのこ」。
全国から選手が集まる百人一首大会。ミシガン遊覧船。
話は複雑に膨らむ。

しかし、唯一の理解者かと思われた島崎みゆきは別の高校へと進学している!
成瀬は高校生になり、頭を丸坊主にして登校する。卒業まで髪を伸ばし、何センチ伸びるかを測るという。

成瀬あかりが進学した膳所高校では新たな話者として、同じ中学から進学した女子、大貫かえでが登場する。
(なぜか彼女たちの名前はひらがな)

物語の最後近く、島崎が親の仕事の都合で東京へ転居する話になる。大学も関東で受験するという。
あれ?東京に行くのは成瀬じゃないのか?ボケとツッコミが反転したように二人の進路が入れ替わる?

成瀬は勉強が手につかなくなった。
そして島崎の存在の大きさ、支えてくれた友人の大切さを改めて知る。

夏祭りの日にもう一度二人は漫才をする。
漫才コンビ「ゼゼカラ」は解散か?

ツカミのように「膳所からきました」でなく「膳所から世界へ」となるのか?

彼らはどんな人生を歩もうとするのだろう?
上級の学校へ行くに従って目立たない人、二十歳過ぎればただの人や井の中の蛙にはなって欲しくない。
ここまでも十分成長譚だが、続編が気になるところだ。

私は大津市民になって30年以上。
西武大津店はもちろん知っているが、それほど深い思い出はないと思っていた。が、読んでいて思い出した。
大津市に引っ越してきて大津市にある唯一のデパートに行った。
それは西武大津店。
大丸も高島屋もない。これからはここで買い物するんだと思った。(実際は京都に伊勢丹もできたし、相変わらず四条にも行ったが)。
掛け時計2台、クッション、来客用スリッパなど新生活を始めるのに足りない物を買ったじゃないか。
古くからの住人ほどの愛着はないが、ちゃんと思い出があった。

琵琶湖遊覧船ミシガンにも何度か家族で乗った。今は亡き母や叔父の笑顔が浮かぶ。

物語中の「ときめき坂」を公募で名付けたのは友人Yさんの親戚の人。
なんとロマンチックな名前だろう。

そして、私たちの住む駅前広場でも毎年夏には盆踊りがあり、何時間も江州音頭を踊った。

この本をリクエストして良かった。そして手元にはまだ続編がある。
自然にニヤニヤしてくる。
でも、もう少しゆっくり楽しもう。

しかし、全国の読者は大津市民ほどこの作品を楽しめるのだろうか?
すっかり?大津市民になってしまった私には、もはや分からない。

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