読書記録R6-62『最後のひと』

山本夏彦著
文藝春秋1990年10月第一刷

初出
原題「流れる」 
「諸君!」昭和63年8月号〜平成元年11月号

靴下だけはいてあとまる裸
露伴一族はえらい人ばかり
流行はすべて梨園から出た
親不幸を売物にする時代
あたりを払う威厳があった
何やらただならない人ごえ
なあんだもとは高利貸
悪魔!と何度も罵っている
苦界じゃえ許しゃんせ
運転手曰くOLに処女なし
色白く丈高き女子なりき
そだてられた大恩がある
美食家というよりうるさ型
作者茉莉と作者鴎外は別人
デコルテほど浅ましきはなし
話は「『いき』の構造」で終る
 おわりに

もくじだけ読んでいくと何だか面白そう…
しかし、正直、何も面白くない。
知らない人の知らない著書やまたまた知らない交遊録。誰と誰がどんな関係か全くごちゃごちゃ。地理的なことが分からない。政財界、花街、梨園のことも分からない。ましてその配偶者?
そこを我慢して読んでいく。

すると、全270ページの半分くらいでようやく馴染んできた。登場人物の名前が何度もでてくる。
そして、幸田露伴や文、森鴎外や茉莉の名前にちょっとホッとする。
すると不思議なことに、書いてあることがグンと近づく。理解できる。もっと先を読みたいと思う。
どうなっているんだろう?

おわりにでは次のように書かれている。
「この物語は九鬼周造の『「いき」の構造』に始まる。いきは花柳界に生まれ、花柳界と共に滅んだ。(以下略)」

残念ながら、その作家も知らない。

山本夏彦氏の名前は聞いた気がする。そもそもこの本は閉架から出してもらった30年以上前の発行。
noteの中で教えて頂いた。
(ありがとうございます)

毎日手にとり、少しずつ読む。
その前に必ず著者名を見る。
馴染んで当然か…。

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