読書記録R6-86『豊臣家の人々』
司馬遼太郎著
角川文庫昭和62年11月34版
(昭和46年5月初版)
図書館の閉架から出して貰った。
本の紙は茶色く変色している。
久しぶりに読む司馬遼太郎作品。
TV「あの本読みました?」で紹介されていた内の1冊。
「豊臣秀吉の周辺の人々を描くことにより、秀吉という人物とその時代と政権に迫ろうという作品」という紹介があったと思う。
周辺の人々とは次のとおり
第一話 殺生関白
秀吉の姉夫婦の子、三好孫七郎秀次、後の関白秀次。鶴松の死後関白になり、秀頼の誕生により秀吉から死を賜る。
第二話 金吾中納言
秀吉の妻、北ノ政所の生家、杉原(木下)家の男子秀秋。天正五年に生まれた。その直後に秀吉は寧々の言に従って養子に迎えた。天正十三年秀吉は関白になり、秀秋は、従四位下右衛門督に。この官を唐名で金吾将軍という。十六歳の時、権中納言に登る。
黒田如水の進言により、毛利家のひとつ、小早川家の隆景が養子縁組引受た。秀吉の死後、関ヶ原の戦いで家康から鉄砲隊の催促を受け、味方(西方)の陣地に殺到。戦勢は逆転した。
第三話 宇喜多秀家
秀吉が養父。
宇喜多家は秀家の父直家の時代に没落し、織田家の配下に入り、その子、八郎は八歳で人質として姫路の秀吉の元に送られた。秀吉から一字を貰い、秀家と名付けられた。 秀吉は病没した直家の死を伏せ、艶麗たぐいなしと言われたその母於ふくと自分の想いを遂げた。
第四話 北ノ政所
寧々ともおねとも。秀吉の糟糠の妻。
病かというほどの女好きの秀吉から別格の別と扱われた。
秀吉没後、家康は北ノ政所に接近した。
第五話 大和大納言
秀吉の異父弟。
大変有能。秀吉の身内で唯一優れた人物。彼の病死により、豊臣家の運命も変わってゆく。
第六話 駿河御前
秀吉の異父妹。
夫がいたにも関わらず、秀吉によって離縁させられ、家康に嫁がされる。
第七話 結城秀康
家康の息子の一人。長男信康が織田信長の命により死を賜った後、年齢からすれば彼が跡目だが、弟秀忠にその座は継がれ、後、秀吉の養子となる。
第八話 八条宮
貴種に憧れた秀吉の願望により、次期天皇の弟という立場で、皇位継承第三位ながら、秀吉の養子になる。
晩年、桂離宮を作った。
第九話 淀殿・その子
織田信長の姪にして、秀吉憧れのお市と浅井長政の娘茶々。三姉妹の長女。
秀頼の母。
秀頼は秀吉の晩年の息子。
豊臣家を継続できず、大阪夏の陣で母とともに火炎の中に滅んだ。
解説 江藤文夫
様々な人物を様々な角度から描写することにより、秀吉という男が鮮やかに立ち上がるという手法の作品。
ここに描かれた人物の背景や周辺にいる大名クラスの武士、家臣団やお家の事情、三河武士と近江から従う家臣達の気概や思惑の違いなど…克明に描き出す。
その場にいたのか?その心理まで!と思わせる筆致。
重層的な人間関係が面白いほど浮かんでくる。
司馬遼太郎の手腕に改めてため息。
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