デジタル化は地方分権を加速するのか
先日の日経新聞に「デジタル時代の地方分権を」という論説が掲載されていた。この論説の中では、これまでの地方分権に関わる議論の経緯を踏まえた上で、今般の政府によるデジタル庁設置の動静などを踏まえ、こうした動きがこれからの地方分権にもポジティブに働くだろうという論調だった。この中では、
デジタル化は地方分権を深化させる手段になる
オンライン化やプッシュ型支援の進展は行政との接点を増やし、住民参加を促す
デジタル化で住民参加や政策の水準が上がれば、住民自治が根付き、分権の質が高まる
といった点が指摘されていた。
大きな意味で私もこうした意見には賛成なのだが、一方で果たしてそんなにうまくいくのだろうか、という思いもある。
私は、住民自治というのは、デジタル化の有無に関わらず、地域住民がどのように自分達の住んでいる地域を捉え、そしてその地域をどうしていこうかという意思や価値観の現れれだと考えている。
そして、鳥取県でこれまで住民自治に関わる仕事をしてきた経験から、住民自治はそう簡単には根付かないし、育たないということも感じている。
そもそも元々日本には住民自治が根付いていたのだが、それが近年の社会動態変化によって崩壊の危機に瀕しているというのが実情であって、そのスピードを遅らせることの方がより重要ともいえるだろう。
デジタル化は、住民が行政情報にアクセスしやすくなったりする面で、多少の利便性をもたらしはすると思うが、本質的な意味で住民自治が進み、そしてそれが地方分権にも繋がっていくためには、まず公共や政治についての住民側の理解を高めること、そのための教育のあり方を検討していくことから始める必要があると考える。
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