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【ライブレポ】ヒグチアイ 独演会〔反応〕TOKYO FMホール

みんな、今日はよく来たねえ…ようこそ独演会へ!
ということで。手拍子お願いします!
「自販機の恋」で始まったヒグチアイ独演会「反応」。
恋の始まりのドキドキ感を軽やかに楽しげに歌うヒグチに、こちらの手拍子もリズムにのって軽やかさが増す。

そして、みんなが手拍子しちゃうと多すぎるから、2/3くらいがちょうどよくて。隣の人が手拍子してたら自分はしないくらいの感じで空気を読んで…と、いきなりのヒグチ節に思わず笑ってしまったけれど、そこはさすがのヒグチ民。いい感じの音量?の手拍子のリードで、2曲めの「バスタオル」をヒグチが歌い上げる。
好きな曲がいきなり2曲めにきて、しかもろしかして私、ライブで聴くの、初めてじゃないか…ひっそりひとりで「わあ。。」と感激。この曲、恋愛に揺れ動く不安な心の内をバスタオルになぞらえていて、それを持っていると安心出来て、ヨレヨレになったタオルをずっと手放せないでいるけれど、いつかそれがなくても大丈夫になる日がきた在りし日の心情に似ているな、なんて思ったり。
ヒグチアイの表現力はすごい、と常々思っているのだが、本当にそう思わせてくれる1曲なのだ。

そこからマーブリングの映像とともに新曲が続く。

様々な色が混ざり合い、また違う色が生まれ、形も流動的に変わっていく様子は幻想的で、ヒグチアイの奏でる音、歌声がいつも以上にすうっと全身に浸透していくような感覚がした。

去年、今年とたくさん人にも曲を提供した。
その人たちは、人生を自分に背負わせてくれた。だから私は命をかけてその人たちのための曲を書いた。
と、1部では香取慎吾さんに提供した「ひとりきりのふたり」を2部ではのんに提供した「荒野に立つ」をカバー。
どちらも、ヒグチが歌えば、まさしく彼女の曲。「ひとりきりのふたり」は優しく寄り添うように、「荒野に立つ」は静かに力強く歌う彼女の世界に引き込まれていく。

生きるために歌うんじゃなくて、生きている中に歌があるような、そんなふうに生きていきたい。ここにいる皆も、何かそういうものを見つけて、生きていけるようになればいいと願っている。
そんなことをぽつぽつと語るヒグチ。

いつもは「会えなくても元気でいて」というけれど、「また皆に会いたい」そんな思いを込めて。ライブ本編のラストは「いってらっしゃい」。

こんな風に「また会いたい」と彼女が言ったことがあっただろうか。
私たちはいつでもここにいるし、会いに行くよという思いでいっぱいになりながら、この曲を聴いた。

深々と頭を下げて、にこやかに彼女がステージを去ると、すぐさまアンコールの拍手が鳴り響く。

いつものようにさっと再びステージに登場した彼女は、一通り告知を終えると、こう語りだした。
2022年は「悪魔の子」が急に世間に広まり、身の丈にあっていないような感覚があってずっとふわふわしていた。
それが今、ちゃんと足の裏が地についているという実感がある。

新しいアルバムの1曲めに入る「大航海」を歌い終え、ふふっと笑みを浮かべるヒグチ。楽しかったー!私は楽しかったよ!と充実した表情を見せ、深々と何度も頭を下げる彼女。

何があっても何をしてもすすんで行くよ、と迷いのないその表情に、頼もしさを感じつつ、ヒグチアイに出会えた幸せをまた更に噛みしめた今回のライブだった。

=追記=
アルバムに入る新曲2曲も聴けた。
どちらも素敵な曲だった。
そして「大航海」がアルバムの1曲めなんだ、となんだか嬉しくなった。
アルバムの発売日が待ち遠しい。


自販機の恋
バスタオル
恋の色
最後にひとつ(新曲)
誰でもない街
ひとりきりのふたり/荒野に立つ
まっすぐ
備忘録
悪魔の子
いってらっしゃい
en.
大航海(新曲)


ヒグチアイ 独演会 [反応]
2023/12/10(日)TOKYO FMホール

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