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効率を求めると非効率的になる

春先に【新生活応援フェア!】とかやってると、覗きに行くのがだいすきです。が、新しい生活に切り替わる気配は全くありません。白物家電を見てみると、オーブントースターに目玉焼きが焼けるくらいのプレートとコーヒーメーカーがひとつになった代物。電源ひとつで一気に朝食完成!。便利な世の中になりました。

で、そのトースターで焼けるサイズのものと、小さなホットプレートで調理できる卵料理以外の料理を考えるかと言えば、それは別の話。便利になって、空いた時間でできる他の事を考える人と、スタート準備が短縮できるから、あと10分寝ていられると考える人とでは、どちらが多いであろうか。

ネットに溢れる介護の仕事の誤解で、非常に多いのが、「介護の仕事は体力勝負」と言う言葉。筋肉と根性だけで挑戦して、思うように結果を出せずに去っていく人たちが吐き捨てる言葉ですねぇ。

「辛い思いをしたのに報われなかった」という発信は、判官贔屓の第三者や、人を指差して憐れんだり嘲笑したりする事で生計を立てるマスコミの御馳走です。まぁ現任の介護職員からも、そんな言葉が発せられることも多いですが、よく見てみれば、自分が基本も原理も理解できていない事自体に気づいていない人が殆どなので、巷に溢れる「介護はキツい」という情報が消えることは無いのかな。あぁ悲しや。

さて、介護の仕事のなにが大変でしょう?。。。と、マトモに介護できている人が発する悩みの殆どが【記録整備】。利用者の心身ともに健全な生活を支援できているかという確認のための記録。

健康状態(体温や血圧その他)が安定しているか。下痢や便秘になっていないか。清潔が保たれているか。きちんと食事できているか。気分が減退していないか。笑顔になれる生活ができているか。

その時その時の状況を記録に残し、継続した生活のなかに、ブレーキをかけている部分は無いかを探し、解決に導くための記録が重要です。

で、利用者に声をかけ、気持ちの支援をしたり、活動の手伝いをしたり、トイレに誘ったり食事の準備をしたりの対人援助の中で、残された時間の中で記録を整備するってのが難しく、所定の業務が終わってから記録物に向かい、作文に追われてどんどん時間が過ぎていく。介護職員いわく、

「記録整備に忙殺されて毎日サービス残業を強いられてます!」

ここで問題です。何処に問題があるでしょう。

答え【いろいろ間違ってる】

その1。記録整備も所定の業務なので、退勤時刻があるならば、それまでに済ませるのが雇用契約。残業と言うのは、会社が従業員に対して就業時刻後に業務を依頼するもので、仕事が終わらないという理由で残業代が発生すると言うことはありません。介護業務の中で、利用者の移動を手伝ったり、使用した湯呑みを洗ったりという、全神経を注ぎ込まなくてもこなすことができる業務があって、その時に整備しなければいけない記録物に書く文章を大まかにまとめておくという、【落ち着いて仕事する】事ができない人が、残業代を貰えたら、段取りを組んで、効率よく仕事をするという、時間の無駄を作らない努力をする人が、やる気を失ってしまいます。

その2。効率的に進めようと、PCの前で休憩と記録整備をまとめてこなそうとする人が、業務の停滞を招きます。記録の前にコーヒーをいれ、せんべいクッキーをポケットに突っ込み、PCの前に座って一寸ひといき。「さぁなんという文章から書き始めようか」と、思案する。業務と休憩を一緒にすることで、体も頭も休まらないし、文章を考えようとしても頭が一寸ひといきついているから思考が前に進まない。PCを独占して事業所全体の業務を停めているだけです。むしろ迷惑。

10年ほど前から【座ってPCに向かうのは非効率】と叫ばれています。いつでもひといきつける体勢を取ることで、思考の停滞を招くんですって。

簡単な作業をしながら大まかにPC作業の内容を頭の中でまとめ、PCに向かって手早く処理し、さっさと済ませて休憩に入る。早く休憩したいという願望も手伝うし、お茶もせんべいも無いから終わったらさっさと離れる。これが効率的。

介護現場でスタッフひとりに1台PCが与えられるという事はまず無いでしょうから、記録が大変だと声が上がってくる事業所の責任者は、人員配置よりも、事業所の環境整備を考えた方が良いのではないでしょうかね?

で、【立ったままPC?】と疑問に思われるかも知れませんが、

今や知らない方が恥ずかしい。【身長に合わせてデスクの高さを調整できるPCデスク】というものが多数あります。

福祉業界であれば、座ってPCに向かう姿勢が、肩こり、円背、ストレートネックを引き起こす要因になりやすいのは知ってなければダメです。

ストレートネックが使えない部下や関係機関のせいで引き起こされたストレスだと騒ぐ、【自称できる人】も多数居ますが、アレ、医療業界では、日頃の不平不満を陰口や嘲笑で発散する【スマホ病】と言われていることも知っておいた方が、後で恥を書かずに住むかも知れません。

安いものなら数千円で購入できます。まずは、今の状態がどれだけ無駄を産んでいるのか考えてみませんか?

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