小倉芝1200枠note

小倉芝1200mの枠データを徹底分析

夏の小倉競馬の開催が迫る中で、枠順傾向を因果関係にこだわって分析します。

今回とりあげるのは、小倉芝1200m
小倉開催の約30%を占め、最も施工数の多い条件だからこそ、枠順のような分かりやすいファクターの傾向を把握しておくことが重要です。

というのも、種牡馬、脚質、騎手、調教師などの要素は、時代や開催時期の影響を受けやすいことや、個体の多さゆえに結論を得づらいことから、予想に生かすのは容易ではないからです。

一方で枠順はコースや馬場が変わらない限りは、物理的な要因から大きく変動することのない安定した予想ファクターです。しかもたった8つのカテゴリしかないわけなので、単純で扱いやすく予想に還元しやすい。

とやかく言わず、早速データを分析して参りましょう。

※以下で扱うデータについて
・2009年8月16日~2019年3月3日の500Rを対象
・枠ごとの頭数の差を抑えるために、16頭立て以上のレースに限定

枠順傾向をざっくり把握!

図1.画像1

基本的には平坦型のグラフ。偏りが少ないのが特徴です。
7枠と8枠の連対率が上下しており、外枠が有利か不利か判断が難しいところ。
7枠と8枠の平均人気は9.5人気と等しいことから、馬質は大差ないにもかかわらず。

これでは何も得られないですから、もう一歩掘り下げて見ていきます。

上位人気に限定してみると・・

先ほどのデータにおいて、1~3番人気の馬に限定して再度枠順成績を出します。

図2.画像2

少々見づらい点は申し訳ないのですが、馬券内率も回収率も1枠と8枠が著しく低いことが分かります。

では連対率に絞ってグラフ化してみましょう。

図3.画像3

図1のグラフとはかなり様子が違いますねぇ。

しっかりと因果関係を探らないと偶然のデータに振りまわれる危険がありますね!

まず1枠について分析!

以下のpdfファイルでは、1枠×1番人気ながら掲示板未満(6着以下)だった16頭について、レース内容と敗因分析を下しています。

表の緑の部分=出遅れが響いた
表の青の部分="無理な先行"

敗因の主なパターンはこの2つに絞られます(ただ普通に負けた馬は弱かったのでしょう笑)

前者の出遅れについては、1200m戦ですから、出遅れは命取りで、1~3番人気であっても勝率は約3%と逃げ馬の10分の1にまで落ちます。
ですから、出遅れゆえの敗因は1枠特有のものではないでしょう。

では後者の"無理な先行"はどうでしょうか。
当然、先行有利の意識は各ジョッキー持っていますが、1枠で運よく好スタートを切っても外目から被され気味に競られやすいので、それを制すにはかなり吹かしてダッシュする必要があります。

それゆえ、普段の好走パターンよりもハイペースで先行する形になり、直線力尽きるのです。ましてやスタートを切れなければ、内に包まれて窮屈になるか、押して押して力尽きるかになりがちなのです。

1枠の人気馬の不振を一言でいえば、自分のスタイルを崩す、に尽きるでしょう。

次に8枠の不振の要因を調査!

以下のpdfファイルでは、先ほどと同様に映像から主観的に、8枠の人気馬の敗因分析をしています。

pdfの表の緑の部分は、直線で外~大外を通ったパターンで、これが大きな敗因。
4コーナーで外を回った馬が外に振られて、内~中を通った馬との着差がグイんと広がって絶望した経験がきっとあるはずです!

さすがに大外枠に入ると、ジョッキーも無理に逃げようとはしない。
実際に8枠の出走馬数は全体の16.2%を占めるのに対し、8枠の逃げ馬のシェア率は9.7%と出走馬数に対して逃げ馬はかなり少ない。

それゆえに、内の馬を行かせて馬群の外々を回るハメになってしまうのです。
無理に逃げてもオーバーペースになってしまうので構造的に不利な枠であると言えます。

ここまでで1枠と8枠で人気馬が不振であることには、なかなか因果関係が読み取れそうですね。内と外で真逆ではあるものの、

・競馬の選択肢が限られる
・どうしたって不利が生じる


という事情から人気馬であっても本来のパフォーマンスを発揮できないのです。

さぁこんなところで終わるわけにはいきません!人気馬が1枠と8枠に入るとシンドイことはよ~く分かった。じゃあ人気薄はどうなんだ?となりますね。

人気薄に限定してみよう!

図4.画像4

図3の人気馬のグラフと比較すると、8枠は同様に悪いのは納得できるとして、1枠が頭ひとつ抜けているではないか!

さて困りました。1枠は人気馬では不利で、人気薄では有利なのか?と

例によって映像を分析してみました!

pdfの緑色のセル部分が、直線までは最内コースを追走した馬たちです。
それ以外は逃げ馬ですから、要するに直線を向くまではすべての馬が最内を通っています。(まぁ1枠だから当たり前?)

・差し馬 - 直線までは最内で追走で、直線は先行する2,3頭の外を回して差すパターン

・逃げ馬 - 競られることなくスムースに逃げきるパターン

この2パターンが勝因ですが、1枠の人気馬の凡走パターンと比較すると、とにかく前半の負荷が少ないことが際立ちます。(差し馬といっても10番手以内には収まっていることからも)

つまり前半さえスムースに運べれば、1番ロスの少ない競馬ができるために、1枠から穴馬が出やすいのです。

ですから1枠の取捨としては、出足の速いタイプか否かがポイント。

結局のところ、1枠は人気馬には厳しく、人気薄にはワンチャンスある枠ってことになります。

これはジョッキーの心理が大いに働いているはずです。
人気馬なら前に馬が少ないキレイな状態で直線を迎えたいからこそ、前々でできるだけ運びたい。

一方で人気薄なら詰まるのを覚悟で最内でじっとして、直線空いたところを抜けてこればいいというスタンスでしょう。

このジョッキー心理の差が人気馬と人気薄での反比例するような傾向が見られたのだと思います。

結論

・8枠だけ人気を問わずに不利

・1枠は人気馬を疑い、人気薄に注目

・それ以外の枠はフラット

長々と述べて参りましたが、それは数字の羅列であるデータをただ見ているだけでは、安易な結論に飛びついてしまうことへの警戒心ゆえです。

データの溢れる時代ですが、因果関係に基づくか否かは個人の判断にゆだねられております。

映像とデータのすり合わせ、主観的な仮説など、データの時代だからこそ個人の"視る目"が重要な価値を持ちます。

ここで紹介したデータそのものの活用、データを因果関係でひもづける楽しさなど、様々な形で噛み砕いていただければ幸いです。

今後も枠順に限らず、競馬のデータを因果関係でつなぐ記事を書いていく予定なのでリアクションがるとうれしいです。 

よき競馬データライフを!

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