音楽イベントをやるにあたっての文脈や必然性とその一過性(それと #でんこおめでとう に感謝)
ではまずは、ふじたウミウシさんのこのツイートから。
「立ち会った」とのお言葉、ほんとうにありがたいです。
しかし、ここで悩みが二つ湧きます。良い機会ですし、書きとめておこうと思います。
ひとつは、
ライブというものはその場限りだけだからこそ輝くものだということ。
せっかくいつでも再生できる映像ファイルがあるのだから、見逃した人にも見てもらたい。けれども、流れを汲まない安易な再演をしていくと、その場限りというプレミアムな感動を曇らせていくことになる(、と、特に私はそう考えている)ということ。
ふたつ目は、
良かったと言われるとすごいうれしいのに、期待値も上がる気がして、また次に作るにあたってはそれが私自身にハードルになってしまう、ということです。
5月の幸甚亭で公開イベントでのDJデビューをしてこのかた、7回ほどDJやりました。毎回思うのですが、これまでの私自身のプレイが凄すぎて、越えられる気がしていません。。。がっかりされたくない。とはいっても刺さる曲かつjasracもいけるネタがもう底を尽き、ひと塊の組み合わせを見つけることもできない。ツラい状況です。。でも、感想も貰え無いと生きてけません。。「良かった」とたくさんツイートされてうれしいですがさらにもっと欲しいのです。。
なぜ毎回違うものを産み出さなければならないか、についてはひとつ目の悩みに戻ります。このひとつ目の悩みについて、もう少し書いていきます。
ライブの意義
音楽を楽しむにあたり、ただ再生するのではなく、なぜライブをやるのでしょう。準備の苦労の見返りは何でしょうか。それについては、「演者同士や、演者と観客とのやりとり」が答えのひとつになります。場を共有しているお互いの存在が、偶発的にその場限りのミラクルを生み出し発火します。身体を以って空間に入っている以上、"視聴者"ではなく全員"参加者"であり、この呼称が促す立場からは逃れられません。サッカーの試合に例えると、満員のほうがスーパープレイをするファンタジスタも燃えますよね?囲碁でもまさかのスリリングな神の一手が出るかどうかは、切磋琢磨できる好敵手の存在にかかっていますし、それはある意味共同作業です。
DJでも極めるときっと、コメントに応じてその場でmixできるのでしょう。豊富な曲の引き出しから、音階やテンポやテーマが合うものを選び、パートやボリュームを切り替え、効果音やエフェクトやループを足したり。
話をDJに戻します。
場に応じるといっても、DJとしてはボタンを押すだけ。最近のDJソフトはけっこう自動で繋げてくれます。さらにわたしはボイス機能を使ったDJですらなく、観客に対して選曲や曲順を途中変更するような応答はできません。
それはステレオの広がりと安定した進行のためではあるのですが、"あらかじめ決められた"動画の再生ボタンを押すだけのDJは、「Youtubeリンクツイートするのとどう違うの?」と比較される気がします。"そのパフォーマンスをその日そのclusterイベントとして流す理由はあるのか?"と必然的に強く自問せざるをえないのです。
それで私は毎回、旬の映像を作って、なんとか「その日だからこそ」や「"今"の共有」を形づくろうとするわけです。
また、すばらしいDJ陣に囲まれる中で、私はスキルが無いため見劣りしないように必死です。つまり私なりの強みとして、曲に風景をイメージできること、編集ソフトも少し使いこなせることがあります。万華鏡みたいなイメージだけのVJと違って風景は、"その日限りのプレミアム"に結びつけやすく、これも見劣りしないために必要なのです。
さて、最初のふじたさんのツイートに戻ります。
これにつきましての結論を言いますと、「賞味期限切れの物をお客様におずおずまた差し出すなんて、なかなか難しい」、です。。
私だって、見逃した人にも「当日のとんでもなさ」を知ってほしいし、見逃した辛さを忘れたくて"じゃあいいや"と冷めてしまうのも痛いほどわかります。私も私で毎回難産なのに一回しか見てもらえないのがツラいし、なかなかYoutubeアーカイブに残せないDJライブの宿命がツラいです。。
でも、だからこそと言っては何ですが、あの日あの時あの場所だけと感じられたからこそ、疾走感やエモさが出たのではないか。そういうふうにも思っています。
そして何より、
あの日あの時あの場所に居た来場者やスタッフもまた、あの日あの時あの場所だけの、二度同じくは揃わないメンツ、つまり簡単に言えば奇跡でした。
いくつか挙げていきたいと思います。
①でんこちゃんの誕生日当日であったということ。記念日に振り返りをするのは定石ですが、"当日"初見で観た本人の反応は、その日だけの最大瞬間風速でした。肝心なところでのマシントラブルなどは起こらず、ほんとう良かったですw
②VJ動画に使ったでんこちゃんのツイートも、その日までのものを収めたものであるということ。(今となっては新しい思い出が足されていくので陳腐化していく)
③"当日"のみなさんのRUNNERでのサークルモッシュやツイートを収めた動画編集だったこと。
④それに映るネームプレートやモーションが当時のclusterシステムのものであること。
⑤ところどころ、季節を意識したロケができたこと。
⑥ロケしたワールドも上位互換がそのうち来てしまうということ。
⑦ロケした幸甚亭の看板もその当時の時点でのものだということ。
⑧直前の演者のえむさんのラストの定番曲では、私の映像で出てくるアバターで絡ませてもらいました。ミラクル!
⑨当日のぽきちゃんの立ち回りが上手すぎて映えました。衣裳を私に合わせてくれたし、ラスト曲では私が手前に出たのに合わせててブースの中心の背中を固めて盛り上げてくれました。その終盤で私が右に移動したら、合わせて左に。左右対称の立ち位置がかっこ良かった。曲が止まる時ポーズとって止まったり。モッシュダイブしてくれたり。そしてやっぱり無尽蔵のスタミナがひたすらかっこよい。。
⑩サムネもかっこよすぎたので使わせてもらいました。これもあの日ならではの"あの日だけ"らしさです。
⑪登場エフェクトやスクリーン配置・照明もかっこよいセットでした。私のコンテンツを再演するだけでは再現できない部分です。
⑫私が間違えてオンしてたボタンをニッケさんが消してくれました。同様のイベントをまたやったとしても、上手く立ち回ってくれる人がまたいるとは限りません。またニッケさんは、とある時間調整を最後してくれました!対応力!
⑬そして何より、ここまで大事に気合入った時間を、荒らしに怯えず楽しめたのは、すてきなガードマンがいたからです。
界隈の誰それや、デフォアバに対するみんなの空気感とか、知ってないとキックの判断がつかないですし、どんなのが迷惑なのか主催の考えるレベル感を汲みつつ、IDを捕まえて即行動する。それを常に見ていなければならない。簡単な仕事ではありません。注意事項や集合写真の誘導のコメントも、イベントがスムーズになり、みんなの"楽しかった"に繋がっています。
もはや、普通のアーティストのコンサートよりも、その日である必要性やその日ならではのストーリーが強すぎて、私自身が怯んでいます。
というわけで、私はこれからも毎回どうしても難産です。ですので、DJ同期のでんこちゃんがDJパフォーマンスを界隈に響かせるたびに、誇りに思うことにします。勝手に仮託します。最高に光栄です。ありがとうでんこちゃんw
あの日あの時あの場所に居たみなさんにも、感謝が尽きません。七種さんの録画をたまに見返して、勝手に泣いておりますw
今後もう無いかもしれませんが、もしまた私が「新作出来た!」とツイートしたら、その一度きりのパフォーマンスを観逃さないで欲しい、願いはそのひとつです。見に来ないと損をさせる仕上がりになったら必ずそうツイートしますので。
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