ビジネスの小窓:企画提案をしたら「理解はできるけど、つまらない企画だな」と言われた話
大企業に属する企画職の小窓から。
最近、担当製品の企画提案を行ったら冒頭のように決裁者から言い放たれました。
簡単に企画要旨を言うとこんな感じです。
担当している製品の市場規模は一定幅で年々縮小、今後大きく需要拡大する要因はないものの、確実に一定の需要は継続していく市場である。
すでに製品は成熟していて、対競合でも大きなスペック差は生じにくい環境。顧客製品満足度調査も良好な結果が出ている。
市況からみても大きな投資をすべき市場ではない。
製品自体も成熟しており、大きなモデルチェンジは必要ないと考えるのでプラットフォームは流用する。
エンハンスは、他カテゴリーの伸びている機種で施したエンハンスの水平展開にとどめる。
まとめると、商品としてはプラットフォームは前機種流用、改良部分はこの製品のために新規は取り組まず他製品からの水平展開できる部分にとどめる。
事業としては、一定の既存顧客はいて収益も良好なので投資ミニマムで事業利益の収益最大化を目指す。
一通り説明を終えてから興味なさそうに決裁者が放った一言が冒頭です。
「理解はできるけど、つまらない企画だな」「夢もない」
私としては、限られた市場のなかで先人が切り開いたものを壊さず維持していく。それも立派な企画だし、必要だし、それの仕事に携わるメンバーも成熟したスキルが必要だと思う、立派な仕事だと思います。
今、日本の大企業にいる支配層の多くは、日本が成長している時代を生きてきて成長するのが当たり前、伸ばすためにするのが事業であり企画であり、それが正義だと思っているように感じています。
一方、一度も日本が成長していることを感じたことがない私にとっては、現状維持や失わないこと、つなぎとめることも、一つの立派な戦略だと感じます。
こんなところに世代間の根本の壁を感じています。
成長が正義なので、冒頭の言葉をぶつけることになんのためらいもないのでしょう。
ただし、その成長期を終わらせ長い低迷の日本に導いたのもあなたたちが生きてきた過程である、と私のような世代は感じてしまいます。
出世のためには、提案の見せ方を変えて、変更する部分にフォーカスを当てて、伸びている部分を強調してまとめれば良いと頭ではわかっているけど、それは本質ではない、と感じる。
メンバーにはプロジェクトの趣旨を明確に伝えて、個々が判断して対応しなければいけない時に、基礎となるプロジェクトの考え方に沿って付加価値を付けて対応してもらえるように伝えることが、本当の企画のやるべきことだと思う。
生き方は人それぞれ、どっちを選択するも良いと思うけど、今の私は出世や支配層への迎合よりも、後者を選ぶ生き方をしています。そっちのほうが自分は幸せを感じる性格だとようやく気付いたから。
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