同人誌を買うきっかけになった絵師さんのツイートが無くなって2年が経ちました

 この絵師さんとの出会いは2018年の夏のことです。おそらく。夏だったことだけははっきり覚えています。

 当時(と言うか今でも推しの)好きなキャラクターの公式供給があまりにも少なくて飢えていた私。あまりの供給のなさに我慢の限界が来た私は、おそらくTwitterかpixivで推しのイラストを漁るようになりました。

 そんな時に出会ったのがタイトルに挙げた絵師さんでした。

 R18ではない、本当に健全なイラストだったのですが、一目見て心を奪われました。

 当時の私は同人誌=R18という印象を強く抱いていたため、同人誌を買うのはかなり先になると思っていました。

 そんな先入観が一瞬で吹き飛んだのが、この絵師さんのイラストでした。

 なんだこれ。かわいい。柔らかさがすごい伝わってくる。線がすごい。線がすごい?線なんて意識して見たことなかったのに。もっと見たい。欲しい。この人の同人誌が欲しい!

 そう思ったのが父方の祖父母の家に泊まってた日。

 翌日帰宅予定だったのですが、父親に「メロンブックスってところで同人誌買いたい」とわがままを言い、駐車料金の高い街中まで行ってもらいました。

 本当はweb注文にしようかと思ったのですが、通販は在庫なしという表示。地元の店舗には在庫ありと記載があったため、早くその同人誌が欲しくてお店まで行きました。

 店内をくまなく探しましたが40分ほど粘っても見つからず。ちょうどコミケシーズンだったこともあり、店内にお客さんが沢山いる状況だったのですが、レジ打ちをしていた店員さんにスマホの画面を見せて「この同人誌ありませんか?」と直接尋ねました。丁寧に調べていただいた結果、在庫なしということが判明。

 この日は何も購入せずに帰宅しました。

 この時の私は諦めるなんて選択肢はありませんでした。在庫がないのならデータだけでもいい。電子でいいから、とにかくこの人のイラストを見たい。そう思った私は、あまりにも失礼ながら、Twitterでその絵師さんに直接「電子版でも販売する予定はありませんか」とリプを送りました。

 数時間後。「電子で販売する予定はありませんが、在庫がまだあるので委託販売します」という返事があり、お礼のリプを送りながら大喜びしました。

 数日後、メロンブックスで通販が再開され、欲しかった同人誌の1冊目と最新作を注文。その他にも推しキャラを書いている絵師さんを見つけたので、合計で1万円分以上注文したのを覚えています。

 メロブの独特な梱包を開封し、中からお望みだった絵師さんの同人誌2冊を発掘。その表紙はweb上で見た時よりもさらに綺麗に感じられ、ついに出会うことができたと感動しました。

 そして1ページ1ページ時間をかけて観賞しました。

 ほかの方の同人誌も読みましたが、私の中ではこの絵師さんの絵が本当に好きなイラストでした。

 TwitterのTLを見ていると、同人誌の感想を@ユーザーID付きで書いている方が大勢いることに気付き、私もこの気持ちを伝えなければ。と思って、何とか140文字に抑えて感想を書いたのを覚えています。

 この次の同人誌は少し方向性の違うものを作成しており、最初の通販時は購入しなかったのですが、次のコミケの時にやっぱりこれも買うべきだと考え購入。もちろん素晴らしい内容で、感想リプを送りました。実は同人誌内で塗り忘れの箇所があったのですが、ポストカードサイズの完成状態のイラストを挟んで入れてくれていまして、本当に素晴らしい絵師さんだと感動したのを覚えています。

 さらにその次のコミケでは、こちらは残念ながら間に合わず、会場でペーパーでのみ配布という形を取っていました。私は北海道在住でお金もない状態だったので、もちろん行くことはできず断念。ですがTwitterで「今回は間に合いませんでしたが、次回の作品で合体バージョンを必ず出します!」と宣言し、本当に実現させ、私の手元にもその作品が届くことが出来ました。

 そして2020年1月。多数の絵師さんのコミケ申し込みツイートをRTをしながら「コミケ申し込みました!今回は間に合わなかったこの作品を完成させて出したいです!」とツイート。

 この数日後、この絵師さんからツイートが流れることはなくなりました。

 この絵師さんはあまりTwitterをすることがなく、気が向いたときに少しだけツイートをしたり、宣伝をしたりといった程度にしか活用していなかったので、最初のうちはなんとも思っていませんでした。

 ですがコミケ当落発表日。絵師さんのツイートが流れない。

 ツイート忘れかな?と思い、数週間待つもののツイートはない。

 いつだったかもコミケ直前で告知あったし、今回もそのパターンかな?そう思ってコミケの開催日まで待機。

 しかしコミケが開催されても、終わっても、多くの同人作品の通販がはじまっても、ツイートは流れてきませんでした。

 さすがにおかしい。

 メロブで通販を申し込みつつも、この絵師さんに動きはなかったのか、Twitterやpixivを確認。最新イラストの投稿はなし。webで直接名前を入力して検索をかけてもヒットなし。何も情報が出てこない。

 ショック、残念、悲しい、そういったネガティブな感情はあまり沸かず、何かが足りない、という感覚だけが長く付きまとうようになりました。


 翌年、某有名同人サイトで音声作品を探していた時、ふと見覚えのある画風のイラストを目にしました。

 あれ、なんかどこかで…そう思ってその作品を開いたところ、イラスト担当の名前にあの絵師さんの名前が。

 !!!!!!!!!!!生きていた!!!!!!!!!!!

 同人誌のこと、ツイートがなかったこと、コミケがどうなったのかなど、さまざまな疑問がすべて吹き飛び、絵師さんが生きていたことをとにかく喜びました。

 もしかしたら今後また活動再開するかもしれない!そう思い、ワクワクしながら続報を待ち続けました。

 ですが、ツイートは全く流れませんでした。

 一応ほかにも何作品かイラストを担当しており、見間違えようもないあの大好きな画風のものを見たので、生きていることは間違いない。そう思って何とかここまで来ました。

 その数か月後、今度は超有名出版社でイラストを担当している作品が発売されていることに気が付きました。

 これまでの静寂はこの商業活動に繋がっていたのかもしれない!そう思ってツイートを待ち続けました。

 けど、やっぱりツイートは流れてきませんでした。

 それが最後の知らせです。


 今改めて発売日などを確認したところ、商業でイラストを描いた本は、同人音声作品のイラストより前に出版されていた作品だと気付きました。


 もしかしたら、もうこの絵師さんの活動を知ることはないのかもしれない。ふとそう思ったので、今回noteに書きました。

 この絵師さんには色々伝えたいことがあります。

 あの夏、あなたのイラストと出会わなかったら、私は同人誌にいまだ触れることはなかったでしょう。

 あの夏、あなたのイラストと出会わなかったら、ほかの素敵な絵師さんを知ることはなかったでしょう。

 あの夏、あなたのイラストと出会わなかったら、絵の1本1本の線まで見るような変態になることはなかったでしょう。

 あの夏、あなたのイラストと出会わなかったら、私は今、生きていなかったかもしれません。

 お金も余裕も何もなく、ただただ時間が過ぎ去っていくのを実感しながら過ごす日々に耐えられなかったかもしれません。

 あなたの絵は、それを支えてくれた大きな要因の一つです。


 あなたがツイートしなくなって2年ちょっと。

 私の推しキャラは増えました。

 私の好きな作品は増えました。

 私の生きがいは増えました。

 けれどあなたの絵のツイートだけは増えませんでした。


 寂しい気持ちはもちろんあります。あなたのアカウントに通知設定を付けて毎日ツイートを待っています。絵の投稿がなくてもいいんです。ただ、あなたが生きているということを知り、安心したいだけなのです。

 けど、それも贅沢な望みだなと今は思います。

 なのでせめてこの場に。


 元気でいてください。


 もしさらに数年後にひょっこり顔を出して「生きてました…」なんてツイートをしたら、たぶん私は気持ち悪いオタク丸出しの長文リプを送り付けると思います。それはお許しください。

 もしあなたらしき絵柄のイラストと遭遇したら、名前なんて気にせず迷わずフォローします。そして確信を得たときに、もしかしてあなたですか?と聞くかもしれません。気持ち悪いですねぇ人の気持ちを考えませんねぇ。

 もし数十年後に私が死んだら、あなたの同人誌を棺の中に入れてもらって一緒に火葬してもらいます。そして私はあなたの同人誌を大事に大事に読み返します。あの世でもオタクを続ける気満々だなんて気持ち悪いですねぇ。


 というわけでまあ、こんな感じです。それだけ好きなんだってことで。


 それでは。

 さよなら、という言葉は大嫌いなので、私はこういいます。

 またどこかで。

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