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ZeppTokyoの思い出:Perfume編

ZeppTokyoが再開発のため2022年1月1日で営業を終了するとの記事。

レンタル箱のライブハウスの中では相当数のライブへ行ったであろう、日本でも最大級のライブハウス、それがZeppTokyoだ。

ZeppTokyoで見てきたアーティストは挙げたらキリがないが、一番印象的な公演はなんと言っても「ホットスタッフ・プロモーション30周年記念イベント『BLACK AND BLUE』2日目 Perfume/SPECIAL OTHERS」の2マンライブだ。

当時のライブの様子はこちら。

当時の空気を補完するとするならば、Perfumeはなんと言っても「ポリリズム」で爆発的人気を得、アルバム「GAME」のリリースツアーが終わった直後で、一般大衆認知前夜と言ったところ。当たり前だが、GAMEツアーのチケットは即日完売、幻のチケットとなっていた。

一方、対バン相手のSPECIAL OTHERS(スペシャル・アザース)はジャムバンドとしては異例のビクター第一制作室が担当・リリースし(当時SMAP等を抱えていた)、全国各地のフェスから引っ張りだこ状態の、こちらも飛ぶ鳥を落とす勢いのバンドであった。

なぜこの2組の対バンが叶ったのかというと、もともとPerfumeが好きだったSPECIAL OTHERSのメンバーが自身のラジオで曲を流していたのが始まりであり、その後、雑誌「QUICK JAPAN」巻頭でPerfume特集が組まれる際に、SPECIAL OTHERSが寄稿を頼まれ執筆。PerfumeもQUICK JAPANをきっかけにSPECIAL OTHERSを認知することとなり、彼女たちのラジオでもSPECIAL OTHERSを流しては、ジャンルの壁を超えてお互いを公共の電波で推し合う結果に。そして、なんと言っても極めつけは、ライブ制作会社が一緒で、且つ、その制作会社のホットスタッフ・プロモーションの担当者が同じだったという縁から、対バンに至ったのである。なんとも運命的な展開だ。

前述の通り、この2組の組み合わせは異例中の異例だが、必然的に組み合わされたものであり、開場前から異様な熱気に包まれていたZeppTokyo。ファンたちの興奮の息遣いがあちらこちらから聞こえてくるような、そんな空気だった。

おそらくPerfumeファンのほうが圧倒的に多いであろうフロアだったが、意外や意外、SPECIAL OTHERSからはじまったライブは、いつものSPECIAL OTHERSのライブの雰囲気だった。基本歌なしのインストゥルメンタルだが、不思議と口ずさみたくなるキャッチーなメロディが印象的なバンドである。(細かいライブレポは前述の記事を参照)

▼SPECIAL OTHERS「AIMS」

Perfumeについては、「GAME」ツアーを終えたばかりということで、「GAME」ツアーの演出を一部流用した内容ではあったが、特筆すべきところはその仕上がりきっているPerfumeのパフォーマンス。当時のPerfumeは歌とダンスとMCのみ、いわゆる大きな仕掛けや演出は一切なし。それでもこの躍動する彼女たちを見たら忘れられない。頭から足先、指先、表情まで。全部がパフォーマンスだ。

1曲目「シークレット・シークレット」のイントロで暗かった照明から、一気にステージが明るくなり、彼女たちが動き出す。

特に感動的な演出でも曲でもない。だが泣いたのだ。どこか浮世離れした曲とアー写。偶像。そこに魂が宿っているのか…?そんな感覚でいた自分を恥じた。目の前のPerfume3人は生きて、呼吸し、ダンスしている。生命そのものだった。今思えば、彼女たちのパフォーマンスのエネルギーに当てられたのだと、そう思う。

ちなみにPerfumeとの邂逅はフリーペーパーが最初である。「チョコレイト・ディスコ」をリリースした際のクラブ系フリーペーパーのインタビュー内容が印象的で覚えていた。当時活動の場をアイドル業界ではなくクラブ界隈に求めていた彼女たちは、成人し、やっとクラブで活動できると発言していた。アイドルがクラブで活動?大丈夫?と。

その後、アイマス(IDOL M@ASTER)ブームで「パーフェクトスター・パーフェクトスタイル」の創作動画にどハマりし毎日聞いていたら、CMで使われた「ポリリズム」であれよあれよと時の人たちに。

そんなこんなでやっと生で見た彼女たちは、どこまでも等身大の女の子たちであり、と思えば爆発的パワーを秘めたグループだった。

ZeppTokyoの2階下手側から見たあの光景は、一生忘れない。

そして、ライブ終演後はファンたちがゴミを拾って帰る姿。SPECIAL OTHERSのファンたちまでもがその姿に感化され行儀よくゴミを拾っていた。当時のPerfumeは本人およびファンたちの姿勢がたびたび取り上げられるほど有名で、スタッフにも他ファンにも愛される存在であり、小さなことだが、良いムーブメントが確かに起きていた。これもひとえに彼女たちの魅力であるポジティブなエネルギーの賜物である。

今では、ライゾマティクスやMIKIKO先生の素晴らしい演出の元、更に磨かれたパフォーマンスは芸術の域である。そんな彼女たちの登っていく階段の一歩をこの目で見ることができたのは、本当に素晴らしい体験だった。

ZeppTokyoはその姿を無くしてしまうが、思い出は一生わたしの心とこの記事に残るであろう。


最後に…当該ライブのM-ONで放送されたアーカイブ(違法アップロード)が以下のアカウントに残っているので…気になる人はぜひ見てほしい。※Perfumeのみ




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