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Psycho le Cému エピローグ〜語り継がれる物語〜

わたしはPsycho le Cémuが大好きだ。

ツアーがあればスケジュールが許す限り参加し、グッズが出れば当たり前のように買い込み、CDや音源が出れば聴き込む所謂普通のファンである。

そんな愛すべきPsycho le Cémuの最新ツアー、FANTASIA 幻想曲の軌跡を辿る物語の福岡公演に行ってきた。いま、まさにホテルに戻ってきてこれを書いている。

どうしてもこれを書かねばという強い思いで、ビールを片手に筆をとった。
なお、以下記憶と強めの幻覚の産物であり、事実と異なる部分があるかも知れませんが、きっと幻覚です。

今回のツアーは、過去のアルバムを一枚一枚振り返るツアーで、新横浜がインディーズ時代のアルバムDoppelganger、名古屋がメジャー一枚目FRONTIERS、大阪がBeautiful World、そして今日の福岡はエピローグ〜語り継がれる物語〜がテーマだった。
タイトルで察していただける方も多いと思うが、本日のテーマはボーカルDAISHIが覚せい剤取締法違反で逮捕され、活動休止となった際にリリースされた音源だ。

わたしはこの音源が大嫌いだ。
—いや、大嫌いだった、が正しいだろう。

当時、ほぼほぼ完成していた音源を、歌入れをし、ミックスとマスタリングを経てリリースされた本作は、正直言って、それまでの音源との差が激しく、一度聞いて以降数年間聞けなかった。あまりはっきりとは言いたくはないが、マスタリングがひどい(はっきり)。とにかく安上がりに、という意識がじりじりと感じるこんな音源、出して欲しくなどなかった。愛情の足りない音源が、どれほど惨めか。悔しくて悔しくて泣いたのを覚えている。

そんな作品がタイトルに冠されたライブ。正直言えば、あまり気の進むものでもなかった。(実は行かないつもりで別のライブのチケットを取っていた。そちらのライブは、結果知人にお譲りした。)大して聞き込んでいないのも理由のひとつかも知れない。

だが蓋を開けてみればどうだ。
今日はバンドのリーダーLidaさんがセットリストを組み、曲間の繋ぎやSEまでみっちり仕上げてきた。(ツアー全日セットリストが異なるため、正直一本のライブのためにそこまで作り込んでいると思っていなかった)
どこまでも完璧に隙なく作り込まれた世界。それは彼らの自信と不安という、両局面を現しているようだった。

MCでベースのseekさんが、当時のレコーディングの様子を声を震わせながら語ってくれた。絶対に普段感傷的にならない彼がである。
「当時は早い段階から曲作りやレコーディングをはじめていたけれど、DAISHIさんが逮捕される前からすでにDAISHIさんと他メンバー4人との間にはコミュニケーションが取れないくらい関係が悪化していました。そんな中、DAISHIさんが逮捕され、活動休止が決まって、完成間近だったアルバムだけは完成させようってことになり、『哀の雨』の歌をレコーディングしたとき、やっぱりDAISHIさんの声はいいな、合ってる曲やな、と思いました。—会いたくて、声が聞きたくて、という歌詞の通りに現実はなってしまったけれど、またこうして会えて声が聞けて僕たち幸せです。」

信頼って簡単に壊せるけれど、絆は簡単には切れない。

普段は本音をほとんど言わないLidaさんも、今回だけは真面目な口を開いてくれた。

「エピローグの副題を覚えてますか?—語り継がれる物語です。これは皆さんが、僕たちが休止していたあいだ、エピローグという音源を聞き続けてくれたおかげで、語り継がれ、いままさに続いているわけです。—本当にありがとう。」

2人のMCを経て泣いて泣いてグズグズになってしまった。
その後は涙を返上するように、激愛メリーゴーランドでダンサーボーカリストドラマーYURAサマさんの破天荒なライブパフォーマンス(勝手に他4メンバーのドリンクをファンにプレゼントしてしまったり、小道具の剣を客席後方へ投げ入れたり、DAISHIさんをフロアにおろしたり…)に爆笑の嵐で、暗い空気を一変させてくれた。

ああ、Psycho le Cému大好きだ。

どこまでいっても大真面目。どこまでいってもはちゃめちゃ。

何度だって大好きになるし、何度だってライブに行きたくなる。それがわたしの愛すべきPsycho le Cémuというバンドであり、エピローグという音源になった。

このライブに立ち会えたことに感謝と記念に。noteに記す。

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