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令和2年(2020年)度東京都登録販売者試験 試験問題(午前)その1 問1-20

・はじめに

今年の東京都の試験が、
令和3年9月23日(木曜日・祝日)午前10時から午後3時30分まで
行われることを受けて、
昨年の問題解説を記載したいと思います。

例年に増して、どうしても合格されたい方が多々いらっしゃると
思いますので、
少しでも参考になれば幸いです。

問1(医薬品に共通する特性と基本的な知識)

医薬品の本質に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。

a 医薬品は、人の疾病の診断、治療若しくは予防に使用されること、又は人の身体の構造や機能に影響を及ぼすことを目的とする生命関連製品である。
b 医薬品が人体に及ぼす作用は、複雑、かつ、多岐に渡っているが、そのすべてが解明されている。
c 医薬品は、製造販売業者による製品回収等の措置がなされることがあるので、医薬品の販売等を行う者は、製造販売業者等からの情報に日頃から留意しておくことが重要である。
d 人体に対して使用されない医薬品の殺虫剤であれば、誤って人体がそれに曝(さら)されても、健康を害することはない。

 a b c d
1 正 正 正 誤
2 誤 誤 正 正
3 正 正 誤 正
4 正 誤 正 誤
5 誤 誤 誤 正

(答え)4

a 正 これはこの通りです。薬機法第二条の文章になります。参考までに下記になるので覚えておくといいと思います。
太字にしてあるところがポイントになります。
第二条 この法律で「医薬品」とは、次に掲げる物をいう。
一 日本薬局方に収められている物
二 人又は動物の疾病の診断、治療又は予防に使用されることが目的とされている物であつて、機械器具等(機械器具、歯科材料、医療用品、衛生用品並びにプログラム(電子計算機に対する指令であつて、一の結果を得ることができるように組み合わされたものをいう。以下同じ。)及びこれを記録した記録媒体をいう。以下同じ。)でないもの(医薬部外品及び再生医療等製品を除く。)
三 人又は動物の身体の構造又は機能に影響を及ぼすことが目的とされている物であつて、機械器具等でないもの(医薬部外品、化粧品及び再生医療等製品を除く。)
b 誤 これはいかにも間違っているとわかる文章ですね。医薬品の作用は、すべてがもちろん解明されていません。受容体なども理論ですので、新しいことが解明されればもちろん変わります。
c 正 これはこの通りです。回収情報は、PMDAや消費者庁のリコール情報にも乗りますので、日ごろからチェックをすることは必要になります。
d 誤 これも明らかに間違っているとわかる文章ですね。人体に使用されないからこそ、逆に人体に副作用が出る可能性が高いと思います。もちろん殺虫剤なので触れれば、皮膚のただれや発疹等も起こることが想定されます。

問2

医薬品のリスク評価に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。
a 医薬品に対しては、製造販売後の調査及び試験の実施基準としてGood Post-marketing Study Practice(GPSP)と製造販売後安全管理基準としてGood Vigilance Practice(GVP)が制定されている。
b 新規に開発される医薬品のリスク評価は、薬効 - 薬理試験や一般薬理作用試験の他に、医薬品毒性試験法ガイドラインに沿って、単回投与毒性試験などの毒性試験が厳格に実施される。
c 医薬品については、食品と同一の安全性基準が要求されている。
d ヒトを対象とした臨床試験における効果と安全性の評価基準には、国際的にGood Laboratory Practice(GLP)が制定されている。

 a b c d
1 正 正 誤 正
2 正 誤 正 正
3 誤 正 正 正
4 正 正 誤 誤
5 誤 誤 誤 誤

(答え)4

a 正 これは〇になります。GVPとGPSPは文章的に似ているのですが、GPSPは、販売後一定期間追加調査を行うのに対し、GVPは、販売が終了するまで続きます。そのため、新規で販売したときには、GPSPとGVPは両方行うケースが多いですが、GPSPはすべての品目ではないので注意しましょう。
b 正 これは〇になります。難しい文章ですが、理解しておきましょう。
c 誤 これは×になります。医薬品の方が高い安全性基準が要求されます。理由としては、医薬品は、一般的に、病人に使用されるものです。OTCではそこまでではないと思いますが、入院中に使う薬であれば、動けない方にも使うことがあります。そのため、患者さん側としては、意図しなくても治療として使うケースがあります。
こういった意味合いからも、安全性に対しても食品よりは厳しい基準が要求されます。
d 誤 これは×になります。 「ヒトを対象とした臨床試験」云々の基準は、「Good Clinical Practice (GCP)」です。ちなみに、Good Laboratory Practice(GLP、グッド・ラボラトリー・プラクティス)は、医薬品の非臨床試験の安全性に関する信頼性を確保するための基準になります。
Laboratoryは、研究室という意味なので、人でデータを取る前に、研究室で実験をするための基準と思っていただければいいと思います。

問3

医薬品のリスク評価に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。
a 医薬品の効果とリスクは、薬物曝露時間と曝露量との積で表現される用量 - 反応関係に基づいて評価される。
B 医薬品の投与量と効果の関係は、薬物用量を増加させるに伴い、効果の発現が検出されない「無作用量」から、最小有効量を経て「治療量」に至る。
c LD50とは動物実験における最小致死量のことであり、薬物の毒性の指標として用いられる。

 a b c
1 正 正 正
2 正 正 誤
3 正 誤 誤
4 誤 正 正
5 誤 誤 正

(答え)2

a 正 こちらは〇になります。ここでの覚えていただきたいのは、「医薬品の効果とリスクは、薬物曝露時間と曝露量との積で表現される用量-反応関係に基づいて評価される」という部分です。
掛け算でリスク評価をすることを注意しましょう。 なお、「ひっかけ」で、「積」のところが、「和」やら「商」などになっていることがあるので、注意しましょう。
b 正 こちらは〇になります。
参考までに、語呂合わせは、「むさい父、察知(むさいちち、さっち)」です。
上から下にかけて、効果・毒性が強くなります。
む・・・無作用量の「む」
さい・・・最小有効量の「さい」
ち・・・治療量の「ち」
ち・・・中毒量の「ち」
さっ・・・最小致死量の「さ」
ち・・・致死量の「ち」
不等号で表すと、「無作用量 < 最小有効量 < 治療量 < 中毒量 < 最小致死量 < 致死量」といった寸法です。
c 誤 こちらは×になります。LD50は、動物実験における50%致死量のことであり、薬物の毒性の指標として用いられます。


問4

健康食品に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。
a 機能性表示食品は、疾病リスクの低減を図る旨を表示することができる。
b 栄養機能食品は、各種ビタミン、ミネラルに対して「栄養機能の表示」ができる。
c 特定保健用食品は、「特定の保健機能の表示」(例えばキシリトールを含む食品に対して「虫歯の原因になりにくい食品です」などの表示)が許可されている。

 a b c
1 正 正 正
2 正 正 誤
3 誤 誤 誤
4 正 誤 正
5 誤 正 正

(答え)5

a 誤 これは×になります。「機能性表示食品」とは、「疾病に罹患していない者の健康の維持及び増進に役立つ旨又は適する旨を表示」している食品になります。当該表示には、「疾病リスクの低減に係るものを除く」とされています。
ちなみに、食品で、疾病が治る等を記載すると医薬品表現になり、罰せられるので注意しましょう。
b 正 こちらは〇になります。栄養表示の表現はできます。保健機能食品は、それぞれで決められた文言のみ表示ができます。
c 正 こちらは〇になります。保健機能食品は、特定保健用食品、機能性表示食品、栄養機能食品の順番で効能表示がマイルドになってきます。そのため、特定保健用食品(トクホ Kマークのあるもの)は、どちらかというと、比較的イメージしやすい機能表示がされています。

              トクホマーク

トクホマーク


問5

医薬品の副作用に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。a 世界保健機関(WHO)の定義によれば、医薬品の副作用とは、「疾病の予防、診断、治療のため、又は身体の機能を正常化するために、人に通常用いられる量で発現する医薬品の有害かつ意図しない反応」とされている。
b 一般用医薬品では、通常は、その使用を中断することによる不利益よりも、重大な副作用を回避することが優先され、その兆候が現れたときには基本的に使用を中止することとされている。
c 眠気や口渇等の比較的よく見られる症状は、副作用とはいわない。

 a b c
1 正 誤 正
2 正 誤 誤
3 正 正 誤
4 誤 正 誤
5 誤 誤 正

(答え)3

a 正 これは〇になります。この文章はこの通りなので覚えておくべき文章ですね。
「世界保健機関(WHO)の定義によれば、医薬品の副作用とは、「疾病の予防、診断、治療のため、又は身体の機能を正常化するために、人に通常用いられる量で発現する医薬品の有害かつ意図しない反応」とされている」になります。
この黒字の部分である、「人に通常用いられる量」と「有害かつ意図しない反応」は覚えておくべき単語になります。要は、指示量を使って、有害反応が起きることを副作用ということを覚えておく必要があります。
b 正 これは〇になります。OTC薬を販売している医療機関は、必要に応じて受診勧告をすることになっています。
もちろん、副作用があるにもかかわらず継続すること自体に問題がありますので、副作用を回避することが優先であることを覚えておきましょう。
c 誤 これは×になります。何をもってよく見られるかがまず不明ですし、比較的よくみられる副作用ももちろん副作用です。

問6

免疫とアレルギー(過敏反応)に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
a 通常の免疫反応の場合、炎症やそれに伴って発生する発熱等は、人体にとって有害なものを体内から排除するための必要な過程である。
b アレルギーは、内服薬だけでなく外用薬等でも引き起こされることがある。
c アレルギーには、体質的・遺伝的な要素はない。
d 薬理作用がない添加物は、アレルギーを引き起こす原因物質とはならない。

1 (a、b) 2 (a、c) 3 (a、d) 4 (b、c) 5 (b、d)

(答え)1

a 正 これは〇になります。炎症や発熱反応は、大事な過程になります。例えば、発熱を見ればわかりますが、発熱は、白血球の作用を強めるために、熱が出ています。炎症も、腫れを起こすことにより、体に侵入させないようにする作用もあります。
b 正 これは〇になります。外用や内服の剤形にかかわらず、
c 誤 これは×になります。アレルギーは、特に、体質や遺伝的な要素が大きいです。そのため、家族歴なども大事な要素になります。
d 誤 これは×になります。いかにも×な感じな文章だとわかっていただけると思います。
手引きには、「黄色4号(タートラジン)、カゼイン、亜硫酸塩(亜硫酸ナトリウム、ピロ硫酸カリウム等)」といった記載があります。
色素以外にも、カゼインやゼラチンのような食べ物アレルギーでも含まれるものは、覚えておいた方がいいです。
ゼラチンや牛乳アレルギーは、案外、身近にいらっしゃるので注意が必要です。

問7

医薬品の使用等に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。
a 症状が一時的に緩和するならば、疾病の根本的な治療や生活習慣の改善等は行わず、漫然と一般用医薬品を使用し続けても、有害事象を招く危険性が増すことはない。
b 一般用医薬品には、習慣性がある成分を含んでいるものはない。
c 一般用医薬品は、その使用を判断する主体が一般の生活者であることから、その適正な使用を図っていく上で、販売時における専門家の関与が特に重要である。

 a b c
1 正 正 正
2 誤 正 正
3 正 正 誤
4 誤 誤 正
5 誤 誤 誤

(答え)4

a 誤 これは×になります。漠然と使用することにより、有害事象を招く危険性が増します。漠然と使用していることを加味して、受診勧告が必要です。
b 誤 これは×になります。ご存じの通り、コデイン系は習慣性がありますので、すぐに×であることがわかると思います。
参考までに、
「濫用等のおそれのあるものとして厚生労働大臣が指定する医薬品」は、以下の「6つ」があります。
エフェドリン系
・エフェドリン
・プソイドエフェドリン
・メチルエフェドリン(鎮咳去痰薬のうち、内用液剤に限る。)
コデイン系
・コデイン(鎮咳去痰薬に限る。)
・ジヒドロコデイン(鎮咳去痰薬に限る。)
尿素系
・ブロモバレリル尿素
イメージをつけながらまとめて覚えておきましょう。
c 正 これは〇になります。ここで書かれている販売時における専門家の関与が、登録販売者や薬剤師になります。
第二類や第三類医薬品であっても、登録販売者の関与が大事であることがここでもわかりますね。

問8

医薬品と食品との飲み合わせに関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。
a カフェインやビタミンAのように、食品中に医薬品の成分と同じ物質が存在する場合があり、それらを含む医薬品と食品を一緒に服用すると過剰摂取となるものがある。
b 酒類(アルコール)をよく摂取する者は、肝臓の代謝機能が高まっていることが多く、アセトアミノフェンなどでは、通常よりも代謝されやすくなることがある。
c 外用薬や注射薬は、食品によって医薬品の作用や代謝に影響を受ける可能性はない。

 a b c
1 正 正 正
2 正 正 誤
3 正 誤 誤
4 誤 誤 正
5 誤 誤 誤

(答え)2

a 正 これは〇になります。大事なのは、食品と医薬品に入っている主成分や添加物が、同時に摂取することにより作用が強く出ることがあるので、注意が必要です。設問にある、カフェインや脂溶性ビタミンのビタミンAなどは蓄積するので注意が必要になります。
b 正 これは〇になります。アルコールを摂取することにより、血流増加をし、肝臓の代謝機能が高まることも覚えましょう。「飲み合わせ」の論点にて、「アルコール・・・アセトアミノフェン」は、実によく出ます。他県では、当該アセトアミノフェンが、「アスピリン」などに変えられた事があるので、チェックしておきましょう。
c 誤 これは×になります。いかにも×な感じですね。 外用薬や注射薬であっても、食品の影響を受けます。

問9

小児等の医薬品の使用に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。
a 医薬品の使用上の注意において、おおよその目安として、乳児とは1歳未満、幼児とは7歳未満、小児とは15歳未満のことを言う。
b 小児は、血液脳関門が未発達であるため、吸収されて循環血液中に移行した医薬品の成分が脳に達しにくい。
c 小児は、大人と比べて身体の大きさに対して腸が短く、服用した医薬品の吸収率が相対的に低い。

 a b c
1 正 正 正
2 正 誤 正
3 正 誤 誤
4 誤 正 正
5 誤 誤 誤

(答え)3

a 正 これは〇になります。この定義は覚えておくべき内容になります。以上と未満のひっかけも出る可能性があるので注意しておきましょう。以上は、含みますが、未満は含みません。例えば、15歳未満だと15歳は含みませんので注意しましょう。
参考までに、
高齢者
「高齢者」は、「65歳以上」の者をいいます。「老後の65(ろうご)」と憶えます。語呂で覚えやすいのではないでしょうか?
乳児・幼児・小児
乳児・幼児・小児の年齢区分ですが、
乳児は、1歳未満
幼児は、7歳未満
小児は、15歳未満
となっています。
「“1”年生に、“な”ったら、“行こ”う」
“1”のところは、乳児の「1歳未満」の「1」です。
“な”のところは、「7」は「ななつ」と読めるので、幼児の「7歳未満」になります。
“行こ”のところは、「い・こ=1・5」となり、小児の「15歳未満」になります。
こんな次第で、「1年生に、なったら、行こう」で、乳児・幼児・小児の年齢区分を覚える寸法です。
注意するのは、高齢者は「以上」、それ以外は「未満」になります。
b 誤 これは×になります。これは逆の意味で、血液脳関門が未発達だからこそ、脳に医薬品の成分が達しやすくなります。血液脳関門は、字のごとく、他の異物を防ぐための関門になります。そこが未発達だと、異物が脳に入りやすくなります。
参考までに、血液脳関門が通過しやすい物質として、脂溶性物質や分子量の大きくないものが挙げられます。
また、血液脳関門以外にも、妊婦にも、胎児と臍帯(さいたい)でつながっていますが、そこにも血液胎盤関門というのがあります。血液脳関門と同じようなものと思っていただければ大丈夫です。
c 誤 これは×になります。これも逆で、腸が体の面積に比べて長いため、吸収率が高くなります。
参考までに、ご存じの通り、大人に比べて、子供の方が、体の水分量が多いです。
そのため、大人量に比べて、薬が体に分散しやすいので、子供の方が、効きが弱まるということも言われています。
ただ、もともと、服用量は、製薬メーカーが設定しており、国も承認をしていますので、指示された量以外では、私用しないことが大前提となります。

問10

高齢者の医薬品の使用に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。
a 医薬品の使用上の注意においては、おおよその目安として65歳以上を高齢者としている。
b 生理機能の衰えの度合いは個人差が小さいので、年齢から副作用のリスク増大の程度を判断できる。
c 喉の筋肉が衰えて飲食物を飲み込む力が弱まっている(嚥(えん)下障害)場合があり、内服薬を使用する際に喉に詰まらせやすい。

 a b c
1 正 正 誤
2 正 誤 正
3 正 正 正
4 誤 正 正
5 誤 誤 誤

(答え)2

a 正 これは〇になります。さきほど、高齢者の件も、問9に書いてありますので説明は割愛します。
b 誤 これは×になります。生理機能の衰えは、個人差があります。健康的な人もいれば、病的な人もいます。
機能が衰えれば、吸収や代謝などが変わります。
参考までに、これを薬学用語でADMEと言います。
ADMEとは薬物動態学および薬理学で用いられる、吸収(英: Absorption)、分布(英: Distribution)、代謝(英: Metabolism)、排泄(英: Excretion)の英語表記の頭文字からなる略語であり、生体において薬物が処理される過程を示す用語である。これら4項目は薬物の血中濃度と、組織への暴露の経時変化に影響する。したがって、ADMEは投与された化学物質の薬理活性と効用に関係する重要な項目になります。
c 正 これは〇になります。嚥下機能は、気道と食道を調節する機能になります。食べ物が口から入ったときには、気道に物が入らないように、調節しています。弁のしまりが悪くなってきたら、とろみをつけて、弁が締まる時間を遅くても大丈夫なようにすることも大事です。

食べる仕組み

嚥下運動後の誤嚥

トロミの加減

問11

妊婦又は妊娠していると思われる女性及び母乳を与える女性(授乳婦)の医薬品の使用 に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。
a 便秘薬には、配合成分やその用量によっては流産や早産を誘発するおそれがあるものがある。
b ビタミンA含有製剤は、妊娠前後の一定期間に通常の用量を超えて摂取すると、胎児に先天異常を起こす危険性が高まるとされている。
c 授乳婦が使用した医薬品の成分の一部が乳汁中に移行することが知られていても、通常の使用の範囲では具体的な悪影響は判明していないものもある。
d 一般用医薬品においては、多くの場合、妊婦が使用した場合における安全性に関する評価が困難であるため、妊婦の使用については、添付文書において「相談すること」としているものが多い。

 a b c d
1 正 誤 誤 誤
2 正 誤 正 正
3 正 正 正 正
4 誤 正 正 誤
5 誤 誤 誤 正

(答え)3

a 正 これは〇になります。下剤は、大腸を動かす薬が多いのですが、腸を過度に動かせば、そばにある子宮にも影響を及ぼすことがあるので、注意が必要です。瀉下薬には、「ヒマシ油」や「センノシド」などがあり、妊婦等の人は使用を避ける、となっています。医師が使うケースは、無いとは言えませんが、OTCでは、使うことは推奨できませんので注意が必要です。
b 正 これは〇になります。「ビタミンA含有製剤は、妊娠前後の一定期間に通常の用量を超えて摂取すると、胎児に先天異常を起こす危険性が高まるとされている」ことは、適正使用でよく出ますので、覚えておきましょう。
c 正 これは〇になります。一見、ひっかけ問題に見えますが、乳汁に移行はしても、通常使用なら悪影響はないとされる医薬品は、あります。「妊娠と薬情報センター」で検索をすることもできますので、困った際には利用してみてください。もちろん、製薬メーカーのDI室に確認することももちろんOKです。
d 正 これは〇になります。これは単純に、妊婦で試験をすることはできませんのでこの文章の通りになります。
一般的には、動物実験で確認はしていますが、人間で試験をすることはできないため、この対応が多いです。

問12

プラセボ効果に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。

a プラセボ効果とは、医薬品を使用したとき、結果的又は偶発的に薬理作用を生じることをいう。
b プラセボ効果によってもたらされる反応や変化には、望ましいもの(効果)だけであり、不都合なもの(副作用)はない。
c プラセボ効果は、時間経過による自然発生的な変化(自然緩解など)は関与していないと考えられている。
d プラセボ効果は、不確実であり、それを目的として医薬品が使用されるべきではない。

a b c d
1 正 正 正 誤
2 正 誤 誤 正
3 正 誤 正 誤
4 誤 誤 誤 正
5 誤 正 正 正

(答え)4

a 誤 これは×になります。プラセボ効果は、「薬理作用によらない作用」です。プラセボ(偽薬)は、効き目ある成分が何も入っていないくすりを服用しても、患者さん自身が、自分が飲んでいるくすりは効き目があると思い込むことで、病気の症状が改善することをいいます。これを見れば、問題文がおかしいことがわかると思います。
b 誤 これは×になります。プラセボ効果は、効果以外にも副作用もあります。上記の通り、思い込みによる作用なので、副作用も効果として考えられます。
c 誤 これは×になります。時間経過による変化ももちろん、効果に入ります。上記同様の説明になります。
d 正 これは〇になります。もともと、プラセボ効果は、個人差が大きいです。もちろん、効き目のある成分が入っていないため、通常であれば効果はありません。
参考までに、プラセボ製薬の「プラセプラス」という錠剤型のプラセボ薬は一応ありますが、もちろん、医薬品ではなく食品扱いになります。興味があれば一度見てみてください。

問13

医薬品の品質に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。
a 医薬品は、適切な保管・陳列がなされない場合、人体に好ましくない作用をもたらす物質を生じることはないが、効き目が低下するおそれはある。
b 医薬品は、高温や多湿によって品質の劣化を起こしやすいものが多いが、光(紫外線)による劣化はない。
c 外箱等に記載されている「使用期限」とは、未開封状態で保管された場合に品質が保持される期限のことである。

 a b c
1 正 正 正
2 正 正 誤
3 誤 誤 誤
4 誤 正 正
5 誤 誤 正

(答え)5

a 誤 これは×になります。いかにも×な感じの問題だと思います。簡単に言うと、温度による主成分の分解に伴う、副生成物が人体に好ましくない作用を示すかもしれません。
b 誤 これは×になります。光(紫外線)の劣化はあります。大半の医薬品は、「冷暗所に保存」となっており、
c 正 これは〇になります。未開封での使用期限ということは覚えておきましょう。
そのため、開封した後の期限の問合せについて、お店で受けることはあると思いますが、答えられないというのが正確な答えになります。
理由としては、製薬メーカーでの安定性試験は未開封で行っているため、開封など様々な条件でできないためになります。
参考までに、食品でも同様になります。賞味期限(おいしく食べれる期限)や消費期限(食べれる期限)も同じような考え方になっています。

問14

一般用医薬品の販売時における情報提供に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。
a 一般用医薬品の販売に従事する専門家においては、購入者に対して常に科学的な根拠に基づいた正確な情報提供を行い、セルフメディケーションを適切に支援していくことが期待されている。
b 情報提供は、必ずしも医薬品の販売に結びつけるのではなく、医薬品の使用によらない対処等を勧めることが適切な場合もある。
c 一般用医薬品で対処可能な範囲は、医薬品を使用する人によって変わってくるものであり、乳幼児では、通常の成人の場合より、その範囲は限られてくることに留意する必要がある。

 a b c
1 正 誤 正
2 正 正 誤
3 正 正 正
4 誤 正 誤
5 誤 誤 正

(答え)3

a 正 これは〇になります。この通りの文章ですね。一般用医薬品は、セルフメディケーションの観点から、購入者が判断をして購入しますが、判断材料は、販売に従事する専門家(登録販売者や薬剤師)が行う必要があります。
b 正 これは〇になります。この文章の通りになります。ここで言われていることは、日常生活の改善や受診勧告等が該当します。
c 正 これは〇になります。この文章の通りになります。一般的に、乳幼児に対しては、薬を使うことよりも、お医者さんにかかることが推奨されます。理由としては、乳幼児の場合には、隠れた疾病などがある可能性があるからです。
乳幼児がきちんと自分の症状を口で言うことができないことからも分かるかと思います。

問15

一般用医薬品の販売等に従事する専門家が購入者から確認しておきたい事項に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。
a 何のためにその医薬品を購入しようとしているか確認する(購入者側のニーズ、購入の動機)。
b その医薬品を使用する人が医療機関で治療を受けていないか確認する。
c 症状等がある場合、それはいつ頃からか、その原因や患部等の特定はなされているか確認する。
d その医薬品を使用する人が過去にアレルギーや医薬品による副作用等の経験があるか確認する。

 a b c d
1 正 正 正 正
2 正 正 正 誤
3 正 正 誤 正
4 正 誤 誤 正
5 誤 正 正 正

(答え)1

a 正 これは〇になります。特に気を付けるのは、濫用の恐れがある医薬品ですが、それ以外にも転売等もあるため、注意が必要です。
参考までに、医薬品を転売する場合、薬機法で定められた業を取得してない者が、販売を行うと、薬機法違反になります。
b 正 これは〇になります。注意するケースとしては、医療機関でもらっている薬剤と、購入しようと考えている一般用医薬品で相互作用がないかを確認するケースもあります。ただし、医療機関でもらっている薬剤が切れてしまい、次の受診までに間に合わない場合、スイッチOTCを購入するケースもありますので、きちんと確認をする必要もあります。
c 正 これは〇になります。この通りになります。仮に、慢性的に症状が続いている場合には、受診勧告の対象にもなります。また、原因や部位の特定については、剤形の推奨が変わるケースもあります。
d 正 これは〇になります。もちろんこの文章の通り、確認すべき内容になります。主成分以外にも添加物でアレルギーを起こす方もいらっしゃると思いますので、必ず聞かなくてはならない項目かと思います。副作用を起こしたことのある医薬品も同様です。

問16

一般用医薬品の販売時におけるコミュニケーション及び情報提供に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。
a 購入者側に情報提供を受けようとする意識が乏しい場合は、情報提供を行うためのコミュニケーションを図る必要はない。
b 購入者が自分自身や家族の健康に対する責任感を持ち、適切な医薬品を選択して、適正に使用しようとするよう、働きかけていくことが重要である。
c 必ずしも情報提供を受けた当人が医薬品を使用するとは限らないことを踏まえ、販売時のコミュニケーションを考える必要がある。
d 購入者が医薬品を使用する状況は随時変化する可能性があるため、販売数量は一時期に使用する必要量とする等、販売時のコミュニケーションの機会が継続的に確保されるよう配慮することが重要である。

 a b c d
1 誤 誤 正 正
2 正 誤 誤 誤
3 正 正 正 誤
4 正 正 誤 正
5 誤 正 正 正

(答え)5

a 誤 これは×になります。情報提供を受けようとする意識が乏しい場合であっても、可能な限り情報を引き出して、可能な限りの情報提供を行うよう努めるべきだと思います。
場合によっては、あとで副作用が出た等のトラブル防止にもつながりますので、情報提供は大事です。
b 正 これは〇になります。本当に必要な方に医薬品を使ってもらう必要があるため、安易に医薬品を勧めることは好ましくありません。時には、受診勧告や他の方法(食事・運動等の日常改善など)も必要だと思います。こういった意味合いも含まれていると思っていただけるといいと思います。
c 正 これは〇になります。パートナーや友人、親や子供の薬を購入するケースなど、さまざまなケースが想定されます。こういったことを踏まえた上でコミュニケーションをとっていきましょう。
d 正 これは〇になります。花粉症など季節の薬などは、時期が決まっています。コミュニケーションをするためにも在庫はある程度しておく必要があります。在庫していなければ、コミュニケーションをする機会を失い、患者さんとの接点も乏しくなることがあるので、患者さんとの信頼関係を失わないためにも、機会損失を防ぐ必要があります。

問17

サリドマイド及びサリドマイド訴訟に関する次の記述の正誤について、正しい組合せは どれか。
a サリドマイド訴訟とは、妊娠している女性がサリドマイド製剤を使用したことにより、出生児に四肢欠損、耳の障害等の先天異常(サリドマイド胎芽症)が発生したことに対する損害賠償訴訟である。
b サリドマイドの光学異性体のうち、R体のサリドマイドを分離して製剤化しても催奇形性は避けられない。
c 1961年11月、西ドイツ(当時)のレンツ博士がサリドマイド製剤の催奇形性について警告を発し、日本では、同年中に速やかに販売停止及び回収措置が行われた。

a b c
1 正 正 誤
2 正 誤 正
3 正 誤 誤
4 誤 正 誤
5 誤 正 正

(答え)1

a 正 これは〇になります。この特徴はアザラシ肢症といいます。四肢の長骨の欠損または極度の発育不全のため,手と足が直接胴に付いているように見える奇形になります。 1961年―1963年の大量発生は,妊娠初期のサリドマイド服用によるものです。キーワードは覚えておきましょう。
サリドマイド訴訟とは、妊娠している女性がサリドマイド製剤を使用したことにより、出生児に四肢欠損、耳の障害等の先天異常(サリドマイド胎芽症)が発生したことに対する損害賠償訴訟である。
併せて、副作用情報収集体制整備のきっかけとなったことも覚えておきましょう。
参考までに、一度、こういったことがあり、サリドマイドは使われなくなりましたが、近年、多発性骨髄腫治療薬として使われていることも頭の片隅に入れておいてもいいかもしれません。
b 正 これは〇になります。R体とS体は体内で相互に転換するため、R体のサリドマイドを分離して製剤化しても催奇形性は避けられないことは覚えておきましょう。ここは、狙われやすいところです。
参考までに、R体とS体が同じ量含まれていることをラセミ体と言います。
c 誤 これは×になります。西ドイツで警告が発せられた(レンツ博士)が、日本ではすぐに販売停止・回収措置がとられず、対応の遅さが指摘されました。1961年11月にレンツ博士が催奇形性を学会にて発表されましたが、日本では1962年9月に該当商品は販売停止されたため、このタイムラグが被害者を増やしたといわれています。
参考までに、サリドマイドは睡眠薬や妊婦のつわり改善に使われていたことも併せて覚えておくといいかもしれません。

問18

スモン及びスモン訴訟に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。
a スモン訴訟とは、整腸剤として販売されていたキノホルム製剤を使用したことにより、亜急性脊髄視神経症に罹(り)患したことに対する損害賠償訴訟である。
b スモンの原因となったキノホルム製剤には、一般用医薬品として販売されていた製品もある。
c スモンはその症状として、激しい腹痛を伴う下痢、下半身の痺(しび)れ、歩行困難等が現れるが、麻痺(ひ)が上半身に拡がることはない。
d スモン患者に対しては、施術費及び医療費の自己負担分の公費負担、重症患者に対する介護事業等が講じられている。

a b c d
1 誤 正 誤 誤
2 誤 誤 正 正
3 正 誤 誤 正
4 正 誤 正 誤
5 正 正 誤 正

(答え)5

a 正 これは〇になります。スモンで覚えていただきたいのは、「整腸剤」、「キノホルム製剤」、「亜急性脊髄視神経症(スモン)」になります。
参考までに、スモン(SMON)は英語名からきています。亜急性脊髄視神経症(Subacute Myelo-Optico-Neuropathy)です。
b 正 これは〇になります。一般用医薬品であったことも出やすいポイントなので覚えておいた方がいいですね。
一般用であったということは、消費者の方が手に取りやすいということも意味していますので、登録販売者であれば覚えておくといい内容になるにつながると思います。
c 誤 これは×になります。スモンの症状は、腹部膨満感、腹痛を伴う下痢、下半身のしぴれ、歩行困難、視覚障害、失明になりますが、下半身から上半身まで幅広く起こります。また、手引きには、「麻痺は上半身にも拡がる場合があり、ときに視覚障害から失明に至ることもある」とあります。
ここら辺の症状も狙われやすいので、ポイントをしっかり押さえておきましょう。
d 正 これは〇になります。スモン患者には、治療研究施設の整備、治療法の開発調査研究の推進、施術費及び医療費の自己負担分の公費負担等の制度が設けられています。
また、サリドマイド訴訟とともに、医薬品副作用被害救済制度の創設のきっかけとなったことも併せて覚えておきましょう。

問19

HIV訴訟に関する次の記述について、( )の中に入れるべき字句の正しい組合せはどれか。
HIV訴訟は、( a )患者が、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)が混入した原料( b ) から製造された血液凝固因子製剤の投与を受けたことにより、HIVに感染したことに対する損害賠償訴訟である。
国及び( c )を被告として、1989年5月に大阪地裁、同年10月に東京地裁で提訴された。

         a                   b                          c
1 血友病             血小板                 地方自治体
2 血友病             血小板                 製薬企業
3 血友病             血漿(しょう)  製薬企業
4 鉄欠乏性貧血  血小板                 製薬企業
5 鉄欠乏性貧血  血漿(しょう)  地方自治体

(答え)3

a 血友病
b 血漿(しょう)
c 製薬企業
ここのポイントは、すべて狙われやすいので覚えておく必要があります。
血友病患者、血漿から製造された血液凝固因子製剤、国及び製薬企業に訴訟
の3点は、特に押さえておくべきポイントになります。

問20

クロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)及びCJD訴訟に関する次の記述の正誤につい て、正しい組合せはどれか。
a CJD訴訟は、脳外科手術等に用いられていたウシ乾燥硬膜を介してCJDに罹(り)患したことに対する損害賠償訴訟である。
b CJDは、タンパク質の一種であるプリオンが原因であるとされている。
c CJDは、次第に認知症に類似した症状が現れる神経難病であるが、死に至ることはない。
d CJD訴訟は、生物由来製品による感染等被害救済制度が創設される契機のひとつとなった。

a b c d
1 誤 正 誤 正
2 誤 正 正 正
3 正 正 誤 誤
4 正 誤 誤 正
5 正 誤 正 誤

(答え)1

a 誤 これは×になります。「CJD訴訟」で覚えていただきたいのは、「脳外科手術」、「ヒト乾燥硬膜」、「クロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)」、「CJDは、タンパク質の一種のプリオン」、「重篤な神経難病」になります。
ここはウシではなく、ヒトが正しいです。
牛海綿状脳症(BSE)は、牛の病気の一つで、BSEプリオンと呼ばれる病原体に牛が感染した場合、牛の脳の組織がスポンジ状になり、異常行動、運動失調などを示し、死亡するとされています。
これを人間などが何かしらの形で、接触することによって、クロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)が起こるとされています。プリオン(タンパク質の一種)を不活性化するための処理が不十分だったヒト乾燥硬膜を脳外科手術で使用したことによって起きたとされています。
なお、クロイツフェルト・ヤコブ病は、認知症類似の症状を引き起こし、死に至る重篤な神経難病を起こすとされています。
b 正 これは〇になります。タンパクという単語も覚えておきましょう。細菌やウイルスなどとひっかけで調整されることがあるので注意しましょう。
c 誤 これは×になります。死に至る重篤な神経難病のため、注意して覚えておきましょう。
d 正 これは〇になります。生物由来製品による感染等被害救済制度創設のきっかけとなったのが、SDJ訴訟なので覚えておきましょう。
基本的に、何かの事故・事件を契機に制度が創出されるので、訴訟や病気と紐づけて制度も押さえておきましょう。

・最後に

今からでも短期集中してやれば間に合うと思います。
ただ、効率よくやらなければ、覚えられませんので、
困った方はご連絡ください。

本日もお読みいただきありがとうございました。




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