2023年1月21日 立川シネマシティ「かがみの孤城」ティーチインメモ (登壇者:原恵一監督、新垣弘隆さん)

2023年1月21日 立川シネマシティ「かがみの孤城」原監督&新垣Pによるティーチインの内容を、自分が手書きしたメモから起こしました。
★注意:ネタバレあり!また聞き間違いなど多々あるかもですがご容赦下さい。★

2023年1月21日 立川シネマシティ かがみの孤城 ティーチイン付き上映
登壇:原恵一監督、新垣弘隆プロデューサー

トークパート

MC:アニメ化の企画が立ち上がったのが5年前ですが、まずは一言づつお願いします。

原監督:沢山の人に観てもらえて素直に嬉しい。自分の監督作品としては20年ぶりの興収Top10入りした。(前回は「クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ アッパレ!戦国大合戦」)ショウビズの世界は厳しい。

新垣P:原さんはスマホ・携帯を持っていないので、SNSでの皆さんの反応が見られないが、自分は毎日チェックしています。

MC:上下巻で500ページの原作を2時間の映画にするのは難しくなかったですか?

新垣P:アニメ映画は尺は長くなるとカット数が増えて予算がかかるから、2時間に収めてとオーダーした。
原監督:最初は無理だと思ったけど、時間に収めるのは得意なのでなんとかなった。

質問タイム

Q1:監督は2007年にシンエイ動画を退社しフリーになられたが、フリーランスとしての苦労はあったか。
A1:フリーになったとはいえできれば同じプロダクションでやりたいという思いはある。今回はA-1さんで作ることになった。自分では「流浪の監督」と思っている。

Q2:こころが階段を登るシーンは、クレしんオトナ帝国を意識していた?
A2:意識はしていなかった。あのシーンはこころが自分の当初の黒い願いを捨ててアキを救うために前に進む大事なシーン。作画的にも難しい動き(カメラが回り込むようにこころが階段を進む)を井上俊之さんが手描きで描いてくれた。このシーンはキャラにCGは使っていないんですよ。

Q3:表現として難しいシーンはあったか。
A3:今回「やっちゃいけない」と言われたものはなかった。
アキの回想シーンで、義父に襲われそうになるシーンも、シネカリグラフのように顔にノイズを乗せる表現で表現した。(アキから見るあいつはカオナシである)
他にも真田美織たちが家に来るシーンも当初意図した表現ができた。

Q4:願いの部屋を赤色で表現したのはどのような意図からか?
A4:(よくぞ聞いてくれました)鍵のある歯車の部屋は緑で、緑の補色が赤であるということと、自分が映画オタクなので、スタンリー・キューブリックの「2001年宇宙の旅」のハルの中枢部の赤色をオマージュした。

Q5:次回また観るならここは見てほしいというシーンはあるか。
A5:新垣P:リオン達がオオカミさまと最後に別れた後に病室のシーンになるが、実生(リオンの姉)からするとここは回想ではなく城から時間軸が続いているのだ…と思って観るとても良いシーンに見えるので注目してほしい。→(原監督)オオカミさまがお面を取る時の最後のセリフを、芦田さんから(実生役の)美山さんに変えたのは良い演出になったかなと思います。
原監督:矢島晶子さんにしんのすけのセリフ言ってもらった。気づいた人いる?(まばらに手が挙がる)しんのすけは既に声優が変わっているので、少し低めの声でやってもらった。次また観てくれるなら探してみて下さい。

Q6:(監督宛の質問ではないが)自分も昔こころと同じような経験をした。共感できる人はどれくらいいると想定していたか。
A6:割合はわからないが、インタビューで「自分も子供の頃不登校で…」というインタビュアーの方が何人かいた。そういう人に届く作品にできたのは嬉しい。

Q7:効果音、鏡の音の描写は監督の演出か。
A7:鏡を通る時にはガラス質の音が欲しいというオーダーはした。
効果音で言えば、こころが願いの部屋の扉の鍵を回す時、BGの歯車の音が止まる。これは鍵が特別なものであるという演出。気付いてもらえない事が多いが、次観るなら注目して聞いてほしい。

Q8:尺を4分足して120分ピッタリにするならどう変える?
A8:2時間に収めるために丸々削ったようなカットはないので、特に追加で入れたいというシーンはない。

Q9:EDについて何かあれば。
A9:EDは最初は黒バックにロールでよいと思ったが、脚本の丸尾みほさんの発案でリオンと実生のカットを入れた。辻村さんや優里さんもOKしてくれた。おかげですぐに席を立つ人が少なくて済んだかな。スタッフロールの横に小さく入れても見てもらえないと思い、板(全画面)でカットを入れた。

その他:原監督:高山みなみさんのコナンの決めゼリフは当初はなく、当日高山さんにお願いした。アフレコ台本には「なぁオオカミさま、聞いてんでしょ!パラレルワールド説、合ってんの?」といったセリフが書いてある。
マサムネの「真実はいつもひとつ!」にスバルが「なにそれ?」と返すのは、実はトリックの伏線なんです。(マサムネの時代にはコナンはあるが、スバルの時代にはない)という理屈で高山さんにお願いしたら快諾してもらえた。(笑)

MC:最後に一言お願いします。
原監督:明日22日は新宿ピカデリーでもティーチインをするので来れる人は来て下さい。富貴晴美さんと音楽の話をします。
新垣P:27日には原作の辻村深月さんともやりますので、こちらも来て下さい。

以上

おまけ

原監督:第2弾特典のポストカードの裏面のタイトルには、こっそりメッセージを込めてます。(ヒントは「かがみ」)

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