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マック・ミラーが20代前半頃に抱えていた葛藤を読む。(Mac Miller - "Here We Go")

written by @raq_reezy

今回は、各種ストリーミングサービス等で再リリースされた、マック・ミラーの2014年のミックステープ『Faces』から「Here We Go」を解読していきたいと思います。

マック・ミラーは、数々のミックステープやYouTubeにアップしたミュージックビデオによって人気を博し、デビューアルバムはインディーズのアルバムとしては1995年以来のビルボード1位を獲得する快挙となりました。

しかし、このデビューアルバムが音楽雑誌やヒップホップ界隈の評論家からは酷評を受けることとなり、マック・ミラーはシーンに受け入れられなかったショックから深く傷つきます

この曲は、その頃のマック・ミラーが書いた曲のひとつです。それでは内容を見ていきましょう。

今回解読する曲
Mac Miller - "Here We Go"
Produced by Drew Byrd 

イントロ(Stacey Dash & Mac Miller)

Be without fear in the face of your enemies
Be brave and upright that God may love thee
Speak the truth even if it leads to your death
Safeguard the helpless and do no wrong
This is your oath
(Yeah, Yeah, so how's it feel? Can you feel it?)

和訳:
敵に面しても、顔に恐れを出してはいけません
神に愛されるよう勇敢で正直でいなさい
自分の死に繋がるとしても真実だけを話しなさい
無力な人を守り、間違いを犯さないようにしなさい
これがあなたの誓いです
(そうさ、そうだ、で、どんな気持ち?何かを感じる?)

【解読】

*この部分は『Kingdom of Heaven』という映画からの引用のようです。マック・ミラーが、これから自分の本音をラップするであろうことが感じ取れます。

1バース目

Uh, polo pajamas, I think I made it
I showed my mom my first million, she damn near fainted
The rich and famous, so nice to make your acquaintance
The legends put out their latest, I feel that it sound outdated

和訳:
ポロ・ラロフローレンのパジャマ、俺は多分成功したんだろう
俺は母親に最初の1億を見せた、マジで気絶寸前だったよ
金持ち、そして有名、知人をつくるのは素晴らしいことだ
レジェンドたちが最新作を出した、俺からすると古い音楽って感じがした

【解読】

*マック・ミラーは1992年生まれ。ミックステープ『Faces』は2014年にリリースされているので、大体22歳頃の作品ですね。ベテラン勢のリリースする最新作を「古い」と一刀両断するなど、まだまだ尖ったアティチュードが感じられます

I'm the hardest workin' person in the universe
Temptation, victim to the church of Lucifer
Internet rappers ain't shit when no computers work
You spent your whole advance on two chains and a Gucci verse

和訳:
俺はこの宇宙の誰よりも努力家だ
悪魔の教会の犠牲者へと導く誘惑もある
コンピューターが動かなきゃ、インターネットのラッパーなんて無だ
お前は自分の契約金を全部2つのチェーンとグッチのバースに使ったみたい

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