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ルーティーン
私はアル中というほどでもないが、仕事帰りにチューハイでも買ってその辺で飲んでひと息ついて気持ちを入れ替えてから家に帰る、という独特のルーティーンがある。
理容師時代は職人のおじさん達もお酒が好きな人が多く、仕事帰りはコンビニで買って皆でお酒を飲みながら電車を待ったりしていた。
刃物を使う仕事は一日中気が張るので、すぐさまリラックスしたいというのがあったのだろう。かと言ってわざわざ皆で店に入ってまでは飲みたくない。
理容師を辞めた後も私にはこの習慣だけが残ってしまった。
女が路上で「はしたない」など思われようが他人などどうでもよく、体裁を気にするプライドが一切ないので刃物を使わない仕事であっても気疲れや疲労から解放されたいという思いが強い。
長年の経験から行く先行く先で“ちょうどいい角”“ちょうどいい公園”“ちょうどいい路地”などなるべく他人に迷惑をかけない飲酒スポットを見つけるのが得意だ。
ビジネス街はかなり見つけるのが難しいのでそういう時はあきらめる。
先日もそのようにとある駅の改札外構内で人の導線を邪魔しないちょうどいい角を見つけたのでチューハイ1缶を飲み、ひと息ついてから改札を通り改札横のゴミ箱に空き缶を捨てた瞬間に
「こんにちは!」と声をかけられた。
振り向くと警察官だった。
あれ、ここの市ってもしかして条例で路上飲酒あかんかった?悪い事した?罰金?それとも数年前のあの件か?職質?死んでお詫びを……
と飛び上がるほどびっくりしたが、
「安全啓発キャンペーンやってますので、どうぞ!」と痴漢対策に関するクリアファイルを皆に配っていただけだった。
缶チューハイの空き缶をご機嫌でゴミ箱に放り込んだ疲れ果てた汗だくの中年(どう見ても痴漢に遭いそうにない奴)にも痴漢撲滅の何かをくださったのだ。
一生大事にする。
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