過去の悪行の数々(料亭街)

初老を迎え大うつになり社会復帰のための外資系倉庫作業中にトランス状態になったり三途の川らしきものを見たり、
人間いつ死ぬか分からないな…など切実に思うのでnoteでひっそりと過去を供養している。

30代の頃サインバルタという抗うつ剤で躁転した。
最初は苦手だった理容の仕事が楽しくなり、帰りたくないくらいエネルギーに満ち溢れ、食欲だけがなく不眠。

かと言って眠れないなら寝ずにアイスを食べたり知人に連絡を取ったりセルフネイルをしたり、思いつきで東京まで宝塚を観に行ったりやたらと活動的だった。

原色やヒラヒラの服を買ったり(通常では絶対に選ばない)あれこれ散財し放題。
収入以上に使ってしまい、落ち込んで寝込み仕事に行けない日があったりと段々壊れていった。

そこでふと“料亭街”の求人広告を目にする。
その頃はまだ自分がADHDなど知るよしもなく、何も考えずに話を聞きに行った。
興味本位だけで生きていた。

ロッテリアで待ち合わせをして、50代とおぼしきツインテールの女性と話をする。


要は恋人とするような事をすればいいだけ、あなたこのまま見学に来れば?と言われた。

通常ならここで断ればいいのに、私は妙なレトロマニアで料亭街の建物をじっくり見てみたいという興味が勝ってしまった。


こんな機会でもないと“料亭街”など見られない。1人で行き方も分からない、
これは絶好のチャンスだと思いツインテール女性に付いていく始末。今思えば本当にシンプルバカすぎる。


ただの見学かと思ったら「衣装はどれがいいかしらね」となり、ショートヘアは売れないからウィッグをつけて顔が寂しいからつけまつ毛もコレにしなさい」
と言われる。
随分地味だというので濃いメイクを施され、
つけまつ毛とウィッグを付けた姿は貧相なオカマみたいだった。
言われるがまま源氏名も付いた。


唯一シンプルな衣装が似合ったのでそれを着る。

面接事前のメッセージで容姿に自信がないと伝えたら「ライトとメイクでどうにでもなります」とのことだったが、ライトとメイクでもどうにもならなかった。


「ここに座って笑って手を振って」
と言われるがまま眩しいライトを浴びてオネエ座りをする。
リアルに品定めされる体験をした。
15分交代で別の嬢と代わるシステムだった。

誰にも選ばれなかったし、選ばれたくなかった。
裏では稼ぎ頭のくるみちゃんという可愛い人が接客を終えるたびに美味しそうな出前を取り、モリモリ食べていた。
食べないとやってられない仕事なのだろう。
くるみちゃんはフワフワ系で優しい人だった。


絶対売れる要素がないのになぜか次も来るように言われ数回出勤したがあまりやる気もなく綺麗でも可愛くもなく売上も芳しくなく、
いつもツインテールのママにメイクや髪型のダメ出しをされた。「お金貯まったら整形や豊胸もいいかもね♪」とか普通に言われる。


当時は躁転状態で易怒性が酷かったので、ある日いつものママのダメ出しが始まった瞬間になんかブチ切れてママの肩を軽く突き飛ばして帰ってきた。


つけまつ毛や支給品の装飾物も汚らわしくて裏路地の草むらに放り投げた。

その足でホルモン屋に立ち寄り、知らない男とワンナイトした。


本当に抗うつ剤は怖い。

自分でもドン引きだしこの後保護入院した。


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