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ブラックサンダー

30代前半で本格的なうつになった。
若い頃からうつ傾向にはあったが数日寝てなんとか復活していた。単なる怠け癖だと思っていた。

しかしこの時初めて「あ、自分ってうつ病かも…」と思った。
何もかも自信がなくて涙が出てくる。
カーテンを開けることができない、電気も点けられないというのが初めてでショックだった。

会社も2週間ほど休んだ。
この時は上司やスタッフに恵まれていたので本当にありがたかった。

復職してしばらく経つとスタッフの1人が何も言わずブラックサンダー1箱と何かの動画のURLだけを書いたメモを私のロッカーに入れておいてくれた。
彼女とはうっすら互いに人見知りしていて距離感があったのに、抗うつ剤で食欲なく何も食べずどんどん痩せていく私を見ていたらしい。

動画を再生してみると本当にくだらない内容の笑えるもので、めちゃくちゃ笑った。
彼女のくれたブラックサンダーを昼に半袋、3時休憩に半袋食べるようにした。

この時期はブラックサンダーで生きていた。
この後もうつで食べられない時は何回かあったが、最悪ブラックサンダー食べときゃなんとかなる、という教訓を得た。

何の言葉も励ましもない無言の彼女の気遣いは一生忘れない。


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