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市民と政治(金3)

第二回:10/08 

>>東京都教育委員会「民主主義ってなんだろう」2016年

https://www.kyoiku.metro.tokyo.lg.jp/school/content/files/democracy_education/leaflet.pdf

民主主義の歴史

民主主義とは、”人民が権力を所有し行使する政治システム”のこと。

古代ギリシアの時代

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ポリスと呼ばれる都市国家で、市民の数も相対的に少なくすべての男子市民が一か所に集まって討議によって政治を決める直接民主制が取られていた。

※民主主義発祥の地・古代ギリシアでは市民が政治討論をする集会であるエクレシア(民会)が定期的に開催されていた。

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ただし、この直接民主制も長くは続かない。それは民主主義の名前を語った独裁者の存在がトリガーになる。

そして近代に入り、フランス革命やアメリカ独立戦争等の影響を受けて今日のある、立憲主義や自由主義と結びついた結果”議会制民主主義”を採用した。

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それでもなお、民主主義が絶対というわけではなく、チャーチルがいうように、「民主主義は最悪の政治形態といわれてきた。他に試みられたあらゆる形態を除けば」

つまり、相対的、または消去法的に見れば民主主義がマシ。という結果で多くの国で民主主義が採用されている。

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↡授業メモ

・民主主義とはなにか?なぜあるのか?

近代に入り、民主主義の価値が注目されるようになった。民主主義いうのは、人が選挙に参加していく政治であればなんでも民主主義である。なので、今注目されているのは、自由主義かつ立憲主義である民主主義の形。

民主主義は、相対的にみても優れたシステムである。

絶対王政から市民革命へ

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ルイ14世の言葉にあるように”朕は国家なり”は、絶対王政を上手く表現したものである。

16~17世紀にかけてヨーロッパで確率した体制であり、王が政治、軍事、植民、通商といったあらゆる分野を支配するものであった。

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絶対王政は、中世の伝統に基づいた諸侯や貴族、協会と言ったように各国に権力が分散していたものが、百年戦争やバラ戦争という具合に帰属同士の争いのせいで、分散化された権力が弱体化し、王という強力な中央集権が確立された。

この背景には、王権神授説という思想が大きく力を発揮していた。

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その後に主流となった”啓蒙思想”と呼ばれる、蒙い場所で光を啓かせるというような意味が込められた思想を背景にし、絶対王政に対抗するように、市民革命が勃発していく。

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↡授業メモ

・政治システムの流れは?

絶対王政→  批判:啓蒙思想→  市民革命

社会契約説

①ホッブス:リヴァイアサン

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自分たちすべてを畏怖させるような共通の権力がない限り、”万人の万人に対する闘争状態”が起きると自然状態論を解いた人物。

故に、人はいったん自分の持っている自然権をコモンウェルス(国家)に譲渡することを、そして譲渡すべき相手は相互契約と合意によって決められるとする

>>人間は完ぺきじゃないし、それならいったん一か所に全部集めて再配分しましょう。そのルールとして社会契約を作りましょう的な感じかしら。

②ロック:市民政府二論

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彼の言う自然法では、「すべての人類は、一斉に平等かつ独立であるから何人も他人の生命、健康、自由、または財産を気づつけるべきではないと万人に教えるものである」という。

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しかし、自然法では掛けているピースが存在するがゆえに、その権利を一部の人に委託する買った形で社会契約が成立する。

>>人間は元から自由。でも完璧じゃない。だから欠けてるとこを補う形で社会が契約として補填しましょう的な

③ルソー:社会契約論

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彼の想定する自然状態は、完全な自由と平和が存在している。しかしそれでも闘争が起きるのは人類が文明を発達させることで現在の不平等さが生まれたと説く。

そこで一般意思という、共同体のために尽くすべしという考えを解いた人物でもある。

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↡授業メモ

・社会契約論は?

社会契約説(social contract)=国家・政府は人々が作る

ホッブズ、自然状態は闘争
ロック、  〃  は自然権と相互尊重 
ルソー、  〃  は理想だが、現実社会は不平等

君臨すれども統治せず

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「王は人の下にあってはならない。しかし、国王と言えども神と法の下にある。なぜなら、法が王を作るからである」というイギリスのローマ法学者、プラクトンが残す。

民主主義国家における政治体制

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日本では、議院内閣制を基本としている。

国会の信任に基づいて内閣が作られ、内閣が国会に対して責任を負うというシステムを基礎としている。行政の長である首相は国民ではなく、国会が選ぶ。

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選挙は二つに分かれれる

・衆議院議員総選挙
>>衆議院議員の任期満了(4年)によるものと、衆議院の解散によって行われるものの2つに分けられる。

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※今回は、10/14に衆議院を解散、総選挙を19日公示、31日投開票

【仕組み】

・小選挙区制選挙:一つの選挙区で一人選ぶ
・比例代表選挙:投票専に応じて政党に議席を配分

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・参議院議員通常選挙
>>参議院に解散はありませんから、常に任期満了(6年)によるものだけ。ただし、参議院議員は3年ごとに半数が入れ替わるよう憲法で定められているので、3年に一度半数を選ぶ選挙がある。

【仕組み】

・選挙区制;選挙区に応じて一人を選んだり二人以上を選んだりする
・比例代表制:投票専に応じて政党に議席を配分

第三回:10/15

フランス人権宣言全文

フランス革命が起きる前には、アメリカ世界の誕生という意で植民地だった国がイギリスに対して独立革命が起きたという奇跡を目の当たりにしたフランスであった。

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そんな時代にフランスでは、”危機的状況”にあったのです。これは、国内の矛盾や財政難という状況を打開するために、フランス革命が起きたという背景があるのです。

フランス革命時には、時期によって権力を持っているところが異なっている

国民議会(立憲君主:世の中に不満が少ない人たちが作った:お金持ちへの改革が行われる)

↡ 王様の人気が落ち、王様いらない!!!

立法議会(穏健共和:王様が不必要という考え)

↡ 早く助けてよ!

国民公会(急進共和:王様がいなくなり、貧しい人を助けるための早急な改革を行う、独裁的/恐怖的政治)

↡ 結局、願いが叶わなきゃ独裁的になる、、

総裁政府(リーダーをたくさん置くことで恐怖政治からの脱出を試みる)

↡ リーダーが多いがために、何も決まらない=混乱=不安

ナポレオン時代
 >>①統領政府(国民の混乱を回復し、秩序の回復に尽くした
 >>②第一帝政(フランス革命で誕生した、理念を拡散していく

↡ 戦争を行っていたが故に、抵抗する国が

ナポレオンの没落

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全文 >> https://ch-gender.jp/wp/?page_id=385

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人間の社会契約論で言われるように、もともと人間は自然的権利(=人間が本来持っている権利を守るように前文化している。

人の権利に対する無知、忘却、または軽視が、公の不幸と政府の腐敗の唯一の原因であることを考慮し、人の譲りわたすことのできない神聖な自然的権利

第1、2条によれば、政治的結合(政府や国家)の目的は、人が生まれながらに持つ諸権利の保全である。その権利とは、自由、所有、安全、圧制への抵抗である。

このうち自由(自由権)の具体的な内容は、10条、11条に、所有権の内容は17条に、述べられる。

第10条(意見の自由) 何人も、その意見の表明が法律によって定められた公の株序を乱さない限り、たとえ宗教上のものであっても、その意見について不安を持たないようにされなければならない。
第11条(表現の自由) 思想および意見の自由な伝達は、人の最も貴重な権利の一つである。したがって、すべての市民は、法律によって定められた場合にその自由の濫用について責任を負うほかは、自由に、話し、書き、印刷することができる。
第17条(所有の不可侵、正当かつ事前の補償) 所有は、神聖かつ不可侵の権利であり、何人も、適法に確認された公の必要が明白にそれを要求する場合で、かつ、正当かつ事前の補償のもとでなければ、それを奪われない。

第3条は、国民主権の原理を掲げ、政府や政治家の権力は、国民の明治的な意思にのみ、根拠を持つと定める。

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自由に対する制限というのは、あるもの。コロナ禍でもロックダウンのように行動の自由に対する制限がかかっていたり、飲食店において規制するなど、自由は制限されることもある

>>200年前に宣言された考え方が日本の考えにも応用されているほどに、基盤となっているものである。

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第4、5条によれば、人々の自由や権利の制限は、その自由や権利の行使が他人を害するする場合にだけ、かつ法律が定める場合にだけ、許される。

第6条では、平等について、法律がすべての人に同じように適用されること、才能などの理由以外で差別されないことを定める。

第3条の国民主権や、第4、7、8条などの「法の支配」(法律にもとづく政府の規制活動)は、当時流行した「社会契約論」に基づくが、今でも、政府が国民の意思/意見に従って活動し、また政府の巨大な権力を統制/抑制するために役立つ。

人権尊重や民主主義の理念・理想は、実際の歴史では少しずつ実現していった。また逆に、

・社会や経済が危機に陥り、社会対立/不満が激化する場合、

・選挙で「圧勝」した政党・政治家が、権力/利益を追求し暴走する場合、

・国民/市民が、政治や権力の強大化に無関心になった場合、

などには、人権や民主主義が弱まり、崩壊することもありうる。   

1,800年代における欧米

a.経済成長    

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産業革命(科学技術)蒸気エネルギーという新しいエネルギーが開発された。かつては、人的なエネルギーでしかなかったのにもかかわらず、莫大なエネルギーを手に入れることができた。

故に、繊維工場や、製鉄製などの”大規模”工場が発達した。これはエネルギーの革命によって起きたこと。

②資本主義(経済システム): 資本→投資↬生産→利益→再投資というサイクルができる。そして拡大していく。また企業間で競争していくという意でより良いモノを作っていく。

このような大規模な経済成長は起きると、もちろんのこと暗い面や明るいっ面が表にでてくる。

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文化や都市の発展  

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(  印象  )派絵画:自分の目に映った印象を画面にそのまま表現
  エドゥアール・マネ
  クロード・モネ
  ルノワール
  エドガー・ドガ

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(  パリ  ):Champs‐Élysées、エッフェル塔

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( ロンドン ): 公園、地下鉄、British Museum               

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しかし、2つのマイナスな面も存在する。

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b.工業化 →貧困、格差、階級対立
>>
資本主義の問題がある。 

経営者(資本家)優位    
 V     
労働者:低賃金、長時間労働、労災、スラムという条件。

 ↓      

対策、抵抗

①労組、労働運動    
英Trade-Union Act 1871、 Labour Party 1906  
米American Federation of Labor (AFL) 1886

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・企業と団体交渉し政府には、労働時間の短縮、賃金、住宅などの保証は国が決めることでしか力が発揮できない。

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②選挙権拡大(民主化)運動:当時は制限選挙ではあったが故に、、、。選挙の幅を拡大していこうという、例えば、英チャーチスト運動が勃発する。

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②政治思想

・社会主義 ―1848共産党宣言(マルクス、エンゲルス)  
・階級闘争 →革命で労働者支配=資本主義の廃止

>>社会民主主義:議会を通じて資本主義を改良 
(資本主義を完全に否定するのではなく、資本主義のデメリットを解消しながらでいいのでは?という考え)

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③政府による対策:労働条件の法定、社会保険=労災、失業、健康保険が導入される。日本では、介護保険も保証されている。公的な教育、住宅が保証することで格差をなくしていこうとする。

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民主主義の歴史

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革命によって民主主義が宣言され、その中で技術革新も進歩する

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故に、階級社会というように貧富の差も生まれ、強きが勝者となる社会が確立する。

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そうなることで、戦争が始まる

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第四回:10/22

19世紀の欧米の話(1868年:明治維新ごろ)

・日本の近代化(明治維新)というのは、”西洋化”=”合理主義”と言える。産業革命は、合理主義の塊である。それは、大量生産を行うことでより良いものを作っていたから。

ただし、日本は独立を守りながらも先進国に追いつく。
>>日米和親条約で開国を行う。

・新政府による明治維新が行われる
 廃藩置県=中央集権=国が県知事を任命
(藩というのは、藩主の子がリーダーを行い、分散型な力であった。しかし県を置くことで国による統治が行われるといった意味での中央集権的な形が成立する)

第五回:10/29

・1889年:大日本帝国憲法
>>天皇主権+統帥権(陸海軍の指揮をする権利:現在は内閣総理大臣に。  ※1930年:軍が自ら天皇の名のもとに暴走する。=国会や首相に逆らう

第1次世界大戦について。

工場での非人間的な労働

第六回:11/05

今回の衆議院選について。

①各党の議席数 

②小選挙区と比例代表での、各党への議席配分の違い
>>投票する対象が違う。小選挙区は候補者を選び、比例代表では政党を選ぶ

※ただ、比例代表の名簿には、小選挙区の立候補者も登載することができるので、仮に小選挙区で落選しても比例で当選する、いわゆる「比例復活」が可能となっている。

③与党=(    )の割合

④改憲派=(  維新/自民/公明   )が3分の2を超えるか
>>実は、2014年の維新の数に戻った。

⑤各党議席数の前回(2017)、前々回(2014)からの変化  *教科書182-190ページ

⑥各党への有権者の支持を示す比例代表得票率
※あまりでない、、、。

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20世紀の話に戻ると、、、ファシズム:fascismが台頭する。これは、民族国家と指導者を絶対化する独裁政治を作っていくこと。

1.イタリアでムッソリーニは、エチオピア侵略し経済制裁を受ける。
2.ドイツは、選挙をつうじて独裁に走っていく。
3.スペインは、フランコという政治家が左派政権を倒す
4.日本では、1925治安維持法+特高警察 →社会主義、自由主義を弾圧することや、軍の一部が政治家殺害(五・一五、二・二六)、満州事変、日中戦争の拡大。国家総動員法や、大政翼賛会(政党を解散することで、一頭政治を行う)

第一次世界大戦後の世界では、世界が安定せず、、、不安定な世界になっている。

第七回:11/20

第二次世界大戦では、独裁と戦争・国際対立の悪循環にて戦争をやめることができなくなる。故に”緊急事態”を理由に引けないところまで来る。

↡戦後

日本の戦争責任において、戦後50年村山首相対談(1995年)がある。また。日本政府の公式見解。安倍首相談話(2015)も。

植民、侵略支配を反省し、それは国際的に評価されている。しかし日本の保守右派(ナショナリズム)は反日的と批判する。ここで問われることは愛国心とはなにか。

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20世紀後半になると、民主主義の拡大がみられる。一方で、冷戦の状態もある。 日、西ドイツで民主化、非軍事化し、復興(米の援助 + 国民の努力)の兆しがみられる。

アメリカが援助したのは、社会主義に対抗するためにという側面が多い。

冷戦:米/英(資本主義*民主主義)VS ソ連/中国(社会主義)の対立

アジア(アメリカからの支援を受けた国と、中国やソ連からの援助を受けた国同士の争いが起きる)↬ 中国の内戦として(ポツダム宣言に参加した国民党VS共産党:現在の中国)が起きる。

共産党がソ連の支援を受けることで勝った。軍事的に強かった。
国民党は台湾に逃げることで、別の国を作る結果となる。

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日独伊で経済成長が起きる1960年代。日本「55年体制」=保守(中道右派)>革新(中道左派)の対立・バランスをとることで、適度な対立が起きた。革新派として、右と左の真ん中として立憲民主党のようなリベラル派が台頭する。

1970年代では、日本は経済大国、深刻な公害=環境破壊が深刻になる。アメリカでは、経済大国として成長していたが故に、ベトナム戦争が勃発する

↡社会主義系の国と戦うことになる。最終的にはアメリアが撤退することで終わる。アメリカの力がないことも見せたけれど、民主主義の在り方としての例ともなった。

1990年代では、冷戦の終わりとして社会主義が崩壊することで終わる。

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21世紀では、民主主義の危機(?)が起こっている。テロリズムが良く起こる。これは社会に恐怖を与えるためであると考えられる。

背景としては武器が手に入りやすくなったことがまず挙げられてる。

1995年日本カルト宗教によって、地下鉄サリン事件が起きる。またNYなど大規模テロ → 米は、宗教的原理主義(イスラムとは別)と対テロ戦争。

中国では、全体主義的な背景として、、、

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一頭政治が起きるのは、社会主義だからじゃないかと言われている。

第八回:11/26

①日本の自衛隊 (創設1954)
>>憲法9条の解釈で、専守防衛≒個別的自衛およびPKO=国連平和維持活だけ、安倍政権の安全保障法制 → 海外で米軍等とともに戦う。

②ロシア*2 の権威主義化、軍拡 
>>ヨーロッパやアメリカが緊張している形になる。(権威主義になっている

社会主義が民主主義になって、その後現在権威主義となるのは、大統領制を取るが故に、大統領に権力が集まった結果である。

③欧米日のポピュリズム 

①説:扇動政治=単純化した夢や「敵」の攻撃で感情的な支持を集める 
←有権者の非合理性(知識のなさ、思考のなさ  

②説:エリート支配への人々の反発を、政治リーダーが代弁 

ヨーロッパの反移民・難民政党    
英のEU離脱 ? +)移民規制
-)EUとの経済障壁、スコットランド独立?

米トランプ前大統領 
維新の党? ―「大改革」:
以前:参議院廃止、大阪都=廃止
今:国会議員減  → 小政党、女性の排除  

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民主主義 

 民主主義の危機となるパターン

①全体主義
・社会主義:一党独裁に近い体系を取る(世界大戦によるもの
・ファシズム:軍事力 OR 大衆社会(不勉強)、危機、扇動

②権威主義

③戦争・テロ

④民主主義国でも 

・有権者の劣化? →棄権 OR扇動される -┳→ ポピュリズム 
・「分断の政治」≒ 右傾化、極端な主張 -┛          
  共通合意の喪失  ex.トランプ氏、2020大統領選結果の否認
  菅首相、学術会議任命拒否

⑤民主主義の過剰?  ―権利だけ*、エゴイズム  
 cf.日本― 平和なデモ、政府批判も有用




   



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