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シンギュラリティとは?定義や AI との関係、歴史的背景を解説

シンギュラリティ(Singularity:技術的特異点)とは、AI(人工知能)の性能が人類の知能を越えること

 米国の人工知能研究者レイ・カーツワイル氏らが述べた未来予測の中で提唱された概念で、 2045 年頃に訪れるとされている。

シンギュラリティによって従来人間にしかできないとされて きた知的活動の一部が AI で代替可能になり、それによって社会構造が大きく変化するとされ る。

ムーアの法則との関係、定義と歴史的背景


カーツワイル氏はシンギュラリティを「1000 ドルで手に入るコンピュータの性能」で表現した。

2017 年の時点では「ネズミの脳程度」であったが 2025 年には人間一人の脳に並び2045年には全人類の脳の計算性能を上回る」と述べ、2045 年前後にコンピュータが人間の脳を超える と予測した。

シンギュラリティの予測の根拠とされるのが「ムーアの法則」「収穫加速の法則」だ。
ムーアの法則は、インテルのゴードン・ムーア氏が自身の経験に基づいて述べた法則だ。
「半導体の集積技術は 18 カ月~24 カ月毎に 2 倍になる」というものだが、近年は微細集積が物理 的な限界に近づいているとされる。

収穫加速の法則は、シンギュラリティと共にカーツワイル氏が提唱する概念だ。
複数の発明 の結びつきがイノベーションを加速して科学技術は指数関数的に進歩するとし、ムーアの法則 を超えて 2045 年頃にシンギュラリティが訪れると予測した。

シンギュラリティは 2005 年に提唱された。2012 年以降、ディープラーニングによる AI 開 発のブレイクスルーをきっかけに議論が進み、日本では 2016 年にソフトバンクの孫 正義氏が 話題にしたことで注目を集めた。

シンギュラリティの課題と現実のビジネスへの影響


カーツワイル氏の主張に対しては、懐疑的な意見もある。半導体集積の微細化や物理的な実験に関する要素を無視し、意図的にコンピューティングに関する要素のみを抽出しているという批判だ。

一方で、ディープラーニングによる AI の進歩やブロックチェーンの実用化、スマートプロ ダクトの価格低下と普及などは現実のビジネスにも影響を及ぼし、収穫加速の法則を象徴する 事象とされる。

爆発的な変化が起きるのか、AI が人間の仕事を奪うのかなどについては議論が続く。ただし、人が担う仕事の一部がAIで自動化されること、それに伴うビジネス環境の変化は既に発生している。

チューリングテストとは


チューリングテストとは、1950 年にアラン・チューリングが提唱した、知能の有無を判定す るためのテストだ。
人間が「人間のフリをしたコンピュータ」を見抜けるかどうかで判定す る。2014 年にウクライナ製の AI がこのテストに合格したとされ、シンギュラリティの単語とともに脚光を浴びた。
しかし客観性や再現性の点で懐疑的な見方もある。

プレ・シンギュラリティとは


AI 研究者の齊藤元章氏が提唱した概念で、シンギュラリティの前段階に、スーパーコンピュータの飛躍的な性能によるプレ・シンギュラリティ(前特異点)が訪れるというものだ。
同氏は 2030 年頃のプレ・シンギュラリティによって、エネルギー問題の解決や生活必需品の無償化といった社会構造の変化が起きると予測した。

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