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南スーダン選手団と前橋市の取り組みから学んだこと

先日、東京オリンピック男子1500m南スーダン代表のアブラハム選手と、南スーダン選手団をサポートされている前橋市役所スポーツ課の方にお会いしに、前橋市に行ってきました。

同じTWOLAPS TCに所属されている楠さんが南スーダンの選手と一緒にトレーニングをされると伺ったので、「南スーダンの選手と関われる機会なんてなかなかない。お会いしてみたい!」と思い、ご一緒させていただきました。

その時の様子は↓のTWOLAPS youtubeチャンネルからご覧になれます。
https://youtu.be/axnar7nqq0s
https://youtu.be/lzRysCe0Wr0

今もなお内戦が続く母国南スーダンの平和を願い走られているアブラハム選手と、南スーダン選手団のオリンピック事前長期合宿を受け入れられた前橋市。そして、事前長期合宿を支える様々な支援の輪を知り、決して「平和」とは歴史に名を残すような偉人たちの功績だけではなく、もっと身近にある「誰かの力になりたい」という思いから生まれる一人ひとりの行動で形作っていけるものなのだと学びました。

そして、平和に繋がる「誰かの力になりたい」という思いは、まずは「知る」ことから生まれ、それが次の行動へと繋がっていくのだと思います。

アインシュタインは平和について次のような言葉を残しています。

平和は強制できるものではない。
それは理解することでしか、到達することができないものだ。


南スーダンと前橋市

南スーダン(正式名称は南スーダン共和国)は2011年にスーダン共和国から独立してできた世界で一番新しい国です。

長い内戦を経てようやく独立した現在も、権力闘争や民族対立により紛争が続いており、南スーダンでは子どもだけでなく大人も平和な状態をほとんど知らないといいます。

そんな厳しい状況下で競技をしている選手たちのことをJICA(国際協力機構)の来庁を通じて知り、どの自治体よりも早く南スーダン選手団のオリンピック事前長期合宿を無償で実現させたのが前橋市でした。

長期合宿を無償で受け入れるといっても、多くの資金が必要となります。

そこで前橋市は「クラウドファンディング型ふるさと納税」で必要資金を募集。

前橋市の税金をもとに活動するのではなく、南スーダン選手団を支援したいという思いをのせて集まった資金で活動することを大事にされたと前橋市役所スポーツ課の方はおっしゃっていました。

その結果、南スーダン選手団の活動は前橋市にとどまらず多くの人々に届き、全国から多額の寄付が。

東京五輪大会終了までに必要と見込んでいた額を2020年12月をもって達成されたそうです。

通訳もボランティアで募集したところ、20名を超える市民の方々から応募があり、日本人コーチと選手団のコミュニケーションの橋渡し役となっています。

今では通訳ボランティアの方々が選手団の大きな心の支えになっているとのこと。

その他にも、支援の輪は個人に留まらず、南スーダン選手団の取り組みに賛同したコカ・コーラジャパンは「南スーダン応援自販機」を設置。

自販機の維持管理費を除いた全ての売上金が、南スーダン選手団の支援活動として寄付される取り組みがなされています。

(南スーダン選手団と「南スーダン応援自販機」前橋市HPより引用)


支援を受けた南スーダン選手団は、その思いに応えるかたちで競技に打ち込むだけではなく、日本語学校で日本の言語や文化を学びながら、前橋市の学校や地域との交流活動を積極的に行い「平和について考える機会」づくりに寄与されています。

そのような姿も、多くの人たちの心に届き、支援の輪が広がった大きな理由なのだと思いました。

「誰かの力になりたい」という思いが平和や幸福に繋がる

母国の平和を願って競技をする南スーダンの選手。

南スーダンの選手がオリンピックに向けて最善のトレーニングができるように事前長期合宿を実現させた前橋市。

南スーダン選手団と前橋市の取り組みを知り、力になりたいと全国から集まった支援。

皆「誰かの力になりたい」という思いで行動し、その思いが大きな支援の輪となり広がっていきました。

アドラー心理学では、「幸せ」とは人の役に立ったと感じること、すなわち「貢献感」から生まれるものだといいます。

誰かを思ってうまれた行動は、人のためとなり、そしてめぐりめぐって自分の幸せにもなる。

皆が幸せを感じられる世界が「平和」だとするならば
前橋市から「平和」に繋がる素敵な輪が広がっていました。

世界の平和を考えたとき、一人ひとりの行動は小さなものかもしれません。

しかし、一人ひとりの行動や心がけからでしか未来の平和をつくっていけないのもまた事実です。

アブラハム選手をはじめ、南スーダン選手団の姿や前橋市の取り組みから学んだ「平和」を考える上で大切な心。その心を胸に、自分の行動が未来の平和に繋がると信じ、過ごしていきたいと思います。

最後に

前橋市では、今回の南スーダン事前長期合宿の受け入れを経て、国が推奨する”東京2020大会のレガシーづくり”として、同大会終了後も南スーダンとのスポーツ交流を行うことを決定。

南スーダンの選手を毎年2人ずつ前橋市に招へいし、それぞれ6か月間、日本文化を学びながらトレーニングに励んでもらえるようなプログラムを計画されているそうです。

このスポーツ交流に必要な資金についても、ふるさと納税が活用されています。詳しくは以下のポスターをご参照ください。

これからも前橋市から平和の輪は広がっていきます。

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